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地方
運慶作の仏像5体、国宝に 彫刻作品指定、中部で初 静岡
■「江川家関係写真」など3件、国重文指定へ
27日、国の文化審議会の答申により、県内では伊豆の国市寺家の真言宗「願成就院」所蔵の運慶作の木造阿弥陀如来坐像(ざぞう)や木造不動明王及二童子立像、木造毘沙門天立像の5体が国宝に指定されることになった。彫刻の国宝指定は中部地方では初めて。また、同市韮山の江川文庫の「韮山代官江川家関係資料」(所有者=公益財団法人江川文庫)など3件が国の重要文化財に指定される。
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国宝に指定される仏像5体を製作した運慶は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍したわが国の彫刻史を代表する仏師。東大寺の「金剛力士立像(国宝)」などで知られ、鎌倉彫刻の特徴である写実性、力強さは運慶によって確立されたといわれている。
今回、国宝となる仏像は、内部で発見された銘札から、文治2(1186)年に北条時政を施主として製作されたことが判明している。同寺は時政が源頼朝の奥州征伐を祈願して建立したもので、その際に作られたものとみられる。
5体の仏像は大正8年に木造阿弥陀如来坐像が、昭和60年に木造不動明王及二童子立像と木造毘沙門天立像がそれぞれ国の重要文化財に指定されている。
国の重要文化財に指定されるのは、韮山代官江川家関係資料とともに江川文庫所有の「江川家関係写真」、磐田市見付の「明ケ島古墳群出土土製品」。
江川家関係資料は、洋書や訳書、測量器具など3万8581点。江川家の領主としての歴史はもとより、幕府代官所の職務や支配の実態を知るために貴重な基礎資料。江川家関係写真は、江戸時代から昭和初年ごろまでに撮影された写真のうち、明治時代前半までの461点。この中にはジョン万次郎が37代江川家当主、英敏を撮影したものや岩倉使節団とともに米国留学した38代の英武が撮影した写真もある。
明ケ島古墳群出土土製品は、古墳時代中期の同古墳から出土した約4千点の土製品のうち、1064点が指定される。古墳が造られる前の5世紀前半の祭祀(さいし)に使われる人や動物、楽器などを模した土製品で、祭祀の実態を知る上で貴重なものとしている。
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