名古屋グランパスのMF田口泰士(21)が28日、今季の目標にシーズンフルタイム出場を掲げた。磐田との開幕戦(2日・豊田スタジアム)に向け調整したこの日、昨季プロ4年目でのブレークを果たしたテクニシャンは、自分がチームを引っ張っていく意気込みを明言。「目標は、開幕から最終節までスタメンフル出場。めざせフルタイムで」と、フィールドプレーヤーではクラブ史上20年で1人しか達成できなかった偉業に挑む。
34試合×90分=3060分。すべてのJ1リーガーに挑戦する権利があり、しかし限りなくハードルの高いこの数字を、田口は明確な目標に設定した。シーズンを通して先発フル出場を続けられる実力をはもちろん、故障や累積警告を避ける心身のコントロールが必要。グランパスでの達成者は過去に3人で、1997年のGK伊藤(現GKコーチ)、2000、02、10年のGK楢崎、そしてフィールドプレーヤーでは20年の歴史のなかで唯一、1998年のMF望月重良(現本紙評論家)しかいない。
昨季の田口は、出場25試合中16試合がフル出場。夏場以降は完全にレギュラーに定着したが、6度の警告を受けるなど進歩の余地は大いにある。だからこそ、必要なことを問われて「練習からしっかりやること。1試合1試合、自分のパフォーマンスをしっかりやること。納得のいくプレーをできているときは、周りからもいいって言われている」と即答した。
もちろん、闘莉王や楢崎のような絶対的な存在にならなければ、シーズンフルタイム出場は難しい。ブレーク2年目、レギュラーとしてチームを引っ張っていく意識について、「そういう気持ちを持ってやらないと、試合には出られないと思うし、これから先出られなくなる」と強調した。
1月は例年通り故郷の沖縄で自主トレを行い、シーズンへの準備は順調に進んだ。迎える開幕戦出場は自身初。「初めてですからね、こういう気持ちで開幕を迎えるのは。楽しみですよ。でも変に意識しないほうがいいのかな」。初々しさを残しつつ、風格を身に付けつつある21歳。飛躍のシーズンへ、胸は高鳴る一方だ。 (宮崎厚志)
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