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【社会】

浦安 液状化遺構ひっそり完成

液状化で地中から飛び出たマンホールを保存した震災モニュメント=千葉県浦安市高洲で(村上一樹撮影)

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 千葉県浦安市で、東日本大震災による液状化で地上に突き出したマンホールの震災モニュメントがひっそりと完成した。震災を後世に伝えようと保存に着手した市に対し、一部住民から「忘れたい記憶をわざわざ思い出させる」と反発の声が上がっていた。市はお披露目式典は開かず、整備を終える。 (村上一樹)

 マンホールは、高層マンションが立ち並ぶ「高洲中央公園」の駐車場にある。液状化でアスファルトを突き破り、高さ約一メートルほどキノコのように頭を出した。もとは地下に埋設した災害用貯水槽の一部だったが、震災時に壊れ、断水に悩む市民に飲料水を配る機能は果たせなかった。

 一帯は一九八〇年に埋め立てた造成地。震災で地割れが起き、泥水が噴き出した。マンホールは市内の86%が液状化した被害の象徴として、本紙を含めメディアで取り上げられた。市が約百五十万円をかけ遺構設置に着工したのは二〇一二年秋。防災教育などへの活用も理由に挙げた。一方で、付近の住民らは「一度も市民に問うこともなく拙速に決められた」と反対、昨夏から年末にかけて約四千人の反対署名を市に提出した。

 しかし工事はそのまま続行、二月中旬までに完了した。今は道路から目に触れないよう植栽で覆う作業中だ。

 すっきりしないまま完成となり、近くに住む主婦(65)は「できてしまったものは仕方ないが、モニュメントは本来は心の支えになるもの。反発を買って造っても仕方がないのでは」と顔を曇らす。

 こうした声に、松崎秀樹市長は「震災を風化させないためだけのものだ。華々しくやる話ではなく、除幕式などは考えていない」と理解を求めている。

 

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