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船の科学館

1978年の夏休み,
筆者は両親に東京・有明で開催されたイベント
「宇宙博(宇宙科学博覧会)」
に連れて行ってもらった.

サターンロケットの実物やスペースシャトルの風洞実験模型
(確か実物の1/3で,少し黄色いカラーリングだった)
などの展示があり,夢中で巡り見た思い出がある.

「月の石」も展示されていた.
セキュリティが光学式センサで,
そのこと自体が珍しい時代だったのか,
観客がわざと検知され
警報を鳴らして面白がっていたことを記憶している.

さて,その月の石が展示されていた
「船の科学館」
が2011年9月30日をもって展示公開を休止する.

筆者は30年以上の時を経て訪ねてみることにした.

museum_of_maritime_science_20110826
Fig. 1 船の科学館外観.船を模した斬新なデザイン 

件の月の石を見たこと以外,
館内の様子は全く記憶になく,ほぼ初見.
展示内容は非常に充実していた.

まずは屋外の実物展示物のオンパレード.

マリンエース 
Fig. 2 半没水型双胴実験船マリンエース(キャビン下にベンチを設置し双胴構造を有効利用)

潜水艇たんかい20110826 
Fig. 3 潜水調査船「たんかい」(7か所のウォータージェットで姿勢制御・移動を行う)

深海大気潜水服JIM20110826 
Fig. 4 深海大気潜水服JIM(深度340mでの作業が可能.中にマネキンが入っている)

一日一善20110826 
Fig. 5 一日一善(日本船舶振興会初代会長笹川良一氏の銅像)

館内にも実物展示が多く,
中でも圧巻なのが「三菱UEディーゼル実験機関」昭和28年製,高さ約9.5m(Fig. 6).
筆者と同じ時間に見学していた小学生が「でけ~!」と率直な感想を漏らしていた.

三菱UEディーゼル実験機関20110826 
Fig. 6 三菱UEディーゼル実験機関(一番下の歯車で大人の身長の2倍ぐらい)

展示物のスケールの大きさが印象に残る.
模型の展示も多いのだが,
Fig. 7に示すタンカーなど模型にして7mのビッグサイズ.
実物が如何程のものかと想像すると気が遠くなる.

タンカー模型20110826 
Fig. 7 オイルタンカーUniverse Ireland(昭和43年製,全長345.3m)の模型(縮尺1/50)

アンクルトリスで有名な柳原良平氏(船好き)の作品も
館内のあちこちに見受けられる.

みらいのふね(柳原良平)20110826 
Fig. 8 柳原良平氏の壁画(モチーフ:未来の船)

プールにある船のラジコンを操縦できるコーナーもあり,ちびっこ対応も万全であった.

船の科学館ラジコンコーナー20110826 
Fig. 9 3階のラジコン船コーナー(1回100円)

マネキン多様でリアリティを追求する南極観測船「宗谷」や,
引き取り手募集中の青函連絡船「羊蹄丸」もぜひ見て頂きたい.
筆者は少年時代に何回か青函連絡船に乗った経験があり,
乗るたびに少し味の濃いカップみそ汁を楽しみにしていたことを思い出した.

前述のように
船の科学館はあとひと月余りで展示終了.
お茶の水にあった交通博物館は
鉄道に特化して埼玉に移転してしまった.
交通文化を伝える拠点が失われていくのは
大変残念なことである.

「船の科学館」は9月30日まで特別料金
大人200円,18歳以下100円で展示公開している.

船の科学館入場券20110826 
Fig. 10 船の科学館入場券


 

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