日本経済新聞

3月3日(日曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

トップ > 社説・春秋 > 記事

経済の姿を正しく映す債権法の改正に

2013/3/3付
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント

 企業や個人の取引などに関する包括的なルールが、約120年ぶりに書き直される。民法の中で1896年(明治29年)に定められた債権法と呼ばれる部分で、法制審議会(法相の諮問機関)が改正の中間試案をまとめた。

 改正の目的は、時代の変化に合わせて民法を現代化することにある。経済や社会の姿を正しく映す改正とすべきだ。

 中間試案によれば、支払いの遅れた債務の返済などに用いる法定利率を、現在の年5%から、市場の実勢を参考に年1回見直す方式に改める。長らく固定されていた金利を変動制にする案は、市場の時代に合わせた民法の現代化を象徴している。

 インターネットの普及に伴い、個人が膨大な量の約款に目を通したことを前提にしたモノやサービスの売買契約が増えた。そこで中間試案は、民法に約款の規定を新設し、消費者に著しく不利な内容を無効とできるようにしてはどうか、と提案している。

 消費者保護を強める方向性は時代の流れだ。しかし、消費者契約法など消費者を守る法律はすでにある。他の法律では不十分なのかどうかといったことも検討し、個人に役立つ内容にしたい。

 中間試案には、丁寧な実態把握がなお必要と思われる点もある。代表的なのは、金融機関が主に中小企業にお金を貸す際に求める、個人保証に関する改正だ。

 事業が失敗し、経営者以外の保証人の生活も破綻するケースは後を絶たない。そこで中間試案は、個人保証を原則として経営者に限ることを検討課題とした。

 銀行が融資の焦げつきを恐れるあまり、多くの保証人をつけさせる慣行は改めるべきだ。一方で、懐に余裕のある個人が善意から、企業の保証人になるといった場合もある。保証人の規制を一律に強めることで、企業を支援するお金の流れが滞る副作用も考慮すべきだ。この点は貸し手と借り手からの実例報告が不足している。

 中間試案の改正項目は、難しい条文の書き直しや判例の取り込みも含め、約300に及ぶ。法務省は意見を2カ月間募った後に議論を再開し、早ければ2015年の国会に法案を提出する。

 大量の試案を読んで考えをまとめるには、2カ月では短いとの声は多い。期間を延ばし、平易な解説も添えるなど、多くの意見を集めるための工夫が必要だ。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
関連キーワード

経済

【PR】

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 11,606.38 +47.02 1日 大引
NYダウ(ドル) 14,089.66 +35.17 1日 16:37
英FTSE100 6,378.60 +17.79 1日 16:35
ドル/円 93.57 - .60 +0.99円安 2日 5:49
ユーロ/円 121.87 - .92 +0.82円安 2日 5:48
長期金利(%) 0.645 -0.015 1日 16:57
NY原油(ドル) 90.68 -1.37 1日 終値
ニッポン金融力会議

東北復興Bizポータル

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について