安倍政権が社会保障・税の共通番号法案(マイナンバー法案)を国会に出した。年金や医療制度が複雑になるなかで、高齢層を中心とする受給者の利便を高めるためにも導入は待ったなしだ。
法案は野田前政権が2012年の通常国会に出し、同年11月の衆院解散にともない廃案になったものが土台になっている。番号制への医療情報の適用を除くなど不十分な点があるが、まず成立させるべきである。精力的で中身の濃い審議を与野党に望みたい。
番号制は国民一人ひとりに固有の番号をふり、年金や健康保険の保険料納付や受け取り、納税に生かすものだ。付番にあわせて政府は顔写真つきのICカードを市区町村を通じて各人に配る方針だ。
スマートフォンなど持ち運びできる情報端末が普及し、カードでなくとも本人確認できる可能性がある。国会審議では費用と便益をてんびんにかけ、カード配布について結論を出してほしい。
同時に政府は、各人が自宅のパソコンで各種の情報を確認できるようにする。国民の側にとっては、社会保障の負担・受益についてお金の流れが見えやすくなる利点がある。国・地方自治体の行政事務の効率化も期待できる。
法案には足らざる点もある。番号制の適用範囲に医療情報をふくめていないことだ。適用に反対する日本医師会を厚生労働省が説得し切れていない。医師会が主張するように、医療情報は個人情報のなかでも機微に触れる要素がとくに強い。かりに診療録や服薬歴が第三者に漏れた場合は、取り返しがつかなくなる。
政府は情報漏洩や悪用を防ぐねらいで、公正取引委員会と同じ権能を持つ委員会を内閣府外局として新設する方針だ。目的外の利用や情報漏洩にかかわった公務員には厳罰でのぞむ。堅固な体制をつくるのだから、医療情報への適用や民間企業の利用について早急に検討をはじめるべきである。
また個人情報保護のゆきすぎが番号制の利用のさまたげになる事態も予想される。この問題を改善する責任は消費者庁にある。
先の長崎市のグループホーム火災は、リコール対象の加湿器が火元だった。製造元が購入者情報の管理に番号制を生かす仕組みがあれば、万一リコールの必要が生じても回収率を高められる。民間利用にはこうした利点があることを考えて番号制を育ててほしい。
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