NYで日本人留学生が事故で死亡 警察と目撃者で証言に食い違い
アメリカ・ニューヨークで、24歳の日本人留学生が、事故で命を奪われた。留学生は、ニューヨーク市警のパトカーにはねられて死亡したが、当時の状況について、警察と目撃者の証言が大きく食い違っている。
ニューヨーク市警のパトカーに24歳の日本人留学生がはねられ、死亡した事故の発生直後をとらえた映像には、警察官と住民が言い争う様子も記録されていた。
住民は「おまえが彼を殺したんだ。ひかれていたのは、自分だったかもしれないんだ」と叫んでいた。
さらに、事故をめぐって、ある疑惑がある。
事故の目撃者は「パトカーは、サイレンを鳴らしていなかった。全く...」と話した。
事故の目撃者は、緊急走行していたパトカーはサイレンを鳴らさずに走っていたと証言した。
しかし、警察官は「パトカーはサイレンを鳴らしていた。サイレンが鳴るということは、赤色灯がついているということだ」と話し、双方の主張は全く食い違っている。
夢を求めてニューヨークに渡った24歳の男性は、なぜ命を落とさなければならなかったのか。
事故は2月21日未明、マンハッタンにほど近い、ニューヨークのクイーンズという街で起きた。
亡くなった男性は、デリで買い物を終えたあと、道を渡ろうとして、緊急走行中のパトカーに、道の真ん中ではねられたという。
緊急走行中のパトカーにはねられて亡くなったのは、2012年11月からニューヨークに語学留学していた香川・丸亀市出身の小山田 亮さん(24)。
日本のジュエリーの専門学校を卒業後、新しいことに挑戦したいと、語学学校に通っていた小山田さん。
なぜ事故は起きたのか。
緊急走行中のパトカーは、道路を横切った小山田さんに衝突した。
警察は、事故当時、小山田さんはフードをかぶり、ヘッドホンをつけていたので、緊急走行をするパトカーに気づかなかったのだろうと説明した。
しかし、取材を進めると、事故の目撃者は「パトカーは、サイレンを鳴らしていなかった。全く...」と話した。
さらに別の住民も、「わたしのアパートは現場の目の前だけど、パトカーは完全に静かだった。何の音も光(赤色灯)もついていなかった」と語った。
近隣住民によると、事故当時、パトカーのサイレンの音は聞こえず、赤色灯もついていなかったという。
しかし、警察は「パトカーはサイレンを鳴らし、赤色灯もつけていた。通常、緊急走行をする時は、必ず鳴らしている」とし、双方の主張は全く食い違っている。
パトカーは、ナイフを持っている人がいるとの通報を受け、緊急走行をしていたという。
まだ、事故の真相は明らかになっていない。
そうした中、訃報を聞き、現地に入った小山田さんの父親が、胸の内を語った。
亮さんの父・小山田 司さんは「顔はもう、ぼこぼこに変形していた。ぞっとしましたね...。とてもこれが、元気なころの亮だとは思えなかった」と話した。
遺体は損傷が激しく、パトカーが相当速いスピードで衝突したことが、遺体からうかがえたという。
小山田さんは、被災地でボランティア活動にも参加し、とにかく人に優しい、温かい子だったという。
新たな夢を見つけるため、渡米した矢先の事故に、家族の悲しみは深まるばかりだった。
亮さんの姉は「『大変なことは、考えたらきりがないが、頑張っているよ』みたいな。1年間の留学の予定だったので、『1年たって会った時に、ほめてもらえるように』と。『だから、しばらく会わない。楽しみにしてて』みたいなメールだった」と話した。
亮さんの父・司さんは「最も世界の中で刺激のある町だと。(亮さんが)『ニューヨークに行きたい』と言った時に、わたしは、危険な町だからと反対した。勉強と安全には注意して、がんばれよと言って...。それが最後でした」と語った。
最愛の息子を奪われた深い悲しみ。
司さんは今後、裁判を起こし、法廷の場で事故の真実を追及するという。