二戸市福岡の相馬幸子さん方で２８日、息子とみられる３０歳代の男性が刃物で刺され死亡した事件で、近隣住民からは「優しくていい人なのになぜ事件に巻き込まれたのか」などと驚きや不安の声が挙がった。【安藤いく子、浅野孝仁】

　１１９番通報したヘルパーの女性が所属する市社会福祉協議会によると、相馬さんは週６日、デイサービスや家事援助などの介護サービスを受けていた。ヘルパーが２８日午前８時半に相馬さん方を訪れ、普段はカギが開いている玄関から入ろうとしたが、カギがかかっていたため、裏口から入った。普段は出社しているはずの息子の寝室の電気が付いていることを不審に思った相馬さんが声をかけたところ返事がなく、室内に入ったところ、血を流している息子を発見した。

　相馬さんは息子と２人暮らし。息子は５年以上前から警備会社に勤務し、道路工事の交通整理をしていた。警備会社によると、２７日は午前８時から午後５時まで、同市内の道路工事現場で交通誘導を行っていた。翌２８日も同じ場所で勤務だったが、始業時間を過ぎても姿を現さなかったという。同社の社長は「仕事ぶりはまじめで性格は温厚。後輩の面倒見も良かった。母親の介護をするなど孝行息子だったのに、なぜ事件に巻き込まれたのか」と話した。

　近所に住む無職の女性（８７）によると、息子が相馬さんの介護していた。相馬さんは女性に「あの子がいないと生きていられない」と話すほど、熱心に介護していたという。

　二戸市教委によると、事件現場に近い市立福岡小学校では教職員が見守りながら、集団下校した。