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週刊 上杉隆
【第12回】 2012年8月30日
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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

なぜ日本ゴルフ協会は福島のゴルフ場を助けようとしないのか

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 「みんな、ここで働いているんですよ。ゴルフ場を止めることは簡単ですけど、キャディも、従業員も路頭に迷うことになる。いったい誰が補償してくれるのか。東電か?国か?誰も補償なんてしてくれないですよ。もう、放射能汚染は考えないことにしているんです」

 福島のゴルフ場は、明らかに昨年とは違った状況を見せている。盛んに警報音を発している筆者の計測器の音をOFFにしながら、2マイクロシーベルトを前後している液晶の画面を見せた。

 「わかっています。わかっているんです。でもそれはお願いしますよ」

ゴルフ場全体の芝の張り替え費用、
東電から当初の提示は「13万円」

 福島第一原発から最も近い「リベラルヒルズゴルフクラブ」(アコーディアグループ)の空間線量(地上1メートル)は毎時5マイクロシーベルト以上である。

 春、U3Wの取材で現地を訪れ、数台の測定器で測るも、行政やマスコミの反応は鈍く、ゴルフ界にも危機認識が広がることはなかった。

 経営するアコーディアグループの幹部に、実際の空間線量を伝えると「東電からの報告とあまりに数値がかけ離れている」と言って絶句した。線量を低く報告することで、賠償金額を減らそうと躍起になっている東電の姿勢がうかがえる。

 こうした傾向はリベラルヒルズだけではない。福島県内全域、他のゴルフ場にも同じようにいえる。

 高濃度のセシウム汚染をされた「いわきプレステージカントリー倶楽部」はすでにひどい通告を受けている。

 やはり今年の春、東京電力の担当者から芝の張り替え費用として13万円を提示された。

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上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


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