海野やよい

鍵の無い檻

茜新社:アカネコミックス:ISBN4-87182-382-2

173ページ:10話(中短編)

平成11年12月30日:\900(\857)


とてもよくまとまっている本だと思います。

教え子に露出狂に仕立て上げられていく家庭教師。糞尿にまみれ汚されたいと願う少女。玩具。拡張。そんなテーマをそれぞれ1話〜3話でまとめています。

普通のSEXは1つもありませんから、その筋の人向けです。

 


始まる夜のために

心交社:GAZER COMIX:ISBN4-88302-605-1

160ページ:9話(長編+短編)

平成13年5月25日:\920(\876)


平成元年12月に発表された本の再販です。旧書を持っていないので全く同じかはわかりませんが、収録されている作品は全て当時のもののようです。

メインとなっているのは「哀虐妖館」という長編です。孤児院を維持するために、スポンサーにもなっていた家に主人公がメイドとして就職します。後は書かないでもわかりますね。まだ絵がそれほど上手な時期の作品ではないですが、話は十分読めます。

 


みみなり

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-096-1

167ページ:8話(中編+短編)

平成13年10月15日:\920(\876)


表題作の「みみなり」は短編です。本書の半分ほどを占めている中編は「得ることができれば幸い あるいわだからこそ引き返せず」です。

SMの本質は多分に精神的なものだと思っているんですが、本書(特に表題作「みみなり」)はそれを具現化している物と思えます。Mの沼に沈んでいくのに物理的な強制や行為は必要ありません。本書では主人公達が自ら堕ちていきます。(物理的な行為が描かれていないわけじゃ無いですよ。その辺もしっかり描かれています。)

 


肥大拡張

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-131-3

167ページ:8話(短編)

平成14年9月5日:\920(\876)


この表紙でこのタイトルですから肉体改造系かと思いきや、そういった話はなし。弟を調教しちゃう「友達のオトウト」や、膀胱に宿って精液を求めて宿主を欲情させる虫のお話「尿虫」など、これまでとはちょっと違ったお話が収録されている本です。

継母を家から追い出すため、クスリの実験台にしたりピンサロで働かせたりして、すっかり色惚けにしちゃう話「MAMAHAHA」は結構ひどい話ですが、それ以外は比較的ソフトな感じ。お話に凝ってる分SM色がちょっと薄いかなと感じました。

 


闇の眷属

司書房:TSUKASA comics:ISBN4-8128-0875-8

166ページ:8話(中編+短編)

平成15年3月25日:\900(\857)


意外にも司書房からは初めてだそうです。

表題作の「闇の眷属」シリーズ(?)、3話の中編と短編が巻頭と巻末に掲載されてます。中編は2重人格をテーマにした作品。というより人格の乗っ取りのお話で、本当の人格がだんだんと裏の人格に乗っ取られていく様は圧巻です。ちょっと男役が弱いですけどね。

「花芯譚」は海野やよい的妹ものです。

デビュー当時からするとずいぶん絵が変わりましたが、この人の絵は未だに進化を続けてるんですね。

 


豚姉

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-179-8

173ページ:9話(短編)

平成15年6月20日:\920(\876)


表題作「豚姉」は、数年ぶりに姉弟が再会した時、地味だった姉が「豚」と呼ばれる女になってたって話。弟が最後に言います。「豚とはセックスできないよ」。

肉体改造系の話が多いですね。それもプレイとしての改造ではなく、金を貢ぐように躰を貢いでいく、そんな感じで半ば騙されるように、でも幸せそうに改造されていく話が多いです。そんな感じで主がエロよりも改造に行っちゃってる気がします。

ある意味でSMの本当の形にも見えますが、作品の主人公の中で世界が完結してしまっていて、読み手として入っていく余地が残されてないようにも思いました。

ちょっと特殊ですが、拡張、拡大、改造あたりに興味があれば実用性は抜群です。

 


ひとでなし

司書房:TSUKASA comics:ISBN4-8128-1023-X

162ページ:6話(短編)

平成16年3月15日:\900(\857)


本書はレディスコミックに掲載された作品が中心だそうです。慣れ親しんでる男性誌作品とはひと味違います。

読んでみた印象ですが、まず内容が現実的です。あと主人公になる女性のモノローグが多いのも特徴です。表面上はごく一般的な人物としての生活を持ちながら、その裏にある世界に1歩2歩と踏み込もうとしてる、そんな印象です。

そういう意味では実際のプレイが主ではなく、露出願望だったり奴隷願望だったりみたいな、願望系のお話と言えると想います。受け取り方は人それぞれだと思いますが、一度読んでみるのもおもしろいと思いますよ。

 


涙々

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-243-3

188ページ:9話(短編+中編)

平成16年4月30日:\980(\933)


2〜3話構成の中編と短編で構成された本。

表題作「涙々」は3話の中編。父親の借金返済のため、変態社長の秘書になる娘のお話。話の冒頭ではまだ処女だった娘が、露出度の高い服を着せられ、社員の前でオナニーさせられ、トイレで輪姦されたりと、次第に色情の虜になっていく様は圧巻です。オチも救いがなくていいですねぇ。

この本に登場する女性たちは、みんな真性マゾなんかじゃなくて、ごく普通の人たちです。行われている行為の穴の拡張やクリの拡大くらいで、そう派手なものではありません。しかし地味だからこそ逆に、快楽に堕ちていく女性達を如実に描き出しています。痛いSMはダメという人にもお勧めです。

 


調教済

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-295-6

183ページ:9話(短編+中編)

平成17年1月15日:\980(\933)


メインは5話構成の表題作「調教済」です。結婚して家を出ていた姉が、離婚して弟の部屋に転がり込んだら、その時点で既に調教済みだった、というお話。敢えて調教そのものを描かず、調教前の姿を想像させるというアイデアはおもしろいです。ただ、既に出来上がってる女に周りが振り回されるという展開になってしまっていて、お話としてはやや締まりがないかな、という印象です。

短編では巻頭の「かゆみ」がなかなかおもしろいです。かゆみと性感は紙一重ですが、そんな所狙った作品。製薬会社に勤める夫が「かゆみ止め」のクスリのモニタを妻に頼み、妻の各所にかゆみ成分を投与していくお話。乳首や性器をかゆくされた妻の壊れっぷりはなかなかです。

 


ゆるして

シーズ情報出版:シーズコミック:ISBN4-86117-012-2

175ページ:7話(短編)

平成17年4月25日:\1,000(\952)


ちょっと古い作品も交えての単行本。これといったテーマは無いように思えますが、強いて言えばどの話もご主人様と奴隷の関係を意識して描かれているように見えました。

その性癖(SM)故に相手を見つけられずに悩む男女が描かれているのが印象的です。SMが決して暴力的な行為なのではなく、あくまでも相手を愛することの1つのかたちなんだと。こういう表現が出来る作家さんは少ないですね。

そんな感じで読み応えはある本ですが、かなり古い作品も収録されてるんで、注意は必要かも。絵の感じから見るに巻末に行くほど古くなってく感じです。ただ、巻末作だけは極端に古いですが、その他はそうでもないので、あまり気にしなくてもいいかもですけど。

 


変態淫乱

司書房:TSUKASA comics:ISBN4-8128-1193-7

166ページ:9話(短編+中編)

平成17年5月15日:\900(\857)


メインは「闇の眷属」シリーズの中編2編。

「和奈」3話は、素人状態からM奴隷になるまでの、ストレートな調教もの。言葉巧みな誘導と命令に服従してしまう女の悲しさがいい感じです。

「愛花」4話は、兄妹、洗脳、肉体改造、そんなテーマが入り交じったお話です。薬物を使った催眠誘導による洗脳から始まって、ビデオ撮影にかこつけた肉体改造に発展します。改造は突飛なものではなく、クリや乳首の拡大、穴の拡張などです。

タイトルがややひねりなしなのが残念か。

 


義母奴隷 奈美子

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-335-9

175ページ:8話(長編)

平成17年12月10日:\980(\933)


再婚直後に夫が単身赴任。継母と姉弟の3人家庭に、調教師(表向きは姉の家庭教師)が入り込んだら・・・。そんなお話。

継母の調教がメインストーリー。貞淑だった女に快楽を教え込む所から始まって、露出、拡張と展開していきます。後半に姉弟が巻き込まれていくあたりにページをとってる分、やや前半の調教が急ぎ足な感じはあります。それでも完成度は高いですね。

たれ目のキャラに挑戦したそうで、どうしてもやや違和感はあります。それでも中盤以降の主人公の状態とはマッチしてるので、読み進めていけば違和感は消えます。基本的に痛い表現はないSMなので、読み手は選ばないと思います。

 


M女曼荼羅

久保書店:WORLD COMICS SPECIAL:ISBN4-7659-0932-8

167ページ:8話(短編+中編)

平成17年12月10日:\980(\933)


最新作品集ではなく、やや昔の作品を集めた本です。初出はないので発表時期は不明ですが、絵を見た感じではけっこういろいろな時期の作品が集まっているようです。確信はないですが、再録ではないと思います。

収録作では「出会い」という作品が秀逸です。エロとしてはやや地味ですが、これほどピュアなSM作品は他に類を見ません。SMというのを、「縛ったり叩いたりするもの」としか認識してない人に、ぜひ読んで欲しい作品です。

あとは個人的には「最後のことば」かな。やや短絡的なクスリネタですが、やはり一発のパワーがあっていいです。

テーマ性は薄いけど、それなりにまとまってる1冊です。

 


本当の主人

三和出版:SANWA COMICS:ISBN4-88356-355-3

168ページ:6話(短編)

平成18年6月10日:\980(\933)


亭主や恋人がいる女性を主人公に、表向きの相手以外にご主人様と呼べる人を持ってしまう、そんなテーマで纏められた本です。

世間一般から見れば幸せな生活、そういったものにどこか空虚さを感じ、より強引に自分を隷属させてくれる相手を求める。この本に描かれているのはそんあ女性たちです。主人公達の葛藤の裏には、まずリアルな生活があります。生活、手の中にある幸福、そして隷属への渇望。そんなじょうきょうで揺れ動く感情がリアルです。描かれている行為そのものは決して派手ではないですが、内面にあるエロスを剥き出しにする、そんな漫画ですね。

全てレディースコミックの掲載作品なので、意識してるのは女性の視点だと思います。純粋にエロ漫画として見るとやや物足りないかもしれませんが、この本ではSMの心理的な面を楽しんでください。