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【第122回】 2009年4月7日
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週刊ダイヤモンド編集部

パナソニック、三洋子会社化に立ちはだかる米国競争法の“壁”

 パナソニックによる三洋電機子会社化のスケジュールが大幅に遅れることになりそうだ。

 すでに2月末、パナソニックは株式公開買い付け(TOB)の実施時期について、当初予定の今年3月から5月以降にずれ込む見通しを発表していた。TOB実施には株主総会の承認が必要なので、この時点では、6月末に開催されるパナソニックの株主総会を経て、「TOB実施は7月」というのが最速シナリオと見られていた。

 そのシナリオが、早くも崩れつつある。パナソニックと三洋はTOB実施の事前作業として、両社の拠点がある日本、米国、欧州、中国など11ヵ国・地域において競争法(独占禁止法)の審査手続きを要請しているが、現時点では、米国や欧州の審査がはかばかしくない状況だ。

 とりわけ、米国の一次審査では及第点に届かず、追加資料の提出を請求される“セカンドリクエスト”へ持ち込まれており、難航が予想されている。最大の焦点となっているのは、環境対応車に搭載される二次電池の寡占状況である。

 車載向け二次電池には、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池があるが、「ニッケル水素電池の両社の合計シェアは8割強を占めるので、問題視されている」(パナソニック幹部)もようだ。

 もっとも、パナソニック・三洋連合にも言い分はある。現在は、ニッケル水素電池が車載向け二次電池の主流だが、今後は大容量化を期待できるリチウムイオン電池が主流となることが確実であり、両社の統合は排他的な競争環境を生むものではない、というものだ。

 三洋幹部は、審査の停滞について、「厳格に審査されていることは、米自動車“ビッグスリー(ゼネラル・モーターズ、フォード・モーター、クライスラー)”の再建問題と無縁ではないだろう」と指摘する。

 ビッグスリーの活路は環境対応車の拡充以外にありえず、二次電池はその“心臓”ともいえる基幹デバイスである。パナソニックはトヨタ自動車と蜜月関係にあり、三洋の重要顧客にはフォードが含まれる。パナソニック・三洋連合が米国自動車市場へ与える影響は小さくないとして、米国司法当局は慎重に精査をしている、というわけだ。

 もっともパナソニック側には、「子会社化が遅れても構わない。その間に三洋経営陣、三井住友銀行の主導で不採算事業の撤退が進む」(パナソニック幹部)と、格別の焦りはない。実際に、3月末、三洋は半導体事業の減損処理の積み増しで、2009年3月期決算は最終損失900億円へ転落する下方修正を行なったばかりだ。

 「下手に動くと、競争法の審査に影響が出かねないので、両社によるコラボレーション委員会の進行は実質的に凍結状態だ」(三洋幹部)。統合の時期決定まで、両社共に自社の体制強化に専念せざるをえない我慢の時期が続く。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  浅島亮子)

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