外務省「イラク戦争支持おおむね適切」 発表資料に記載なし

2013年1月7日注意報一覧メディア:ジャンル:,

【読売】 2012/12/22朝刊4面「イラク戦争支持 「おおむね適切」 外務省検証」

《注意報1》 2012/12/23

読売新聞は、12月22日付朝刊で、「イラク戦争『おおむね適切』外務省検証」の見出しで、外務省が2003年のイラク戦争の対応についての検証結果を公表し、「当時の政権によるイラク戦争支持について、『おおむね適切』と結論づけた」と報じました。

イラク戦争支持「おおむね適切」…外務省が検証(Yomiuri Online 2012/12/22 11:00)

読売新聞2012年12月22日付朝刊4面

外務省が12月21日に公表した報告の主なポイント(全4ページ)には、「概ね適切な対応がなされたもの」として「官邸を始め、政治サイドに情報を提供し、随時必要な指示を得、また政治的な判断を仰いだこと」など3項目が挙げられています。しかし、当時の政権によるイラク戦争支持という政治的決定ないし判断については、発表された「報告の主なポイント」の「概ね適切な対応がなされたもの」の中に含まれていません。

そもそも、外務省は、「この検証作業は,日本政府が米英等の武力行使を支持したことの是非自体について検証の対象とするものではなく,結果的にイラクに大量破壊兵器が発見されなかった現実がある中で,改めてこの期間の政策決定過程を検証し,もって教訓を学び,今後の政策立案・実施に役立てるとの観点から行ったもの」と説明しており、「政権の戦争支持」が適切だったかどうかは検証対象から除外されています。

ちなみに、読売の原報道は、外務省が「検証結果を公表した」とだけ報じていますが、実際は報告そのものは公表されておらず、4ページの「報告の主なポイント」だけが公表されています。朝日新聞は同日付朝刊の記事で、発表資料が「分厚い」内部報告書のごく一部であることを指摘しています。読売以外の各紙も、外務省の報告要旨の発表を報じていますが、「イラク戦争支持」について「おおむね適切」と結論づけたとの報道は、読売の記事だけです。読売が非公表の報告書の全文を入手したかどうかは明らかではありません。

対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)(外務省 2012/12/21)
報告の主なポイント(PDFファイル)


《注意報2》 2013/1/7

当機構が外務省に問い合わせたところ、中東アフリカ局中東第二課より「非公表の報告書は報道機関にも開示していない」「公表されていない報告書の中にも、日本政府が米英等の武力行使を支持したことの是非自体についての評価や結論に関する記述はない」との回答を得ました。