北京で過去最悪のスモッグ、米大使館屋上の計器が振り切れる
左は2012年2月4日、右は2013年1月14日― とても同じ北京とは思えません...
12日土曜夕方、北京で大気汚染指数(AQI:Air Quality Index)が過去最高の755を記録、在北京アメリカ大使館屋上の計器の針が振り切れる事態となりました。
AQIはアメリカ環境保護庁(EPA) が定めた大気汚染の指標で、100を超えると「敏感な人の健康に悪い」、400を超えると「人体に有害」で、最高値は500なのに、755って...。
エコノミストが伝えているようにAQIも前代未聞ですが、もっと心配なのは気管の奥まで入ってくる最も小さく最も危険な粒径2.5μm以下の浮遊粒子状物質「PM 2.5」の含有量で、こちらは在北京米大使館の計器でなんと1㎥あたり886マイクログラム(μg)を記録(北京当局の調査では700μg)! 世界保健機構(WHO)の基準では1㎥25μg超えたらアウトなのに、886μgって...。
中国日報も「中国東部・中部33都市で平均400(μg?)、ひどいところでは900を記録した」と伝え、警戒を呼びかけています。いずれにせよWHO推奨の限界値の30倍に相当し、病院も大忙しだったようです。
煤煙は人体への影響も心配ですが、気候への影響も深刻で、これが予想以上に大きいことが最近の研究でわかってます。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のタミ・ボンド(Tami Bond)助教授が同僚とまとめた調査では、煤煙の温暖化効果は「気候変動に関する政府間バネル」の推計の2倍近くにのぼり、このまま拡大すれば早晩、二酸化炭素(CO2)に次ぐ2番目の温暖化要因になるんだそうですよ(Journal of Geophysical Research:Atmospheres, DOI: 10.1002/jgrd.50171より)。
幸いCO2と違って煤煙は数日で鎮まります。石炭やディーゼル、調理用ストーブから出る煙を減らすのが解決の早道だ、とボンド助教授。煤煙による死亡者は年間200万人(ほとんどは屋内の調理用ストーブが原因)。それで救われる命もありそうですね。
因みに、こんだけ酷いんだから北京は世界ワーストワンだろうなと思いきや...。エコノミストが世界共通の粒径10μm以下の「PM 10」計測値をベースにまとめたチャート「世界先進国上位20カ国で最も大気汚染の酷い都市」ではインドのルディアナが断トツのトップで、2位は北京じゃなくて蘭州(中国)、3位メヒカリ(メキシコ)、4位メダン(インドネシア)、5位安養&釜山(韓国)、7位ヨハネスブルグ(南ア)、8位リオデジャネイロ(ブラジル)、9位トリノ(イタリア)、10位セビリア&ザラゴザ(スペイン)と続くのです。日本からは大阪が19位に入ってます。PM 2.5だとまた違ってくるのかな。
...なんかもう逃げ場ない感じ。読んでるだけで息が詰まるよ...。
[The Economist]関連:外出は控えてください!! 北京大気汚染
Fred Pearce and Michael Marshall - New Scientist(米版/satomi)
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