「核のゴミ」の寿命を縮める 世界初の実験
イギリスから日本に運ばれてきた高レベル放射性廃棄物を閉じ込めた核のゴミ=「ガラス固化体」です。政府は、この「核のゴミ」を放射能が弱まるまで地中深くに埋めることを検討していますが、その期間は実に10万年です。捨て場も決まらず、たまり続ける「核のゴミ」。その解決に向けた取り組みを取材しました。
27日朝、青森県・六ヶ所村の港に大きな船が接岸しました。イギリスに運ばれて処理され、再び日本に戻ってきた“核のゴミ”です。むき出しの「ガラス固化体」は、そばに人がいた場合、わずか20秒で死に至るほどの強い放射能を持ちます。こうした危険なゴミをどう処理するのか。政府は、地下300メートルよりも深い地層まで穴を掘り、埋める検討をしていますが、放射能が弱まるまでの期間はなんと10万年といいます。今から10万年前と言えばネアンデルタール人がいた時代。この先、気の遠くなるほど長い期間、地震や火山の噴火にも耐えられるのか? 不安は根強く、どこに埋めるのかはまったく決まっていません。
こうした中、すでに地中深くに埋める方向で動き出している国があります。フィンランドの首都ヘルシンキから240キロ。その場所の名は「オンカロ」。フィンランド語で「隠し場所」を意味します。最も深い地下420メートルまで降りるのに20分かかります。
「地上は氷点下の温度なんですが、このトンネルの中は16.2度。比較的過ごしやすい気温になってます」(記者)
試験用ですが、すでに廃棄物を入れる場所もありました。使用済み燃料は銅製の容器に入れ、防水性の高い土で固めた竪穴に埋める計画です。ここで核のゴミは10万年という長い間の眠りにつきます。この場所には氷河期に起きた地震による地層のズレがありますが、管理会社の担当者は安全だと強調します。
「もちろん全てのヒビを把握するのは不可能だけど、大きな問題のある場所は分かっている」(地質調査担当者)
第三者機関で安全性を審査した後、地層処分を実行するかどうか、7年後に決めるのだといます。
「 ’70年代に戻れるなら原発を作るなと言いたいが、2013年に生きる私たちは廃棄物問題をなんとかしなければならない」(緑の党 オラス・テュンキュネン議員)
将来にわたって頭を悩まし続ける核のゴミ。その解決の道筋につながるかもしれない世界初の実験が日本国内で行われています。その現場にカメラが入りました。京都大学・原子炉実験所。ここで、ある研究が進められています。核のゴミを地中に埋める期間を10万年という気の遠くなる年月から一気に数百年まで短くしようというものです。
「潜在的毒性を減らすということは、もともと危ないものを本質的に少なくすることができる」(京都大学 山名元教授)
放射能には「寿命」があります。原発から出る使用済み核燃料には、放射能が半分になるまで2万4000年もかかる、寿命の長いプルトニウム239などが含まれています。この寿命を人間の手で短くしてしまおうというのです。仕組みはこうです。加速器を使い、「陽子」を光の速さに近いものすごいスピードで鉛の入った金属に衝突させると、大量の「中性子」が発生します。その「中性子」を寿命の長いプルトニウム239などにぶつけると、核分裂が起きて寿命の短い別のものに変わるといいます。核のゴミから寿命の長いものだけを取り出して、この技術を応用すれば、放射能が半分になるまでに30年もかからない寿命の短いものばかりになり、地中に埋めておく期間も一気に短くなります。
「陽子を実際に原子炉の手前まで持ってきて照射するという結合実験は世界初」(京都大学 山名元教授)
京都大学では、実際の原子炉に加速器をつなげた世界で初めての実験を行っています。
「ここでやっているのは、出力をあまり上げないで、加速器と原子炉を結合した特性がどう動くかというのを研究している基礎段階」(京都大学 山名元教授)
実は、この研究は20年以上も前に国が「オメガ計画」という名前で立ち上げました。しかし、ゴミ処理に特化したこの計画は、発電を主体とする高速増殖炉もんじゅの開発の陰に隠れて、研究予算も十分確保されてきませんでした。実際、どの程度の確率で寿命を短くできるか、その精度が十分でないなど課題が多く、実用化は2050年頃とされています。
「原子力発電が今後なくなっていくか、使い続けるかというディシジョン(決定)はこれから議論されていくけど、どちらにおいても、そういった放射性の長寿命のものを減らしていく技術を追求し続けていく姿勢が必要」(京都大学 山名元教授)
現在、日本にある使用済み核燃料は1万7000トン。すでに処理を終えたガラス固化体1400本とともに処分先が決まらぬまま積み置かれています。世界初の実験は「核のゴミ問題」の解決への一歩となるのでしょうか。(27日17:15)
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