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中国 黄砂で大気汚染の悪化懸念
2月28日 18時46分

大気汚染が深刻化している中国では、28日、首都北京や隣接する河北省などで、有害物質を含む濃い霧が広がり、汚染物質の濃度が上昇したほか、内陸部からの黄砂も押し寄せていて、状況がさらに悪化することへの懸念が強まっています。

中国では、26日以降、内陸部から東部にかけての広い範囲が、有害物質を含む濃い霧に覆われ、28日は、北京や天津、それに河北省などで、車の排気ガスなどに含まれるPM2.5という大気汚染物質の平均の濃度が、1立方メートル当たり300マイクログラムを超え、河北省の石家荘では600マイクログラムに達しました。
これはWHO=世界保健機関の環境基準の12倍から24倍の数値に当たります。
また、中国の環境保護省は、300マイクログラムを超えると健康被害が広がるおそれがあるとしています。
北京では、上空に強い寒気が流れ込んだため、風が強まり、午後になって濃い霧はほぼ収まりましたが、これに代わって隣国のモンゴルや内モンゴル自治区の砂漠地帯から黄砂が押し寄せ、中国メディアは「ことし初めての黄砂の到来だ」と伝えています。
これに伴って、PM2.5よりも粒子の大きい汚染物質の濃度が急激に上昇していて、北京市の環境保護局は、引き続きできるかぎり屋内にとどまるよう呼びかけています。
中国の気象当局は、来月以降、本格的な黄砂のシーズンが始まるとしていて、黄砂に付着する化学物質などによって大気汚染の状況がさらに悪化し、健康被害が広がることへの懸念が強まっています。

日本人社会も対策強化

中国で深刻な大気汚染が続くなか、北京の日系企業や日本人学校では、マスクの着用を呼びかけるなど、対策を強化する動きが広がっています。
このうち、日本の航空会社の北京支店では、発注から1週間待った空気清浄機が27日、ようやく届き、広さが80平方メートルの部屋に2台設置して業務をしています。
さらに車の排気ガスなどに含まれるPM2.5という大気汚染物質に対応したマスクも社員の家族用を含めて4000枚が東京の本社から届き、社員に配っているということです。
また、インターネット上で中国の当局が発表するPM2.5の濃度を定期的にチェックしています。
この航空会社の大佐古将彦さんは、「空港では、屋外での作業も多く、マスクを着用するようにしている。不安はあるがしっかりと対策をとっていきたい」と話していました。
一方、北京にある日本人学校では、日系企業から提供されたマスクを全校生徒600人余りに27日配布し、着用を呼びかけていて、28日は、大勢の児童や生徒がマスクを着けた姿が見られました。
日本人学校でも、各教室に空気清浄機を設置したほか、大気汚染物質の濃度が高い日には、屋外での活動を制限しています。
ただ、大気汚染の深刻な状況が続いているため、佐藤稲子教頭は「来週、教室のなかの大気汚染物質の濃度を計測し、今後の対応などを検討し、子どもたちにとって何が最善か考えていきたい」と話していました。
また、保護者の中には「室内では空気清浄機を使い続け、子どもには外で遊ばないようにさせています」と話す母親がいる一方、「大気汚染の状況はひどく、我慢するしかないです」と、個人での対応には限界があると話す父親もいて、深刻な大気汚染の広がりに困惑していました。

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