アメリカ、イギリスによるイラク戦争に対して21世紀になってはじめて全世界中の人々が一つの意志表明しました。いくら困難な問題であっても戦争という国家暴力で解決する事には絶対に反対であると。そしていつも為政者達の争いによる最大の被害者は全く罪のない子供たちなのです。果たしていつになったら人類はこんな馬鹿げたやり方を放棄できるのだろうか、少しばかり悲観させられる日々が続いています。  月一回であった給食がみなさんの御厚意のおかげで週一回になりました。「堺ハキョの会」は、本来ならば行政が援助すべきであるはずのものを単に代行しているわけではありませんし、またそんな力もありません。ただ現在の日本における朝鮮学校への差別的処遇や在日外国人に対しての民族差別に反対している人々の思いの小さな現れなのです。戦争や抑圧や差別を憎む気持ちは人間としてごく自然な感情であり、何
 先日来の文部科学省の露骨な差別政策(詳細は2面)に対して、憤りもさることながら同じ日本人として恥ずかしい思いが先立ちました。ましてや自分たちが払った税金で自分達の首をしめられている在日コリアンの親にとって、怒り心頭に達するとはこの事だと思います。  も特別な政治的要求ではありません。世界中どこの民族でも共通するものです。日本の各地でも「堺ハキョの会」のような組織が作られていると聞き及んでいます。小さな明かりでも絶対に消える事のないよう「堺ハキョの会」今年も頑張ります!
 「堺ハキョの会」が給食支援をはじめて今年で三年目になりましたが、大所高所から物事を語らず、あくまで市井の人間同士のつきあいの延長としての国際交流をめざしてきました。お互い一人一人の顔が見え、生活がわかり、喜怒哀楽を共有できるような当たり前の人間関係をつくりあげる中で隣人として共に生きたい、そんな思いが「堺ハキョの会」運動の礎であり全てなのです。  今年も給食がはじまっています。事務局を担っていた者が多忙を極めていたため、通信をお届けするのが遅れました。本当に申し訳ありません。4面に前年度の収支報告を掲載しております。ご覧頂いたとおり、大変な赤字になっています。皆さま、多々ご事情はおありかと思いますが、元気なハキョの子どもたちを支えるために、カンパをよろしくお願いいたします。            (渡邊 了)
※ 通信をお届けしている方には、あつかましくも郵便振替用紙を同封させていただきました。ご理解いただき、カンパをよろしくお願いします。


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■大学入学資格を巡って一連の経過
2002年3月  「インターナショナルスクールの卒業生が希望した場合、大学入学の機会を2002年度中に拡大する」との方針が閣議決定され、文科省で検討に入る。
2003年2月21日  朝日新聞朝刊スッパ抜きで、欧米系インターナショナルスクール以外のアジア系民族学校には、大学入学資格を与えないという文科省の方針が掲載される。
2003年3月6日  文科省から正式にアジア系民族学校排除の方針が出される。
2003年3月28日  3万7千通余りのパブリックコメント(有効数約一万三千通、文部省決定に反対96%)や、有識者による反対声明など多くの国民の声により、文科省差別的決定を撤回、凍結する。


■はじめに
 
 今回の文部科学省の「アジア系(朝鮮学校、韓国学園、中華学校、インドネシア系学校)には、国立大学受験資格を認めない」と言う文部科学省見解には、声も出ないほどの怒りがこみ上げて来ました。欧米のインターナショナルスクールは、認めるが、アジアのそれは、認めないと言う発想は、まさに現在の日本国家が、幕末明治以来の脱亜入欧論を引きずったまま来ているとしか言いようが無い。私は、思わず財布の中から福沢諭吉の肖像を引き出して、ズタズタに引き裂いてやろうという衝動にかられたが、幸か不幸か財布の中には、1枚もなかった。

■「子どもの権利条約」に大きく違反
■日本社会で生きていく権利を阻むもの
 
 戦後、朝鮮に帰国するために日本生まれの在日朝鮮人が朝鮮語を話せないのは、困るということから始まった民族教育は、50数年の歴史を経るなかで、さまざまな変容を遂げている。日本で暮らしていくことを前提にしてカリキュラムも組まれ、現に民族学校出身者が、日本の各界で活躍している。さらに、現在、朝鮮学校は、教科書を改訂し、日本社会で朝鮮人の主体性を持って生きていける人格の陶冶を目指している。また、朝鮮学校の入学者は、朝鮮籍、韓国籍の在日朝鮮人に留まらず、日本籍(日本国籍取得者の子や孫、父母のどちらかが朝鮮人の子ども)の者や、韓国から日本に来た者いわゆる新一世まで含まれる。
 朝鮮高校生の進路として朝鮮大学校が存在するのは、確かだが、あらゆる進路の可能性が、それぞれの卒業生の能力や適正に応じて保障されるべきである。「『大検』を受ければいい」というのは詭弁であり、日本の学校出身者より負担を強いる差別政策にほかならない。朝鮮人が、生きていく権利を守る闘いとして、国立大学受験資格取得の闘いに我々堺ハキョの会も連帯しよう。
(由利 元次郎)
第三〇条 少数者・先住民の子どもの権利
民族上、宗教上もしくは言語上の少数者、または先住民が生存する国においては、当該少数者または先住民に属する子どもは自己の集団の他の構成員とともに、自己の文化を享受し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、または自己の言語を使用する権利を否定されない。
 子どもの権利条約でいうところの自己の言語を使用する権利と言うのは、民族教育によってこそ保障される。日本語以外の全教科を母国語で教える民族学校こそ、この権利を保障するものである。今回の文科省見解は、それを真っ向から否定するものと言わなければならない。


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 2003年度(今年4月)から朝鮮学校の新カリキュラムがスタートする。教科書も大幅に改編される。10年ぶりに変わる教科書は、21世紀を生きる同胞の子どもたちが、日本はもちろん、北南朝鮮、国際社会を舞台に力を発揮できる民族性と実力を育てるための全面改編になっている。
●初級部から  教科書が改編されるのは今回で6回目。総聯結成(55年5月)後55〜57年、63〜64年、74〜77年、83〜85年、93〜95年にかけて行われてきた。改編は03年度から06年度まで順次進められ、03年度は初級部の全教科書(49点)と中・高の一部を変える。中級部は05年度に改編する、3年の社会を除いたすべてを04年度までに完成させ、高級部は06年度まで順次進めていく。全118点。
 今回の改編は、同胞社会の世代交代、同胞を取り巻く時代と環境の変化、朝鮮学校に対する同胞のニーズ、日本の実情を考慮したものだ。@しっかりとした民族自主意識、質の高い民族的素養を備え、在日同胞社会に対する正しい歴史認識と主人公としての自覚を持ちながら、南北朝鮮、日本や国際社会で活躍できる資質と能力を備え、A仲むつまじく豊かで力ある同胞社会を築くことができる人材の育成をめざす。
 民族性を育むうえで重要な位置を占める各地の朝鮮初中級学校を、同胞に開かれた場にするための措置でもある。
4月から朝鮮学校で
新しく使われる教科書の一部

 今年新たに幼稚班の3年保育に2名を受け入れ2003年度の本校事業をスタートしました。
 今年は新しい教科書で授業が行われる年、私達は子供たちを立派に育てる事で、堺で民族教育を守り発展させて行こうと思います。今年は6人体制で頑張ります。今年も宜しくお願いします。

左から
キム・スガン
ウ・ミ ネ
チョン・キセ
ソ・ヨンホァ
カン・ホボン
リ・グァンホ

学 年 担任教員
幼稚班 徐 英華(ソ・ヨンホァ)
2年生 禹 敏恵(ウ・ミネ)
4年生 李 光浩(リ・グァンホ)
5年生 金 寿江(キム・スガン)
6年生 全 紀世(チョン・キセ)
校 長    康 浩奉(カン・ホボン)
教 頭    李 光浩(リ・グァンホ) 
音楽講師  金 京華(キム・キョンホァ)
英会話講師 朴銀姫(パク・ウンフィ)
舞踊講師  劉玉錦(リュ・オックム)
クラブ    サ ッ カ ー:リ・グァンホ/舞 踊:キム・スガン
        カ ヤ グ ム :ウ・ミネ/バレーボール:チョン・キセ
6/15(日)AM10:30〜 大阪城公園 太陽の広場
在日コリアンと大阪府民・市民親善交流フェスティバル
大阪ハナ・マトゥリ
*堺朝鮮初級学校も売店を出します。みなさん是非来て見てください!


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第13回堺朝鮮初級学校『公開授業』
7月6日(日)9:30〜 受付開始
 10:00〜10:45 公開授業
 11:00〜12:30 記念講演
 12:30〜13:00 子どもたちの公演
 13:00〜      交流会
記念講演 『在日朝鮮人と人権(民族教育に焦点を当てて)』(仮題)
      空野佳弘さん(弁護士、朝鮮人強制連行真相調査団事務局長)

 朝鮮学校の財政事情については設立当初から深刻であり、行政の補助を求める運動と同時に、皆さんにも広くカンパを呼びかけてきました。ところが、ここ数年、生徒・児童の減少も深刻な問題となっています。
 これにはいくつかの理由があります。一つには日本社会の傾向である少子化です。このことは、在日朝鮮人社会でも同様です。二つには、国籍法の改正によって、日本人との結婚による子どものほとんどが日本国籍を取得していることです。これは、自らのルーツへの関心から朝鮮学校への入学、または民族教育への要望が少なからずある中で、日本の学校への自動的入学を促す要因となっています。そして、最大の要因が、日本政府・行政による朝鮮学校への差別政策であることは、火を見るより明らかな事実なのです。
 南大阪朝鮮中級学校は、生徒数の減少により、昨年度やむなく統廃合の対象となりましたが、堺朝鮮初級学校でも、児童数の減少は年を追うごとに深刻になっています。そこで、堺朝鮮初級学校では昨年
度、学校の今後のあり方について内部討議を重ねてきました。そのため、例年2月に実施していた授業公開を取り止め、結論が出てから実施しようということになりました。そして、結論が出ました。泉州地域の民族学校のシンボル『堺ハッキョ』を守り抜こう! 今年の授業公開はこの思いを持って実施します。
 私たちは、「民族学校の設立・存続は戦後補償である」との視点に立って取り組みを進めてきました。しかしながら、拉致問題のように、朝鮮半島にかかわる問題が出るたびごとに繰り返される民族学校、および児童・生徒への攻撃、国立大学入学資格を朝鮮高級学校卒業生に与えない、など、政府・行政の差別政策が露骨になってきています。今回は、空野弁護士をお招きし、記念講演会を予定しています。是非、多数のご参加をお待ちしております。
 なお、講演の後、恒例のオモニ会の協力によるおいしい焼肉も用意しておりますので、楽しく交流して行きたいと思います。(川井 俊二)

 カンパをしている人も、これからと考え中の人も、一度学校と生徒たちを見て、給食を試食して、その目と舌で確かめてみてください。子どもたちはみんな週一回の給食を楽しみにしています。
 事前にご連絡いただければ、給食風景もご覧になれます。少しでも結構です、ご協力お願いします。振り込み用紙が必要な方はご連絡ください。(TEL 072-238-6428) 

@ 1年間(一口) ¥12,000
A 半 年   ¥ 6,000(年2回)
郵便振替 00980-4-145524
口 座 名 学校法人大阪朝鮮学園
       堺朝鮮初級学校
■ 会計報告 ■

2003年4月〜2004年3月(43回)給食実施合計
収  入 支  出
前年度繰越 -182,716 人件費 215,000
カンパ(11人分) 638,500 食費補助金 103,200
    振替手数料 2,300
    9号 郵送料 30,640
    封 筒 代
    3月末残高 104,624
合 計 455,784 合 計 455,784


* 食費補助として、1人1食あたり¥100(約31名分)を負担。
* 人件費は、時給¥1,000×5H×2名で計算。
* 水道光熱費、米代は学校負担。
* 材料費は、1回あたり約¥13,000かかっている。
* 生徒は、1人1食あたり¥300を保護者が負担。


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