東京オリンピック招致

笹川陽平

2013年01月18日 08:30

今年は正月二日からミャンマー出張となり、読者の皆様に新年の挨拶も申し上げず、慌しい年明けとなってしまった。

8日の帰国だったのであまり新聞を読む機会もなかったが、9日の朝刊は全紙、猪瀬都知事が開催計画書を発表してオリンピック招致活動がスタートしたと伝えた。

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読売は社説で「日本の総合力で実現したい」「復興五輪で再挑戦」
毎日は社会面トップで「オールジャパンで」
朝日は「招致へPR躍起」
と扱いは大きく、その後、各紙は「ロンドンでの記者会見も成功」と報じた。

筆者は東京オリンピック招致大賛成で、日本財団では関係団体と共にロンドンオリンピックを盛り上げ、東京の弱点の一つである都民の招致への理解を深めるために募金活動を行い、58,525,820円を集めてJOCに寄付を行ったほどである。

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2012年9月14日、寄付金贈呈式
その後、少し増えて・・・


しかし、誤解を恐れずに申すと、今回は単に東京五輪の開催計画書を発表しただけである。朝日は「海外は依然として東日本大震災や原発事故を不安視している。投票まで8ヶ月。日本が不得手とするロビー活動など、外交力が一層問われている」と、他人事のように記事を結んでいる。

唯一産経新聞だけが「オリンピックを東京へ」と題し、5回にわたり解説記事を丁寧に報道していた。

どこの都市に決定するかは国際オリンピック委員会(IOC)の委員の投票で決定する。私のつたない国際経験からいえば、国際機関は勿論のこと、どのような会議にも有力者によるサロンのようなものが存在する。そして、国際会議の決議文などは事前に大方出来上がっているものである。オリンピック委員会にも有力者グループが存在し、特に韓国のIOC委員は実力者である。2014年の第22回冬季オリンピックはロシアのソチに惜敗したが、第23回の冬季オリンピックは、フランス、ドイツの強豪を大差で破り、1回目で過半数を取って念願の「平昌」に決定した。

ある新聞は「竹田会長の外交手腕に期待する」とあったが、新任のIOC委員に期待するのは気の毒なことで、海千山千のIOC委員を説得するには、各委員の略歴、バックグラウンド、交際相手など、詳細なデータを作成・分析し、確度の高いアプローチをしなければならない。その一端を示す例として、韓国は英国王室の有力者に有料でアドバイザーを依頼していたという一点だけでもおわかりいただけると思う。

韓国と共に、IOC委員の中で中国の発言力は強い。しかし、尖閣問題もあり、中国は東京開催には静かな反対運動を行うであろう。

投票まで残りわずか8ヶ月。それこそオール日本の対応が望まれる。相手はイスタンブールとマドリード。日韓関係は竹島問題で最悪の状況の中、日本が勝つには韓臣の股くぐりではないが、韓国IOC委員に協力願う以外に明るい展望は開けない。猪瀬知事をはじめ、関係者にその覚悟ありや、否や。

*オリンピック招致については、2008年2月1日のその1その22012年3月23日のブログを参照ください。

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公益財団法人日本財団会長を務める。

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