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「な、なんだとぉ〜っ!!」 さわやかなはずの早朝。俺は悔しさのあまりに大声で叫んでいた。 俺の名はシルフィース・ヴォウフといい、『ビーストマスター』と言う仕事をしている。この世界に巣食う、『ビースト』と呼ばれる生物に対しての専門家だ。 ビーストは犬とも猫ともつかない大きな耳と尻尾を生やし、直立二足歩行で通常単体で行動する獣だ。耳の形や毛色、尻尾の大きさや形もさまざまで体格はほぼ人間と同じだが人間をはるかにしのぐ身体能力を持っている。 人間に比べれば劣るものの、他の獣に比べればかなり高い知能を持っており、飼い馴らせば人間の命令をよく聞く忠実なペットになる。 ただし、野生のものは畑を荒らし家畜を襲う害獣である。そのビーストの捕獲や調教を行うのが俺達のような専門家なのだが、ビーストマスターはれっきとした『国家資格』である。 その試験ではビーストの生態や取り扱いの知識はもちろんの事、レンジャー技能、ハンター技能、薬剤取り扱いの知識、剣や魔法の戦闘技能などが試される。 広く、深い知識と技能を要求されるため、ビーストマスターの資格を有するものはそんなに多くは無い。その中でも俺はA級ビーストマスターの免状を有している。 それが何だ!?このありさまは!! 畑を荒らすビーストを捕獲もしくは退治して欲しいと言う依頼で来たのだが、仕掛けたトラップが全滅している!! しかもご丁寧に糞と尿を引っかけてある。失敗した事が無いとは言わないが、ここまで馬鹿にされたのは初めての事だ。気が進まないが、依頼主にはありのままを報告するしかあるまい……。 「やれやれ、またダメでしたか……」 「また、とはどういう意味です?」 「実は前にも二人のビーストマスターに退治を依頼したのですが、ことごとく失敗しましてね……」 「そ、そう言う事は先に言ってくださいっ!とりあえず、今日のところは帰らせてもらいますが、必ず!捕まえて見せます!」 俺はそう言うと席を立って帰路についた。A級の免状を取ってから捕獲に失敗した事は一度も無かった。 だから俺は捕獲した後の為の道具しか持ってきていない。一旦帰って捕獲用の道具を持ってこなくては……。 久しぶりに罠では無く俺自身が捕らえる必要のある相手だろう。 もしかしたら野良かもしれない。野生のものにしては頭が回りすぎる気がする。野生か野良か。そんな事はどちらでもいい。 昔のように本腰を入れた捕獲作戦、腕が鳴る。最近は罠もよくなったから罠で捕まえてそれを調教するだけだった。 ビーストマスターの資格を取ったばかりの頃を思い出す。面白い。お前の挑戦、確かに受けた! 馬車を走らせ約一時間半、ようやく家についた。明日までに準備しなければならない事は山ほどあるんだ。 俺は今日持っていったわずかな荷物を下ろし、馬を馬房に入れるとお世辞にもきれいとは言えない小さな家の扉のマジックロックをはずし、ドアを開けた。 「なんじゃこりゃ〜!!」 俺は朝早くに叫んでからまだそんなに時間は経っていないと言うのにまた叫び声をあげた。 扉を開けてすぐの部屋、地下室を除けば一番広い居間兼応接間がぐちゃぐちゃになっている。 テーブルはひっくり返り、イスはあちこちに散らばり、花瓶は割れ、床に水溜りを作っている。だが、窓はしまっており、玄関ドアも魔法でロックしてあった以上、内部の犯行である事は容易に想像がつく。 「アーシェ!フィード!」 書斎と地下室それぞれの方からまだ顔に幼さを残した二匹の裸のビーストがとたとたと走ってきた。まぁ、元々ビーストは裸でいるものだし、俺は一部の物好きみたくビーストに服を着せる趣味は無い。だだ、作業着みたいなものは着せる事はあるけど。 地下室から出てきた方がアーシェ。書斎から出てきた方がフィード。そっくりな顔立ちの双子のビーストだ。 しかし、大きな耳の形も、青い瞳の色や形も、灰銀色の体毛も、しなやかな尻尾の形も似ているが、フィードの方は雄である。 何故か二匹とも昨日には無かった怪我をあちこちにしているが。 「こら!お前らだろこんな事をしたのは!」 二匹は顔を見合わせると俺の方を向いて同時に口を開いた。 「うるる、うるるるる、うるうる、うるるる!」 「うるるる、うるる!うるるるるる、うる!」 二匹とも自分は悪くない、悪いのはアーシェ(フィード)の方だ、と言っているらしい。 多分俺が出かけてから些細な事でケンカをしたんだと思う。 ビーストは人間の言葉をしゃべる事はできないが理解する事はでき、自分の言葉でコミュニケーションを取ろうとしてくる。 アーシェもフィードもずっと俺と一緒に暮らしていて、人間の言葉は完全に覚えている。 こいつ等の言いたい事は普通の人間でもある程度理解できるが、俺はほぼ間違うことなく理解できている、と思う。 「う〜っ!!」 「うう〜っ!!」 二匹が牙を剥き合い威嚇している。シッポがピンと立ってパンパンに膨らんでいる。このままではまた取っ組み合いのけんかになってしまい、下手をすると大怪我をしてしまうかもしれない。 こいつらがもっと小さい時に親子ともども捕まえた俺の獲物でそれ以来飼っているのだ。親の方は調教して売り払ってしまったが、こいつ等は何故か気に入ってメイド兼助手兼ペットとして飼っている。 長い間飼っているから情が移ってしまったと言えばそれまでだが、俺はこいつ等の事がかわいいのだ。 「アーシェ!フィード!やめろ!!」 語気を強めて二人に命令する。二匹とも一瞬びくっとするとゆっくりとこちらを向いた。その動きがまったく一緒でやっぱり双子なんだなと一瞬吹き出してしまった。 「ケンカ両成敗、二匹ともお仕置だ。いいな?」 「うるる〜……」 「うるう〜……」 二匹とも悪かったと思っているのだろう。耳を伏せ、尻尾を力無くたらしてしゅんとしている。 俺はこいつらにあまり痛みを伴うようなお仕置をしたくないし、また、した事も無い。 俺は二匹を丁度持っていた捕獲用のロープで後ろ手に縛った。このロープは特殊樹脂製で力では解く事はできず、身体に食い込む事も無い その後、片足をロープで縛り、それぞれ部屋の三分の一くらいは自由に歩き回れる長さで部屋の両端に縛り付けた。 二匹ともが俺が何をしたいのかが分からず俺を見ている。俺もこんなお仕置ははじめてするんだけどな。 その後、俺は今日持っていた袋から小瓶を取り出すと、この散らかったままの部屋じゃまずい事に気づき、散らばった椅子を隣の部屋に押し込み、割れた花瓶を処分した。 テーブルも隣の部屋に押し込もうとしたが俺一人の力では動かず、これぐらいは大丈夫だろうと言うことであきらめた。 俺は部屋の中央にある動かなかったひっくり返ったままのテーブルに乗ると、さっきの小瓶を開けた。 檸檬のような林檎のような淡く甘酸っぱい香りがゆっくりと部屋の中に広がっていく。 二匹とも俺が何をするつもりなのかと座り込んで俺の方を見ている。だが、俺はこれ以上の事をするつもりは無い。 「うる!?うるるる?うるるぅ〜……」 まずアーシェの方に異変が起こる。 うつむいたまま太股を擦りつけてもじもじしている。なんで?と言った感じでこちらを向いた顔は瞳が潤み熱に侵されたかのような表情だった。 「くぅるる!?るるうう!!るぅ〜……」 続いてフィードの方にも異変が起こった。 ペニスを勃起させ、激しく身悶えている。床にペニスを擦りつけて快感を得ようとするが、後ろ手に縛られているためにうまく行かず顎を床に強打してしまう。 「うぐるる!?うぐふぅ、ふるうるぅ……」 二匹とも懇願するようにこちらを見ている。ここで簡単に許してしまってはお仕置にならない。俺は座ったまま腕を組んで黙り込んだ。 さっきの小瓶の中身はわかりやすく言うと雄雌共用のフェロモンみたいなものだ。正確に言うとこの中に入っている液体の匂いに脳が反応し、擬似的な発情期を誘発する。 だからこの薬品の場合はまったく成熟して無い幼体や生殖の役目を終えた老体でも発情期のような状態を起こす事が可能なのだ。 もっとも、俺はそんな事には使わないし、そんな趣味の奴も知らないが。 「うるぅ〜……うるる、うるぅ〜……」 「うるるぅ、うるぅるぅ〜……」 しばらく経ち、アーシェは歯を食いしばって震えていた。フィードの方はもう無駄だと分かっているはずなのに床にペニスを擦りつけようとして何度も額や顎を床に打ち付けていた。 アーシェのほうもフィードの方も、顔は涙でぐしゃぐしゃになり、床は愛液と我慢汁でべとべとにしていた。 俺はフィードの方に行くと、足の戒めを解いてやった。本当ならこの倍の時間は放置しておくつもりだったのだが、これ以上は何だかかわいそうになってしまっていた。 この二匹にはどうしてこんなに甘くしてしまうのだろうか? 「二匹とも仲良く、な?」 この言葉の意味がわかったのか、フィードはアーシェに向かってふらふらと歩いていく。アーシェは額を床につけ、足を開くとお尻を高く上げ、尻尾をピンと立てた。 「くぅ、きゅうん?うるぅ〜……」 フィードはアーシェのヴァギナに挿入しようとするが、後ろ手に縛られているために狙いがつけられずにあせっていた。 アーシェはアーシェでもどかしそうに腰を振り、早くフィードのペニスを受け入れようとしているがそれは逆効果にしかなっていなかった。 ずぷっ! 偶然に近い形でフィードのペニスの先端がアーシェの中に入った。 「きゅあっ!きゅあああぁ〜っ!」 ずぷずぷとゆっくりアーシェのヴァギナに結構大きなペニスが飲み込まれていく。それだけでアーシェは軽くイってしまったらしい。 アーシェは自分の足を戒めているロープを噛み締めると、絶え間無く襲ってくる快感に身体を震わせながら闘っている。 しかしフィードはそれに気づく風でもなく、腰を大きく激しく打ちつけている。そのたびにアーシェの口からは熱い吐息が漏れてくる。 「くぅっ、うるるっ、うるうぅ〜っ!!」 フィードが大きく吠えると、アーシェの膣に精を吐き出した。その後、フィードは射精の余韻に震えていたが、数秒後には再度ストロークをアーシェに叩きつけていた。 普通人間であれば、この二匹の行為は近親相姦となるが、ビーストにはそんな概念は無い。 むしろ、兄妹や父娘で仔を成すと言う事もビーストの社会では決して珍しい事ではない。が、母子で仔作りをするという事だけは決して無い。 それから、この二匹は俺が避妊処置を行っている。アーシェの方は排卵が行われないようになっている。が、それ以外の機能は百パーセント、通常体と変らない。 フィードの方は言い方が変だが、精液の中に精子がない。中に似たようなたんぱく質の物質はあるが、卵子に入り込み卵割を起こす事は決して無い。 だからこの二匹がいくら交尾をしようが子供が生まれる事は無いのである。 「くぅうっ、くぅうぅ〜ん!!」 どくっ、どくっ、どくっ、どくっ……。 再度アーシェの膣に精液がたたきつけられる。アーシェはすでにぼうっとして脱力しているが、フィードの方はまだ物足りないようである。またすぐにストロークを再開した。 そしてまたアーシェの膣に精液が注ぎ込まれた。それで満足したのか、フィードのペニスがずるりと引きぬかれる。 と、フィードがばったりと倒れた。今のは抜いたと言うよりも抜けたが正しいのかもしれない。派手にヤって疲労が一気にきたのだろう。はぁはぁと荒い呼吸に目の焦点が定まっていない。 アーシェは交尾をしていた体制からぴくりとも動かず、ペニスが引きぬかれたヴァギナからはどろりと精液が垂れて床を汚した。 俺は浴室の方に行き、バスタオルを二本もって応接間に戻ると二匹の身体をきれいに拭いてやった。 身体を拭き終わると、二匹ともまだ少しぼうっとしているが立てるくらいには回復していた。思っていたよりも厳しいお仕置になってしまったようだ。 「ふぅ、二匹とも大丈夫か?」 二匹ともまったく同じ動きで首を縦に振る。 「それじゃ、まずはこの部屋の片付けだ!」 俺は二度手をたたく。すぐさまアーシェが隣の部屋からイスを一気に三つ運んできた。フィードは部屋の中央のテーブルをこともなげに持ち上げ、ひっくり返した。 まったく、ビーストのパワーには恐れ入る。俺も人間の中ではそれほど力が無いわけではないが、ビーストにとっては無いに等しいくらいだろう。 が……。言わなかったからしょうがないんだけど……。 「イスやテーブルを動かす前に床を拭いてくれないかなぁ……」 「うるるっ!うるっ!!」 わかった!と返事をすると二匹掛りでイスとテーブルを家の外に投げ出す。って、おい! 「投げるな!コラ!壊れる、壊れる!」 やっぱり俺の躾はかなり甘かったのかもしれない……。 あれから約一時間程度で部屋の掃除と片付けはすんだ。流石にまだちょっと若いとは言え、ビーストのパワーがあればかなり早く終わる。 家具の方はイスの足が一つ折れたが、残りはすべて無事だ。まぁ、家の中でビーストを放し飼いにしているわけだから丈夫な家具を選んではいたんだけど。 う〜ん、バカな仔ほどかわいいし……。しかし、それでA級ビーストマスターを名乗るのって……う〜ん……。 「うる?」 「うるる?」 どうしたの?って……お前達のために悩んでるんですけど……。ま、いいか。 「よし、アーシェは飯を作れ!フィードは俺と一緒に納屋で探し物だ!」 「うるるっ!うるっ!」 俺とフィードは離れにある納屋に向かう。今でこそガラクタのように放り込まれている道具類だが、昔魔法使いを目指していた時の装備もある。 「今度は投げるなよ……」 「うるっ!」 うんっ!と返事して納屋の中身のものを放り出す。……おいおい……。 多少乱暴ではあったが、僅かな時間で納屋の中身を全部外に広げた。って、ここは露店かい!何も全部出さんでも……。 ロッド、マント、そしてルーンの刻まれたビーズ。ビーストマスターになりたての時にも使っていた懐かしい品々だ。俺はロッドを握り締める。 「風の精よ、わが命に従え!ガスト!」 俺はロッドをフィードに向かって振り上げた。ロッドの先から風が真っ直ぐフィードに向かって飛んでいく。フィードは両腕を顔の前に持っていき、目を瞑って耐えていた。尻尾が風でばさばさと揺れている。 しばらくの間吹いていた風が徐々に弱まる。 「がうっ!うるる、がうっ!」 「ああ、すまん、悪かった」 いきなり何をするんだ!と、怒っている。が、俺はそれを軽く受け流した。腕の方は鈍ってはいないようだ。なんせ、A級を取ってからこんな事はした事は無かったからな。 「それじゃ、残りは全部元の場所に戻してくれ」 フィードは無言で物を持てるだけ抱えると、納屋の中にがしゃあ!と放り込んだ。 ……まだ怒ってる? 俺はフィードをなだめながら家の方に向かった。ドアを空けると、良い香りが部屋中に広がっていた。 「うるっ!」 ばしっ! つまみ食いをしようとして皿に伸ばしたフィードの手をはたく。 「まだお預け!」 「うるぅ〜……」 しぶしぶと手を引っ込めて椅子に座るフィード。それでも未練がましく手をのばそうとしている。 アーシェもフィードも一通りの家事はできるが、料理はアーシェの方がうまい。フィードもアーシェの料理が好きでいつもより良く食べる。 しばらくすると、奥の扉が開き、アーシェが料理用の作業着であるピンク色のエプロンを着て両手に大きな皿山盛りの料理を持って入ってきた。 のはいいけど、口がもぐもぐと動いている。アーシェもつまみ食いすんなよな……。 アーシェはお皿をテーブルに置き、エプロンをはずして壁のフックにかけた。テーブルには野菜も肉もふんだんに使った美味しそうな料理がたくさん並んでいる。昼なのに……。 アーシェが席につき、まずはお祈り。 「主よ、本日も糧を得る事ができた事に感謝……って、コラ!」 二匹とも、俺の祈りが終わるのを待たず、ものすごい勢いで料理を食べ始めた。それも素手で……熱いのに……。ちゃんとフォークもスプーンも使い方を教えたのに……。 俺も一通りお祈りをすませると、料理を口に運ぶ。うむ、おいしい。そして俺はテーブルワインをグラスにそそ……ごうとしたけどワインが無い。 「って、コラ!ビンごと飲むな〜!」 フィードがビンから直接ワインを飲んでいた。とほほ……。俺はフィードからワインを引ったくり、グラスにワインを注いだ。アーシェの方はちゃんとグラスに注いでから飲んでる。よしよし。 「うるるっ!」 「うるるるっ!」 あれだけあった料理があっさりと無くなった。毎食こうだから、食費だってバカにならない……。家、増築したいんだけどなぁ……。まぁ、ワインはヴァン・ド・ターブルだから大して高くないけど。 「フィードは食事の後片付けして、アーシェは調合を手伝え」 「うるっ!うるるっ!」 俺はアーシェを連れて地下室に向かう。地下室への扉を開くとアーシェが夜目を効かせて次々と明かりに火をともす。 地下室は調教用の部屋と薬品などの調合をする研究室と一時的にビーストを入れておく檻のような部屋がある。 俺は一番手前のドアを開け、研究室の中に入った。 「カンガネソウとすり鉢を取ってくれ……ああ、そうだ、蒸留水を作ってくれ」 「うるるっ!」 俺の指示通り、てきぱきと動いてくれる。ここでの悪戯は痛い目にあいかねないと言う事を良く知っている。 普段もこうだと良いんだけど……。 ……時間が過ぎる。アーシェに頼むような事はもう無くなっていて、俺は自分の作業に集中する。 しかし、じっとしていると言う事は性に合わないらしく、指示が無い時はその辺をうろうろとしている。 「……もう、上に行っていいぞ」 俺は最後の作業をしながらアーシェに言うと、すぐに扉から出ていった。 「さて、俺も行くか……」 それからまたしばらく経ち、俺が地下室から出て窓を見るともう夕方になっていた。 二匹は居間で抱き合うようにして眠っている。元々ビーストは夜行性で野生のものは昼間は寝たりじっとしている。 この二匹も今では昼型になってはいるが、本来は夜行性だ。昼間の事で疲れたのだろう。 今日の夕食は俺が作る事にして、フィードのエプロンを借りた。最近は料理もこの二匹に任せていたから、俺が料理を作るのも久しぶりだな……。 俺は頭を掻きながらキッチンに向かい、調理に取りかかった。 「うるるる、るるるっ!」 いつもと変らず、二匹ともがつがつと食べている。あれだけ作った俺の料理が見る見る無くなっていく。 貯蔵庫の食材ももうほとんど無い。困ったものだ……。何故か最近は仕事が少なく、貯金もじわじわと減ってきている。成功報酬を基本としてやっているから、明日の仕事は絶対に成功させなければ。 俺は後片付けを二匹に任せ、明日の準備をして早めに寝ることにした。が……。 ……うるさい!夜中に家の中を走り回るな〜!! ………………。なんか、少し寝不足のような気がする……けど、今日は勝負の日なんだ。負けるわけにはいかない。 まだ寝ている二匹を置いて馬車に乗り込む。今からゆっくり行けば日は十分に昇っているだろう。 ゆっくり、うとうとしながら馬車を走らせた。 「今日も、荒らされてますな……」 「早く何とかしてくださいよ、このままではうちは……」 「とりあえず、罠を設置させてもらいます。それから今日は直接捕獲に向かいますので。必ず捕まえますよ。……ところでギャラですが……」 俺は交渉の末、報酬を上げることに成功した。まぁ、弱みにつけ込んだとも言うが。 俺は罠を時間をかけて設置した。しかし、あいつ相手にはあまり役に立たないだろう。というか、まったく役に立たないかも……。 罠の設置を終わらせると俺はビーストが出てくる森の中に入っていった。 「風の精よ、我が命に従い、我が存在を希薄にせよ!インビジブル・ウィンド!」 俺の周りに薄い空気の膜が張る。この膜が俺の匂いを遮断し、音や気配も小さくする。完全ではないとはいえ姿を見る事はできるが、目以上に他の感覚が鋭いビーストには効果的だ。 俺は落ちている毛や糞などの情報を見落とさないように慎重に森の中を進んでいく。 時々上から落ちてくる山蛭を振り払いながら俺は奥へと分け入る。 あれからどれだけ経っただろう。真上に見えていた太陽はもう見えなくなり、木々の影が伸びては来たがまだ暗くは無い。夕方より少し前、と言った所か。 俺は目の前の巨木にもたれ掛かって寝ている、虎のような模様のビーストを草の陰に隠れて見ている。 雌のビーストで俺と同じ位の体格。雌にしては少し大きめ、と言った所か。無防備に大きな胸を放り出し、大股を広げて眠っている。これならば、楽勝で捕獲できそうだ。 俺は額から垂れて目に入りそうになった汗をぬぐった。 ……いない!たった一瞬目を離しただけなのに目の前のビーストが消えている。どこだ!? 上ッ!かぁッ!! 俺は横に思いっきり飛ぶと、元いた場所に黄色い塊が降ってきた。 ヤツ、だ! 俺はインビジブル・ウィンドを解除し、杖を構えた。その瞬間やつの身体が揺らめき。消えっ!!いや、右上ッ!!い、違うッ!速いッ! ヤツは木の上を縦横無尽に飛び回り、俺に向かって落下してくる。俺はそれをかろうじてかわす。ローブの端が吹き飛び、宙を舞う。俺の代わりにヤツの攻撃を受けた大木が大きな音を立てて倒れた。 ……マジかよ。あんなの直撃したら怪我じゃすまねぇ!捕獲は無理だ!倒すッ!! 捕獲を前提として持ってきた俺の道具類はほとんどが役立たずの荷物となった。俺はその道具袋を捨てるとヤツに向かって身構えた。 「風の精よ、輪が命に従い全てを貫く矢となれ!ウィンド・アロー!!」 俺の杖の先から風の矢が飛び出し、ヤツに向かって凄い勢いで飛んでいく。 しかしそんなものは当たらないとばかりに身をかわすと、俺に向かって突っ込んできた。 「風の精よ、輪が命に従い全てを切り裂く刃となれ!ウィンド・カッター!!」 杖の先から風の刃が四方八方に広がり、空中のやつに向かって収束していく。これはかわせまい! 「ヴルルルグアァーッ!!」 鼓膜の破れんばかりのヤツの雄叫び。空中の風の刃は全て霧散し、ヤツの毛一本にさえ傷をつけることはできなかった。 悪夢のような光景。ありえない出来事。気合で魔法を破壊するなんて……。 たった一瞬の呆然。しかし、ヤツには十分過ぎる時間。俺は回避行動を起こそうとするがもう遅い!左肩に激痛が走り、鮮血が飛び散る。 いや、痛いのも一瞬だけで、すぐに麻痺した。 「く、み、水の精よ、我が身体をやし、再び戦う活力を与えよ!ヒール・ウォーター」 左からに再度激痛が走る。麻痺した神経はつながり、出血は止まった。しかし、しばらくは左腕は動かせない。 俺はやつの攻撃を受け、かわしながら徐々に退却した。しかし、動かない左腕をかばいながらの退却は困難を極めた。 背中を見せれば、一瞬で殺られる。魔法は効かない。利き腕でなくても、腕が振れないと言う事がこんなにツライとは……。しかも、ここは森、ヤツのフィールドだ。 がっ! しまった!!俺は木の根に足を取られ転倒した。 俺は覚悟を決め、目を瞑った。アーシェ、フィード、すまん……もう帰れない……。 ……。 ………。 …………。 ……………。 あれ?追撃が来ない……。 俺はゆっくりと目を開け、あたりを見まわした。ヤツの姿どころか、気配もしない。 一体何故……。俺に止めを刺せない理由は見当たらない。ならば逆に、俺に止めを刺さなくても良い理由……。俺がヤツのテリトリーから離れたから? だとすると、ヤツのテリトリー……と言うより、多分あの巨木に何か離れられない理由でもあるのか? それならば……。 俺は再度インビジブル・ウィンドの呪文を唱えた。多分やつは今日も畑を荒らしに行く。その隙にヤツの離れられない理由を探って捕らえてやる。 俺は左腕の治療をしつつ、じっと時を待った。 ヤツだ!ヤツが俺の目の前を走りぬけていく。俺の存在にはまったく気がついていない。 今のうちに俺はやつのいた巨木の前に行く。その途中で捨てた荷物の回収も忘れない。この木に一体何が……。ん、うろがある……。なるほど、そういう事か……。それならば……。 「うるるるるるっ!!」 うろの中でまだ小さな雄のビーストが俺に向かって精一杯の威嚇をしている。母親と同じ、虎模様のビースト。こいつを守る為の行動だったわけだ。 俺は小瓶を開け、中の薬品をこいつに嗅がせた。 「う……る?るる……ぅ……」 この小さなビーストは抵抗ができず、ぐにゃりと崩れ落ち、すぅすぅと小さな寝息を立て、深く眠った。 俺は手早くこいつを縛り、ヤツを迎え撃つ準備をはじめた。これならヤツと言えども捕らえられるはず。 それからしばらく経った。やつは帰ってくるなり目を見開き、手に持っていた人参や大根をぽとぽとと落とした。 「ヴルルッ!!ヴグルルゥッ!」 ヤツは戦闘態勢を取る。だが、動けない。俺の手には子供が抱えられているから。 「どうした、かかってこないのか?」 「ヴヴヴヴヴ……」 ヤツが睨み付けながらじわじわと間合いを詰めてくる。俺が子供に危害を加えられないくらい瞬時に倒せる間合いまで詰めて一気にかたをつける作戦のようだ。 だが、そんな作戦に乗ってやる俺ではない。 「こいつが気になるのか?なら返してやる!」 俺は抱えていたものをヤツの方向へ投げ捨てる。 「ウルルッ!!」 ヤツがそれを慌てて受けとめる。だがそれは枯れた蔦を縛って作った人形だ。まぁ、子供の尿を振り掛けて匂い付けはしてあるが。 「ウルルルッ!ウルゥ〜ッ!!」 ヤツはその人形を投げ飛ばすと俺に向かって突進してくる。 「ははっ、冷静じゃないな!これでも食らいな!」 俺は小瓶を投げつける。やつはこんなもんっと言った感じで叩き割り、中の薬品を頭からかぶった。普段のやつだったらこんなもんはあっさりとかわしていただろう。 薬品が付着した部分からゲル状の物体が増殖し、ヤツの体を包み込む。やつは必死に振りはずそうとするが、増殖の方がはるかに早く、ヤツは身動きが取れなくなった。 「ガウルルル!ガウウッ!」 しかし、身動きが取れないと言っても、頭の部分は自由で下手をすれば噛みつかれかねない。それにあんまり暴れられては、馬車にも乗せられない。 俺はヤツに近づき、お尻の部分に麻酔を注射をした。 「ヴガルル!ガルヴヴ!!」 さっきよりも派手に暴れている。今の麻酔、象でも一瞬で眠らせるやつなんですけど……。 それでもしばらくすると動きが鈍くなり、まぶたが閉じていった。今のうちにいつもより何倍も厳重に縛ってうろに寝かしておいた子供と一緒に肩に担いだ。 あれだけのパワーがあったにもかかわらず、結構軽い。抱えあげてみると見た目より華奢な体である事が良く分かる。本当の話で、どこにこんなパワーがあったんだろうか? 俺は森を抜けると、まず依頼主に報告に行った。もう、夜も遅いので寝ていたが、報告して捕まえたビーストを見せるとすぐに報酬を支払ってくれた。良い人だ。 罠は後日撤去しに来るので指定域にはまだ近づかないように言っておいた。 これから帰ると真夜中だな。まぁいいや、良い仕事したし、良い素材も手に入った。後はこれを売り物になるように加工しなくては。かなり手間がかかりそうだが、これだけ良質の素材だ。やりがいがある。 「うるるるるるぅっ!うるうるうっ!」 家にたどり着くと二匹が飛びついてきた。遅い、待ってたんだよ。そう言って俺を引っ張っていこうとする。 「あ、ち、ちょっと待て、こいつらを地下室の檻に入れておけ。ああ、雌の方は減力の枷をつけておけよ」 「うるるっ、うるっ!」 フィードが二匹を抱えて家の中に入っていく。俺も後から中に入ろうとしたらアーシェに止められた。 「うるるるるる、うるるうるるる、うるうる、うるる」 フィードが戻ってくるまで、待っていてくれ……か。こんな事を言われたのは初めてだ。一体何があるというのだろう? 「うるるう、うる!」 しばらく待つと、仕事を終えたフィードが戻ってきて、中に入ってくれ、と言う。俺はそれに従い中に入った。 「うるるるるぅ!うーるる、うるぅっ!!」 お誕生日おめでとう!?そうか、もう日付が変ってしまったけど、昨日は俺の誕生日だったんだ。俺自身がすっかり忘れていたのに……。 テーブルにはもう冷めてしまったがいつもと違う、一人前ずつ小分けされた豪勢な料理が並んでいる。ただ、俺にとっては三人前ぐらいあるんだけど……。 アーシェがスープを温めなおしてパンを焼いてきた。うん、おいしい。 今日は最高の日だ。 どしん……どしん……。 俺は家が揺れるのを感じて目を覚ました。 「うるる、るるうぅう!」 「アーシェか?一体何なんだこの揺れは!」 「うるるぅ、うるる、うるるぅ!」 どうやらヤツが暴れているらしい。フィードが減力の枷をつけ忘れたのか? 俺はアーシェと一緒に地下室に行く。そこでは暴れているヤツとそれを檻の外から抑えようとしているフィードがいた。 「グルゥ!!ヴルグァ!!」 ヤツの両足にはちゃんと減力の枷がついている。あれは見た目はただのアクセサリーに見える足輪だが、あれでかなり力は抑えられているはずである。こりゃ、後二つくらい腕につけなきゃだめだな……。 俺は減力の枷を後二つ持ってきてヤツの檻の鍵を開ける。と、同時にアーシェとフィードが二匹掛りでヤツを抑え、俺は急いで減力の枷をヤツの両腕につけた。 ……このパワーにも困ったものだ。 ま、枷を四つもつければ、どんなにパワーが優れていたとて、子供並の力しか出せないはずだ。調教はこの形で行うしかないわな。 俺はまず、ヤツに名前をつけた。名前が無ければ躾にも支障をきたすからな。 「今日からお前は……フレーアだ。子供の方は……うん、ディーンだな」 それから数日、俺は事あるごとにその名前を呼んで世話をした。ヤツは『フレーア』と言う言葉が自分の事であると言う事を理解はした。ただ、俺がその名前で呼ぶとそっぽを向いて無視を決め込むが。 とりあえず、第一段階はこれでいい。 「フレーア、今日から本格的に躾るぞ」 フレーアは睨むような目つきでこちらを向く。今まで何度も組み伏せていたのでもう力では敵わない事を分かっているから、威嚇もできず睨むのが精一杯といった所か。 「そう睨むなよ、ほれ……」 俺はズボンを下ろしてペニスを見せる。フレーアは怪訝そうな顔をして俺のペニスを見ている。 そのまま何分か経った。 「う、る……うぐるるる……ぅ……」 徐々に瞳が潤み、息が荒くなっていく。俺のペニスには擬似発情誘発剤が塗ってある。その匂いをかいだフレーアは擬似発情状態に入ったのだ。 野生のビーストであるフレーアは自分で慰める事も知らず、切なそうに俺のペニスを見ては首を振り、また俺のペニスを見つめた。 フレーアは抗えない肉体の誘惑に勝てず、四つん這いになり、性器をこちらに向け、腰を振って俺を誘惑する。 俺は指でフレーアのヴァギナをなぞる。 「きゅああ〜ん!!」 フレーアの毛が快感で逆立ち、ヴァギナから大量の愛液が滴り落ちた。俺はそれを見てペニスをフレーアのヴァギナにねじ込んだ。 「きゅあっ、きゅあっ、きゅああああぁっ!!」 俺がペニスを動かすたびに甲高い嬌声を上げる。ビーストと人間の間に子はできない。俺はフレーアの膣に精液を叩き込んだ。 「きゅぁ、きゅぁ……」 事が終わり、しばらくぐったりしていたフレーアだったが、擬似発情誘発剤の匂いが途切れると涙目で俺を睨みつけた。 まぁ、最初はこんなもんだわな。 それからまた半月、俺とフィードが交代で擬似発情誘発剤を使い、一日に最低一回多いときは十回ランダムな回数でフレーアに最初と同じような性の調教を施した。 「フレーア、調子はどうだい?」 俺が檻の前に姿をあらわすと同時に俺を睨みつける。俺は数回、フレーアに話しかける為だけに檻に姿をあらわした。フィードも何度か作業着のデニムのオーバーオールを着てフレーアのところに行っている。 これも調教の一環だ。 根気良く、話し掛けと、性の調教の繰り返した。そろそろ次のステップだろう。 俺はフィードと一緒にフレーアのところに行った。 「フレーア……」 俺の呼びかけに対し、何だよ、とでも答えるつもりだったのだろうが、口をあけた瞬間にギャグを装着した。 「ふぐ、ふうぅう〜……」 フレーアはギャグを外そうともがいているが、ギャグは外れない。しばらくフレーアはギャグを外そうとしていたが、俺が誘発剤つきのペニスを出すと、すぐにとろんとした瞳で尻尾を振って俺を誘惑する。 だが、俺はフレーアの正面に回り、頭を掴むと開けたまま閉じられないフレーアの口にペニスを突っ込んだ。 「ふぐ、ふぐぐ……」 フレーアは俺のペニスを押し出そうとするが俺はそうはさせない。そんなやり取りをしばらくしていると、フィードは後ろからフレーアのヴァギナを弄くり回した。 「ふぐうぅ!」 いきなりの刺激に口のほうの抵抗が弱くなる。俺は喉の奥までペニスを突きいれる。 「うぐ、うぐうぅ……」 フレーアが瞳に涙を溜める。だが俺は容赦せずにストロークを繰り返し、口内に精液を叩き込んだ。 そして俺がフィードに合図を送ると、待ってましたとばかりにオーバーオールを脱ぎ、フレーアのヴァギナにペニスをねじ込んだ。 「ふぐうぅ〜っ!!」 フィードのペニスがねじ込まれた快感でフレーアの身体が跳ねる。フィードのペニスには雌専用の媚薬が塗ってある。 ヴァギナから直接媚薬を吸収し、すぐに大きな快楽の波となってフレーアを襲う。 「ふぐ、ふぐぐ、ふぐぅ……」 フィードが何度も何度もペニスを叩き込み、そのたびにフレーアはイって身体を跳ねさせる。 この快楽をペニスを舐めると言う行為との因果関係として結びつける。こうする事でフレーアにフェラチオを覚えさせるのだ。 後一週間。正確には十日後に年に二回のビーストのオークションが開かれる。それにもうフレーアもディーンも出品予定だ。 ラストスパート。最後の仕上げだ。 ディーンの方は素直ですぐにナイフやフォークの使い方、掃除の仕方などを覚えた。 フレーアには手を焼いたが何とか粗相をしない程度には躾る事ができた。まぁ、フレーアは夜伽の躾のほうに力を入れていたせいもあるのだが。 あとはフレーアがちゃんと仕上がっているかの確認だ。これに失敗すれば出品は取りやめなければならない。 俺はフレーアの前にディーンを連れていく。五ヶ月振りの再会だ。だが、フレーアはディーンを見ると眼をとろかせ、息を荒くした。 ディーンはフレーアを見ると走っていって飛びつく。しかし、フレーアは再会を喜ぶディーンを押し倒すとペニスを舐め始めた。 ディーンの知っているフレーアはもういない。フレーアはペニスを見ると発情する、浅ましいケモノに成り下がっていた。 徹底して反復した調教の結果、もう誘発剤など無くても発情してしまうのだ。 ディーンはまだ成熟しておらず、性的な快楽もまだ知らない。母親から与えられるはじめての快楽に必死で抗い、逃れようとする。しかし、フレーアはペニスを舐めるのをやめようとしない。 びくん、びくん、びくん……。 精通もまだ無い幼いディーンは母親の舌ではじめてイくと言う事を覚えた。フレーアは呆然とするディーンを眺めながら、ディーンにまたがって、ペニスをヴァギナにあてがうとずぶずぶと腰を落としていく。 これが、世界でも初めて、ビーストの母子が交尾をする瞬間だった。 俺はどうして良いか分からないディーンに発情誘発剤を嗅がせた。理性を本能が凌駕し、激しく腰を振り続ける二匹。 調教は完璧。後はオークションを待つだけだ……。 俺の調教したフレーアは美しさと淫らさを兼ね備え、値はガンガン上がっていった。 「七万八千!七万八千ありませんか!?七万八千で落札!」 七万八千もあれば、家を増築しても、ニ〜三年分の蓄えになる。俺の今までの仕事の最高値の三倍以上だ。こんな値段をたたき出せるのはA級の上、一握りしかいないS級の奴等だけだと思っていた。 これほど嬉しい事は無い。 ディーンは残念ながら大した値段はつかなかった。二匹は離れ離れになり、もう二度と合えないだろうが、幸せに暮らすだろう。 これで俺の仕事は終わった……。 < 終 >
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