二科展を訪ねた。
新国立美術館で開催中である。
昔の稽古仲間、大塚邦博さんが彫刻を出品、受賞されたのだ(おめでとうございます)。
住宅の建築家である大塚さんは五十路を迎えて美大に入学。
大学院まで6年間、彫刻を学び、現在にいたる。
自分の夢に向けて才能を磨き続ける努力家であり、私は大変尊敬している。
今回の受賞作品「夢のかけら」について、ギャラリートークとして、大塚さんは見学者に説明されていた。
曰く、彼は塊に惹かれるそうだ。
建築で言えばダムやピラミッド、塊としての圧倒的なパワー、それを人体で表現したいという夢を抱いている。
今回の題名も夢をかなえる一部という意味とのことだった。
彫刻を拝見、モデルは大変身体の柔らかい人では?と尋ねたところ、モデルには身体をかがんだ状態にしてもらったそうだ。
粘土で模型を作り、それを寝かせたという。
完全な写実ではなく、右肩をなくしたり、ひざの位置を変えたりと工夫が随所に見られる。
見ていると、女性であろう肉体の豊穣さが量感として迫ってくる。
大塚さんは最後の仕上げに、180番の紙やすりで作品を磨き上げるのが大好きで、それがしたくて作っているかもしれない、と言っていた。
像の首から肩、背中への骨格と筋肉の線の陰影が柔らかく表現され、美しかった。
白状するが、私は美術館見物が苦手である。
生来、視力に伴う神経、筋力が弱いのだろう。
疲れてしまい、頭痛に襲われるからだ。
昔、ルーヴル美術館を一日見ていたら、吐き気とともにダウン。
おかげでいやな記憶として心に刻まれ、モナリザを見たことぐらいしか覚えていない。
他はすべて忘れた。
ウルトラマンのように制限時間がある。
30分くらいだと思う。
今回も大塚さんの彫刻以外は流して1時間で出た。
それでも長すぎたのか、今こうしていると少し頭が痛い…。