眠ってから一時間半ほどしてからだろうが、奇妙な違和感を覚えたので目を覚ますと先ほど達したにも関わらず再度股間が疼きだしている。ショーツはすでにジットリと湿ってしまっている。

「うっ……うそっ……あっでも……っ」

 混乱を覚えながらも横になった体制のまま、自らの左手で胸を揉み乳頭を刺激していると次第に興奮は高まり右手はショーツの中へと入り込んでいた。浴槽の時と同じ快感が全身を襲う。

「なっ……なんっ……んんっ……あ、ダメっ……なのにっ……!」

 口の中も指先も目もそれぞれが様々な液体で溢れだし強い快楽が高まっていき、次第にそれは指では物足りなってくる。潤んだ瞳で部屋を見渡すと、細長い筒状の駄菓子の容器が目に入ってきた。ピリピリと全身を襲う快楽に身を悶えさせながら容器を手に取りウェットティッシュで綺麗にふき取ると自分の股間に押し当てた。

「ふぁっ……!あぁっ……!」

 力強く、そしてリズミカルに容器を動かしてより自分の求める場所へと導いていく。最後には今までで一番強いオーガズムが体内から襲ってきて私は思わず甘い吐息と共に小さく声を漏らして絶頂を迎えると同時に尿道からピュッピュッと水が漏れていくのを感じた。潮吹きっていうのは聞いたことはあったけど、自分がなったのは初めてだったので快楽が収まるまで私はオネショのように濡れたショーツと布団の中で放心状態になりながら項垂れていた。

 

 結局その後眠りに就こうとしても異常な性欲が私を襲ってきて、この後も二回自らを慰めてクタクタになりながらゆっくりと眠る事が出来た。スッキリとした気持ちからか夢の中ではとても開放的な気分で、まるで幼い頃に戻ったかのように考える事を忘れて眠りに落ちた。

 

 しかし結局はいつもの三分の二ほどしか眠る事が出来ず、目覚ましの音が鳴ると気だるい体を起してシャワーを浴びた。

「昨日はなんであんなに体が疼いたんだろう……」

 昨夜の乱れた自分の姿を思い出して顔が熱くなるのと同時に、また股間がジュンッと熱くなってきそうだったので早々でシャワーを切り上げた。

 体を拭きながら部屋に戻るとおかしな事に気付いた。私の制服が無くなっている。いつものハンガーには何故かA高の制服ではなくバカ商の制服が掛かっていた。ママが誰かから預かってきたりでもしたのかな?

「ママ、私の制服知らない?」

 リビングでママに制服の場所を尋ねてみた。しかし返ってきた答えは。

「何言っているの、いつもの場所にあるじゃない」

「え?だってあれバカ……漠下商業の制服じゃない」

「何だ、あるじゃないの、漠下商業の生徒なのだからその制服を着るのは当たり前でしょう?」

 ……ママは何を言っているの?私がバカ商の生徒?

「ママ……私が通っているのって英久高校だよね?」

 するとポカーンと呆れた顔をされて大きなため息をつかれた。

「コトネ……あんたの頭が良くないっていうのは分かっていたけどまさか自分の通っている高校を忘れちゃうとは思ってもいなかったわ……しかもあの英久高校と勘違いするなんて……頭でもぶつけたの!?」

「えぇっ!?正常だって!だって昨日までは普通に……」

「いい加減にしなさい!!」

 その後も粘って説得を試みたがママには漠下高校に早く行きなさいと怒られ家を追い出されてしまった。バカ商の制服に袖を通し自転車に乗ったはいいけどこんな格好で英久高校に行けないし……。あ、携帯で学校に事情を説明しておけばいいのか!

「……あれっ!?」

 何故か携帯には登録されているはずの英久高校の電話番号が入っていなかった。それにいつの間にか高校の友達の番号も消去されて、全然知らない人の名前に挿げ替えられてある……。

 そこで私は段々と事態を飲み込み始めた。確認していくにつれ背筋が冷えて足が震えて来る。鞄の中の教科書も英久高校で使用されている物ではなく別のものに変わっている、書き込んだはずのノートも無くなり新品の様な無地のノートがあるだけ。極めつけは携帯で英久高校の電話番号を調べて連絡しても須田コトネという人物はうちの高校にはいないと言われ、そんな筈はないと怒鳴ったところ一方的に通話を切られてしまった。

「どうなっているの……?」

 呆然と立ち尽くしていたところに元気よく声を掛けられた。

「おはようございますぅ!」

 振り向くと薄手アスナが自転車に乗りながら手を振っていた。私は目を開いて驚いた。いきなり声を掛けられたからではない、彼女が着ている制服が英久高校の物だったからだ。

「そ、それ!!私の制服!!」

 指を指して叫ぶと彼女はキョトンとした顔で自分の制服を見るとアハハハハと笑いだした。

「何言っているんですかぁコトネさん、これは私の制服じゃないですかぁ、昨日もここでそんな会話をしたばかりじゃないですかぁ」

「えぇっ!?だってあなたが着ていたのって漠下商業の制服じゃ……!?」

「はぁ……?漠下商業ってコトネさんの通っている高校でしたよねぇ?私は英久高校に転校したんですよ?あ、そうそう漠下商業の偏差値を見て驚いちゃいましたよぉ、入学試験ってどんな問題が出たんですかぁ?」

「そ、そんなの私が知っている訳無いじゃない!!」

「そんなに怒らないで下さいよぉ、あ、もうこんな時間だ、私急ぎますんで先に行きますねぇ……コトネさんも急がないと遅刻しちゃいますよぉ!」

「え!?ちょっと待って!!」

 私が止めようとしても薄手アスナは自転車を走らせて行ってしまった……。何故か私と薄手アスナの通う高校が逆になっている……。一体なぜ……?

 流石に私の頭を使って考えても分かる筈が無いので仕方なく私は漠下商業高校へと向かう事にした。いったん落ち着いて事態を少しづつ把握していかなくちゃならないわ……。

 

まえ                                             つづき