ブラジル−日本 4回裏に同点を許し、厳しい表情を見せる杉内。右は先制を許した先発の田中=ヤフオクドームで(潟沼義樹撮影)
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◇WBC ブラジル戦 日本5-3ブラジル
エースがローテ落ちの危機に立たされた。初戦を任された田中は立ち上がりに失点するなど2イニング4安打1失点の乱調で、わずか23球で降板。次回登板が予定されていた8日の2次ラウンド初戦の先発マウンドが剥奪される可能性が出てきた。
第1回大会(2006年)の上原、第2回(09年)のダルビッシュに続くWBC開幕投手の栄誉を受けながらも、あまりにも早いタオル投入が待っていた。
1回、オルランドの内野安打に失策が絡んで1死三塁とされ、レジナットの左前打であっという間に失点。2回にもピンチを招くと、山本監督に3回から杉内へのスイッチを決断されたのだ。
これで調整試合から3試合連続で初回に失点。東尾投手総合コーチは「絶対落とせない試合というのもあるし、嫌な点の取られ方をしていたので」と説明したが、首脳陣の田中に対する信用失墜は明らかだった。
失意のマウンドとなった田中は「何も言うことはない。言える立場じゃない。ああいうピッチングをしていたら短期決戦では使ってもらえない」と自分への怒りをにじませた。
田中を外すなら、代役はこの日3イニング1失点で勝ち投手となった摂津、経験豊富な杉内が筆頭候補になってくる。東尾コーチは「本人も燃える、ハッスルするところもあるでしょう」と田中の復調に期待をかけたが、相手のレベルが格段に上がる2次ラウンドでは同じ失敗は許されない。
与田投手コーチが「実力を疑うということではなく、この時期にどれだけのことができるか。いろんな可能性がある」と話したように、エースと言えど、状態の良い投手を優先する用兵も視野に入ってくる。(臼杵秀之)
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