平易な言葉で語ろうという思いは伝わってきた。第2次安倍内閣で初めての施政方針演説で、安倍晋三首相は各省の重要政策を並べるスタイルを排して、「自立」をキーワードに演説を組み立てた。
1月の所信表明演説では経済再生など当面の政策課題に絞り込んだ。今後1年の政権運営の指針となる施政方針演説ではエネルギー政策など前回触れなかったテーマに幅広く言及した。
教育分野では道徳教育の充実をはじめとするいじめ対策の実行や、六・三・三・四制を見直す「平成の学制大改革」を訴えた。「憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と呼びかける場面もあり、安倍色もにじませた。
焦点の環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加については「政府の責任において判断する」と意欲を示した。自民党内の反対派などに配慮し、交渉参加に踏み込まなかったが、国内外の調整作業を急ぎ、一刻も早く正式表明すべきである。
エネルギー政策では「安全が確認された原発は再稼働する」と明言した。妥当な判断といえる。再稼働が円滑に進むよう、政府は地元自治体の説得などの役割をきちんと果たしてもらいたい。
演説を通じ「強い日本」をつくりたいという首相の思いはわかる半面、総じて具体性に欠ける印象は否めない。
その典型が社会保障制度改革だ。「安定財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた制度を構築する」というだけで、社会保障制度国民会議の議論を待つ姿勢なのは物足りない。公務員制度改革なども同様で、具体的な方向性が何も示されていない。
どの政策をいつごろ実現するかという工程表を含め、今後の国会論戦で首相は、施政方針演説を肉付けする具体策をもっと語る必要があるだろう。
第2次安倍内閣の滑り出しは極めて順調で、本紙の直近の世論調査で内閣支持率は70%に達した。野党が多数を占める参院でも緊急経済対策を盛り込んだ2012年度補正予算が1票差で可決された。野党の足並みはそろっておらず、政策ごとの部分連合が成立しやすい状況が生まれている。
首相はこの好機を生かし、TPP交渉への参加で待ったなしとなった農業改革や規制改革に果敢に立ち向かうときである。
安倍晋三、TPP、エネルギー政策
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