理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター(スパコン)「京(けい)」の利用が本格的に始まった。1秒間に1京(京は1兆の1万倍)回の計算が可能な処理能力を生かし、研究機関を中心に地震予測のシミュレーションや宇宙誕生の謎の解析が進められている。一方、企業や個人の研究者による一般利用も可能になり、創薬や素材開発などの分野で「世界最高級の頭脳」がフル回転を始めている。
神戸空港から電車で5分。昨年7月に「京コンピュータ前」に改名した駅を下りると、京を運営する理化学研究所計算科学研究機構(神戸市)の建物が目の前に現れる。
京は2012年9月に本格稼働した。計算をするCPU(中央演算処理装置)の総数は8万8128個。全人類が17日間、1秒に1度計算する量を、京は1秒間で計算できる能力がある。CPU同士を結びつける約20万本のケーブルを1本につなげれば、東京から博多までの距離(約1000キロメートル)に相当する。
建物の3階にあるスクリーンルームの裏手に、柱が1本もない約50メートル×約60メートルの部屋が広がる。部屋には96個のCPUを内蔵した高さ約2.5メートルのボックス864台が整然と並んでいる。このボックス群が京の頭脳の本体だ。
案内してくれた理化学研究所計算科学研究機構コーディネーターの伊藤聡氏は「スクリーンルームで京の歴史や性能をVTR上映した後に、スクリーンが自動的に収納され、目の前に京が現れる仕組みになっている。粋な計らいでしょ」と笑う。
京の消費電力量は約15メガワット。1世代前のスパコン「地球シミュレータ」の約300倍の計算処理能力があるが、電力量は半分近くに抑えることに成功した。ただそれでも膨大な電力を消費するため、発熱を抑える工夫を随所に凝らしている。
ボックスが並ぶ3階のすぐ下の階に巨大な空調機を設置。24時間体制で温度を一定に保っている。CPUを内蔵したシステムボードはボックスに斜めに差し込まれており、冷たい空気が効率良く全体に流れるようにしている。さらにボックスには冷たい水が流れるパイプを張り巡らせており、「二重体制で温度管理を徹底している」(伊藤氏)。
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