ゴルフをする者ならば知っているが、ゴルフ場の芝の貼り替え費用は膨大な額にのぼる。
ましてや全域を放射性セシウムに汚染されたゴルフ場は全面張り替えするしかない。
ゴルフ場の広さにもよるがだいたい10億から20億円といったところが相場だ。
その後、あまりの賠償金額の安さにゴルフ界ではちょっとした騒動となった。
すると、さすがに世論を気にしたのか、東電は姿勢を改め、賠償額を千倍に引き上げたのだ。
だが、それにしてもまだ芝の張り替え費用には到底足りないし、ましてやゴルフ場の休業補償分の賠償にはまったく及ばない。
一度放出されたセシウムは
東京電力の所有物ではない!?
こうしたひどい状況は日増しに深刻さを増している。
たとえば、昨年10月の「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」の訴訟結果がそれを如実に示しているだろう。
放射性セシウムの除染費用などを求めて争ったその裁判において、東京地裁は、ゴルフ場のセシウムは確かに原発由来だが、一度外部に放出された物質は無主物であり、東京電力の所有物でない、という驚くべき理由で、二本松ゴルフ倶楽部の訴えを退けている。
原発事故以来、行政や一部の東電寄りの市民の計測による空間線量の過少報告が横行し、そこに、現地の事情に疎い有名ジャーナリストや在京のマスコミなどがいとも簡単に乗ってしまい、現実を見つめたくない空気と相まって、こうしためちゃくちゃな理論がまかり通ってきた。それが福島の現実だ。