福島第一原発事故(802)-がん患者増の可能性低い…WHOー
福島第一原発事故(802)-がん患者増の可能性低い…WHOー
世界保健機関(WHO)は28日、東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質による健康影響の評価を発表した。一部地域で子供の甲状腺がんの発症確率が高まる可能性を指摘した。ただ、放射線量の高い「計画的避難区域」に4か月間避難せずにとどまり、汚染された物を食べ続けるなど、ありえない最悪条件を想定して計算している。実際にがん患者の増加が住民の間で見られる可能性は低いと結論づけた。WHOは、日本政府が発表した大気中の放射線量などから住民の被曝ひばく線量を計算。事故当時1歳、10歳、20歳だった人が、様々な種類のがんを発症するリスクを分析した。事故直後に避難した原発20キロ・メートル圏内の住民は評価対象外とした。甲状腺がんの確率が最も高まったのは福島県浪江町の1歳児で、16歳までの発症確率が、男児は平常時の0・0014%から事故によって0・0104%に、女児は0・0040%から0・0365%に、それぞれ上がった。同じく16歳までに白血病になる確率は、男児が0・03%から0・055%に、女児が0・03%から0・047%に上がった。報告書は、子供の健康管理に注意が必要だと指摘している。ただ、どちらのがんも、対象年齢の乳幼児が数百人だとすると、事故後でも患者数は1人に満たず、実際に患者の増加が確認される可能性は低い。(読売新聞3月1日)
福島県内の1歳児から16歳児までの甲状腺がんになる確率(倍数は筆者の計算)
男児[%」 女児[%」
浪江町 0.0104(7.4倍) 0.0365(9.1倍)
飯館村 0.0068(4.9倍) 0.0237(5.9倍)
葛尾村 0.0049(3.5倍) 0.0168(4.2倍)
南相馬市 0.0047(3.4倍) 0.0158(4.0倍)
・・・・・・・・・・
その他 0.0037(2.6倍) 0.0124(3.1倍)
平常時 0.0014 0.0040
この数字を見て、甲状腺がんのなる確率が低いと言えるのか。仮に2倍ぐらいでも多いとしなければ名rないのに、少ないという評価には納得できない。甲状腺がんは主にヨウ素が影響するので、他の物質、例えばセシウムやストロンチウムなどで他の癌になる可能性も残っている。こういうことを考えると、非常に高い数字だと思う。WHOの報告書の内容は「発症確率が高まる」とか、「子ども健康管理に注意が必要」とか、促しているのに対し、読売新聞は「悪条件を想定して計算している」とか、「患者の増加が確認される可能性は低い」と結論づけるなど、国民を安心させるような書き方をしている。こういうふうにして原発事故の軽さを流しているのには呆れてしまう。(中ノ島賢)
コメント