和佳子は郁也の眼前で、片手でバイブを抜き差しし
もう一方の手で乳房を揉みしだきつづけた。
やがて膝で立っていられなくなり、背中が床についた。
郁也に向けて股をひろげ、膝を曲げて立てた姿勢だ。
「あううう、あうーッ、感じる、感じるう……ッ!」
あられもないよがり声を吐き散らしながら、それでも
しっかり郁也のほうを見て、
「郁也、見て、これがママのオナニーよ? ああッ、イク、
イクうーッ!」
絶叫して尻を浮かし、爪先までそりかえらせた。
《読者からの解説と感想》その1
母子相姦もののお話ですが、これまでの相姦ものとは少し違った感じがしました。
いきなり母子が奴隷調教を一緒に受けることになるのですが、今回は調教をする側に同情の気持ちもわいてきました(笑)
余命いくばくもない泰造の願望であった奴隷調教・・・
結局 極楽往生を遂げたので よかったと思いますが(笑)
最後の最後で、サブタイトルの「開かれた相姦の扉」の意味がわかるような気がします。
面白かったです。みなさんも読んでみてください。
メグ(MLメンバー)
《読者からの解説と感想》その2
笹村郁也は、はじめて母・和佳子の下着姿を見た。
黒い下着姿の母に、今まで感じたことのない「女」を意識した。
自殺した父親は、勤め先の医療法人から多額の横領をしていた。未亡人となった母
に、その莫大な金額が請求される。
それはとても、母子に返済出来る金額ではなかった。
脳腫瘍であと二ヵ月の命と宣告された医療法人・緑友会理事長・牟田口泰造は、困
り果てた母子に、ある契約を迫った。
それは、二ヵ月間、二人が泰造の性的奴隷になるという、屈辱的な契約だった。さ
らにその契約には母子がセックスをするという項目も入っていた。
ショックを受けて言葉を失う郁也。
だが母は、それを当然のことのように受け入れた。
「あなた、ママの下着を使ってオナニーしているでしょう? だから、私を、汚れた
パンティだと思えばいいのよ」
こうして母子は、泰造の別荘に監禁され、理事長秘書サリナの過酷な調教を受けな
がら、次第に奴隷としての快感に目覚めて行く。
拷問の末に明かされる母の秘密……。
そして運命の母子相姦の時がやって来た。
★
あと二ヵ月の命と宣告されたら、あなたは何をするだろう?
本作の影の主人公とも言うべき牟田口泰造は、部下の未亡人とその中学生の息子を
性的奴隷として奉仕させるだけでなく、母子相姦という禁忌を冒させることによって他人の運命を操ろうとする。
これを単なる欲望、煩悩と言い捨てることも、男のロマンと賞賛することも、あな
がち間違いではないだろう。
あるいは「神への挑戦」などと大風呂敷を広げることも出来る。
しかしこの男の仕掛けたゲームには、どこか人間そのものの究極の姿を見極めたい
という姿勢が感じられて仕方がない。
エディプス・コンプレックスを持ち出すまでもなく、母子相姦とは人類最大の禁忌
のひとつであるのと同時に、子宮回帰願望を激しく刺激するファンタジーでもある。
そこから生まれた者が、自らの生まれた場所に帰って行く……。
それは、「死」と同義ではないのか?
泰造の見極めたかったものとは、そういうものだったのかもしれない。
自分で確かめたくても、彼の母はもういないのだから……。
「なんという極楽。いや、これは地獄なのか」
(第十二章 越えた境界線)
泰造の別荘は「トド岬」にあると示される。トド岬の所在地については、物語の終
わりの方で明かされるのだが、熱心な館淳一ファンなら、その地名だけでピンと来る
はずである。
回想シーンで登場する『スリップ倶楽部』という趣向など、それだけで独立した作
品を読みたいと思わせるほど魅力的だ。
また、『バルバロス・ルージュ』という秘密クラブの名称は、『愛奴創生』に登場
する『バルバロス館』を連想させ、興味深い。
さらに本書にも、ベテラン作家ならではの珠玉の名言がちりばめられているのも、
魅力のひとつである。
いつか、これらのアフォリズムを集めた『愛のレシピ 館淳一アフォリズム集』な
んて本が出版されたら、きっとベストセラーになるに違いない。
たとえば、こんな感じで……。
(恥ずかしいというのは、肉体が恥ずかしいのではないんだ。心が恥ずかしいんだ。恥ずかしいという心を覗かれるから恥ずかしいんだ……)
(第八章 地下牢調教地獄)
そうそう、恥じらいを失ったら、人間、おしまいよね。
詩織(MLメンバー)
《作者より》
作者はこれまで、取材もかねて何人もの熟女のかたと会って話を聞いてきました。
取材ですから(笑)皆さんマゾ願望の強いかたばかりですが、ご主人が必ずしも「ご主人さま」とは限らない。
ご夫婦でSMを楽しんでおられるかたは稀で、たいていのかたはひそかに被虐の欲求を満たすために活動されています。
中には思春期の息子さんがいる母親もおられて、そういうかたの息子に生まれてみたいと思ってしまいます。(笑)
息子として考えられる最高のプレイパートナーは美しい母親ではないでしょうか。
その理想像、あるべき姿を考えてはいろいろな作品に書いてきましたが、この作品では母と息子を納得ずくで連行し、地下牢に一緒に閉じこめてしまうことにしました。
暴君として君臨するサディストは、拷問により母親の秘密を次々に息子の前に暴露させてゆきます。
考えもしなかった母親の実像を前に戦慄する息子の姿。それを書きたかったのですが、さて、うまく書ききれたでしょうか。
《書誌情報》
本書はフランス書院よりフランス書院文庫シリーズ(通算ナンバー1038)として文庫判型で刊行された。
電子テキストはフランス書院ダウンロードサイトより購読できる。(09年12月現在)
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