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地獄谷温泉の猿自然と人間 難しい関係 (1997. 1.30)渓谷に湯煙が立ちのぼる「地獄谷野猿公苑」。寒い朝 、露天ぶろに猿たちが集まってきて暖をとる
氷点下一〇度に冷え込んだ朝、「地獄谷野猿公苑(えん)」(常田英士苑長)の猿たちは、氷雪に覆われた露天ぶろで暖をとっていた。湯につかりながら片手を岩のへりに乗せ、じっと目をつむる。 下高井郡山ノ内町の横湯川渓谷にある地獄谷温泉。長野五輪スノーボードのハーフパイプ会場になる「かんばやしスノーボードパーク」から、遊歩道を下って少し行けば目と鼻の先にある。「温泉に入る猿」で有名になったひなびた温泉と、若者が熱中する時代の最先端のスポーツが背中合わせだ。 「猿は昔はいなかった。名を広めてくれたし、かわいいですよ。でも最近いたずらが多くて…」と、一軒だけの宿を経営する竹節春江さん(84)。
飽和状態を何とかしようと、一昨年から学術研究も兼ねて避妊手術を始めた。ニホンザルの生態研究のための捕獲をしたり、野生を守るため観光客に「えさをやらないで」と呼び掛ける。自然と人間のかかわり方の難しさを象徴してもいる。 オリンピックは、急にやって来ることになった。竹節さんは「思いもかけない世界的な施設ができて、不思議な感激がある」という。「選手たちは、ここまで足を運んでくれるかな」と、楽しみにしている。
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