武器輸出三原則 形骸化の指摘も3月1日 19時17分
政府は安全保障会議を開き、国際共同開発が進められている次期戦闘機F35について、国内企業が製造などを行っても、アメリカ政府の一元的な管理の下で移転は厳しく制限されるなどとして、「武器輸出三原則」の例外として認めることを決めました。
武器輸出三原則については、これまでも例外が認められてきましたが、F35戦闘機の製造では、日本側の同意がなくても日本の部品がほかの国にも提供されることになり、専門家からは、武器輸出三原則の歯止めがなくなり形骸化しかねないという指摘も出ています。
日本は、憲法の平和主義に基づき、武器輸出三原則で海外への防衛装備品の輸出を制限しています。
しかし、アメリカについては例外が認められ、イージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」の次世代型の開発では、日本の防衛に役立つとして平成18年から日米が共同開発に着手しました。
ただ、紛争当事国への提供を防ぐため、日本が同意しなければ第三国に提供できないという条件が付けられています。
一方、F35戦闘機については、日本の企業がエンジンやレーダーの部品を製造する計画ですが、これまでと異なり、日本側の同意がなくても日本の部品がほかの国にも提供されることになります。
これは、製造に参加した各国がお互いの部品を融通し合うシステムが導入されているためで、共同開発に参加しているアメリカやイギリスなど9か国のほか、購入を検討しているイスラエルなどにも提供される可能性があります。
政府は、アメリカが一元的に管理して参加国以外の国への部品の提供を厳しく制限したり、提供先が国連憲章の目的と原則に従う国に限定されたりするため、平和国家の理念に反しないとしています。
一方、専門家からは、紛争当事国に輸出しないとした武器輸出三原則の歯止めがなくなり、形骸化しかねないという指摘も出ています。
憲法が専門で、学習院大学法務研究科教授の青井未帆さんは「最新鋭のステルス戦闘機の重要な部品を作るわけで、戦闘で果たす役割や攻撃性能の高さを考えれば、武器そのものの製造と言える。事前同意がなくなると、どこの国に提供されてもよいという姿勢に捉えられかねない。三原則がなぜできたのかということに鑑みれば、大きな転換点と言える」と指摘しています。
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