いじめが原因の少年少女の摘発、補導が激増している。昨年1年間の少年事件のうち、いじめに関するもの(いじめの仕返しを含む)は260件で、前年の113件から約2・3倍に跳ね上がった。いじめそのものが増えたというよりは、大津市の中2自殺の悪質な実態がクローズアップされ、学校から警察への相談や通報が増えたことが背景にあるようだ。
警察庁によると、昨年1年間の摘発、補導件数260件は、統計のある1984年以降で4番目に多い水準で、ピークは85年の638件。
人数は前年の2011年より292人多い511人(うち少女は42人)で、内訳は中学生384人(前年比223人増)、高校生91人(53人増)、小学生36人(16人増)。
罪種別では、傷害が122件(65件増)と最多で、次いで暴行が74件(56件増)、恐喝が20件(12件増)だった。
加害者側に動機を複数回答で聞き取ったところ、「力が弱い・無抵抗」が40・3%と最も多く、「いい子ぶる・生意気」18・4%、「態度、動作が鈍い」14・9%と続いている。
事件件数が増加したことについて、警察庁の担当者は「大津市の中2男子自殺問題などが社会的に大きく注目され、警察に対応を求めるケースが増えたためではないか」と分析している。
文部科学省は昨年11月、いじめが犯罪行為と認められる場合、早期に警察に相談するよう全国の教育委員会に通知。特に危険な行為については「直ちに通報する必要がある」と強く求めた。
発達段階の子供の問題であり、警察の介入を避けるべきだとの意見もあるが、文科省幹部は「それが閉鎖的との批判も招いた。学校現場の意識も変わってきている」と指摘する。
警察庁も学校現場の支援に力を入れる。警察OBらが学校を訪問して子供や教師の相談に乗る「スクールサポーター」は、昨年4月現在で620人に上り、今後さらに増員する考えだ。
昨年9月には「死ね」といった嫌がらせの携帯メールを送られた熊本県内の女子中学生の母親が、スクールサポーターの助言で警察に相談。熊本県警が11月に同級生2人を書類送検した。
悪質ないじめはなくなるか。