各地で開幕し、名古屋グランパス−磐田の東海ダービーは1−1で勝ち点1を分け合った。昨季王者の広島は浦和に1−2で敗れ、黒星スタートとなった。同2位の仙台はJ1復帰の甲府に追い付かれ、1−1で引き分けた。横浜Mは途中出場した斎藤の勝ち越し点などで、3季ぶりJ1の湘南を4−2で退けた。C大阪は後半43分の柿谷の決勝点で新潟を1−0で下した。FC東京は4季ぶりにJ1に戻った大分に2−1で逆転勝ちした。大宮−清水は2−2、鳥栖−鹿島は1−1でともに引き分け。
◆名古屋1−1磐田
最低限のミッションはクリアした。試合後の会見で、ストイコビッチ監督が終わり際に自ら切り出した。「きょう一番良かったことは、前田にゴールを許さなかったことだ。これでJ1はセーフ(安全)だ」。頭上に両手で丸印をつくり、いたずらっぽく笑った。
勝てはしなかったが、開幕戦の不敗神話は「11」にのびた。磐田FW前田がシーズン初ゴールを挙げた相手がJ2に降格するという“前田の呪い”を無事に回避し、指揮官は冗談交じりに安堵(あんど)感を口にした。
1月に開幕カードが発表されて以来、注目は“呪い”の一点に集まっていた。主将のGK楢崎は「ずっとこの話題でしたから。次のチームは1週間で済むけどね」。プロスポーツの世界では、勝利のために縁起を担ぐことも多い。呪いの2文字は無言の圧力をグランパスにかけていた。
戦術的にも「ストップ・ザ・前田」は磐田戦のテーマ。守備的MFの田口は「磐田が前田さんを中心に攻めてくることはわかっていた。くさびのパスが入ったら、DFとはさみ込んでボールを奪おうと思った」。相手エースを徹底マークし、遠めからのシュート2本に抑え込んだ。
試合自体はドタバタ続き。大黒柱のDF闘莉王が後半早々に負傷退場。ピクシーはDF阿部を投入し、全く練習していない「4−4−2」で急場をしのごうとしたが、チームは逆に浮足だつ。同点に追いつかれ、さらに相手シュートがポストに当たるなど攻め込まれた。前田を封じて勝ち点1を得た結果は、開幕戦としては悪くない。
楢崎は「不吉なものは他に譲ります。(後半戦に)もう一度回ってきたらマジでひきますけど」と笑う。負のジンクスを一掃し、次戦からはピッチ内のパフォーマンスに100%集中できる。快進撃の下地はできた。
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