新人7年ぶりの開幕スタメンへ、調整に熱のこもる牟田=トヨタスポーツセンターで(宮崎厚志撮影)
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名古屋グランパスの新人DF牟田雄祐(22)=福岡大=がクラブでは7年ぶりとなる新人開幕スタメンを飾ることが1日、決定した。Jリーグ開幕となる豊田スタジアムでの磐田戦に向けた前日会見で、ストイコビッチ監督が先発起用を明言した。06年のMF片山(現熊本)以来7人目となる快挙に、牟田は「一生に一度のチャンス」と武者震い。黄金ルーキーのサクセスストーリーとともに、逆襲の2013シーズンが幕を開ける。
開幕前の最終調整を見守った指揮官の口から、異例とも言える予告が飛び出した。「彼にチャンスを与えたい。持っているメンタル、スタイル、クオリティーを出してほしい。明日は最初から彼で行く」。牟田について問われたストイコビッチ監督は、自身初となる新人選手の開幕戦先発起用を明らかにした。
ピクシー体制では、先発メンバーは試合当日のミーティングまで選手にも秘密にされるのが通例。牟田はキャンプでの練習試合から一貫して主力組で起用されてきたとはいえ、お墨付きをもらったとなれば心の準備も変わる。「目指してきたけど、それで終わりじゃない。出る以上はチームの勝利に貢献したい」。喜びと同時にこみ上げる責任感をかみしめた。
J8クラブの争奪戦となった黄金ルーキーだが、けして順風満帆なエリートではない。代表候補合宿に招集されたロンドン五輪も、出場はかなわなかった。「代表だったり選抜だったり、今まではチャンスをつかみきれないサッカー人生だった。明日は一生に一度のチャンス」。百戦錬磨の先輩を押しのけ与えられた開幕先発の栄誉。期待を信頼に変えるために、何よりも結果を求める。
開幕戦には、敬愛する母の弥生さんら家族や友人が故郷の福岡から駆けつける。特に母には1月の大学選手権決勝で優勝メダルを贈れなかった思いがある。「大舞台で力を発揮するのは難しい。緊張すると思うけど、自分がやってきたことに自信を持って、強気に行きたい」。人生で一度きりのプロデビュー戦。将来のグランパスを背負う男が持っているすべてをぶつける。
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