特許訴訟:アップル勝訴、市場への影響限定的
毎日新聞 2013年02月28日 21時20分
米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)などに使われている技術が、韓国サムスン電子の特許権を侵害したかが争われた訴訟で、東京地裁は28日、アップル勝訴の判決を示した。両社の訴訟は各国で起こされており、勢力争いが話題になっているが、他の通信会社やメーカー、消費者に与える影響は限定的で、関係者は冷ややかな目で見つめているのが現状だ。
「世界各地でアップル・サムスン訴訟の判決が続いているが、いずれも市場に大きな影響を与えていない」と指摘するのは、調査会社ガートナージャパンの佐藤篤郎アナリスト。今回の判決も影響はほとんどなく、サムスンとアップルが世界首位を争う構図は揺るがないと見る。
ただ、これまでの一連の訴訟合戦がサムスンのイメージを上げたとの見方もある。アップルは独自の発想による「iPhone(アイフォーン)」で自ら市場を作り、毎年新バージョンを投入して進化させてきた。これに対し、サムスンは元々アップルを追う立場だったものの、「訴訟合戦によって、いつの間にかアップルのライバルのようなイメージが作られた」(別の外資系アナリスト)という。実際、サムスンは今やアップルを追い越し、世界シェア首位だ。
一方、日本国内の市場では、アップルは依然優位だ。調査会社MM総研によると、12年4〜9月の国内スマートフォン市場のメーカー別シェアは、首位のアップルが32.1%に対し、サムスンは4位で10.7%。
国内でアイフォーンを扱う携帯電話会社2社のうち、KDDIは訴訟対象機種は販売しておらず、ソフトバンクも現在はほとんど取り扱っていない。ソフトバンクは「訴訟による販売への直接の影響はない」と話している。【大久保陽一、種市房子】
◇キーワード・世界のスマホ市場
米調査会社IDCによると、12年のスマートフォン(多機能携帯電話)の世界シェア(出荷台数ベース、速報値)は、韓国のサムスン電子が首位で30.3%(2億1580万台)、米国のアップルが2位で19.1%(1億3590万台)と、両社でほぼ半分を占めた。3位以下は上位2社に大きく水をあけられ、00年代に携帯電話端末で世界トップを独走したフィンランドのノキアも4.9%にとどまる。