「みんな、ここで働いているんですよ。ゴルフ場を止めることは簡単ですけど、キャディも、従業員も路頭に迷うことになる。いったい誰が補償してくれるのか。東電か?国か?誰も補償なんてしてくれないですよ。もう、放射能汚染は考えないことにしているんです」
福島のゴルフ場は、明らかに昨年とは違った状況を見せている。盛んに警報音を発している筆者の計測器の音をOFFにしながら、2マイクロシーベルトを前後している液晶の画面を見せた。
「わかっています。わかっているんです。でもそれはお願いしますよ」
ゴルフ場全体の芝の張り替え費用、
東電から当初の提示は「13万円」
福島第一原発から最も近い「リベラルヒルズゴルフクラブ」(アコーディアグループ)の空間線量(地上1メートル)は毎時5マイクロシーベルト以上である。
春、U3Wの取材で現地を訪れ、数台の測定器で測るも、行政やマスコミの反応は鈍く、ゴルフ界にも危機認識が広がることはなかった。
経営するアコーディアグループの幹部に、実際の空間線量を伝えると「東電からの報告とあまりに数値がかけ離れている」と言って絶句した。線量を低く報告することで、賠償金額を減らそうと躍起になっている東電の姿勢がうかがえる。
こうした傾向はリベラルヒルズだけではない。福島県内全域、他のゴルフ場にも同じようにいえる。
高濃度のセシウム汚染をされた「いわきプレステージカントリー倶楽部」はすでにひどい通告を受けている。
やはり今年の春、東京電力の担当者から芝の張り替え費用として13万円を提示された。