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投資法人、物件取得が急増 復興需要期待が背景に 仙台圏
 | ジャパンリアルエステイトが99億5000万円で取得した東二番丁スクエア=仙台市青葉区 |
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不動産に関する権利を証券として発行する投資法人による物件取得が、仙台圏を中心に東北で急増している。東京証券取引所の専門市場に上場する不動産投資信託(J−REIT)の銘柄による新規取得は、昨年からうなぎ上り。今年は既に7件で取得総額は約313億円に達し、過去最高だった昨年の約209億円を超えた。いずれも大手親会社の開発物件を投資法人の資産に組み入れているが、急増の背景には東日本大震災からの東北経済復興への期待感もありそうだ。(報道部・浅井哲朗) 金融・不動産関連の専門家でつくるアセットブレインズ仙台ネットワーク(仙台市)の調査では、J−REIT銘柄の投資法人による東北での取得件数と取得総額の推移はグラフの通り。2012年以降の増加ぶりが際立つ。 12年1月からの取得状況は投資法人ごとに表の通り。12年の計12件の内訳は仙台市内を中心に賃貸マンションが7件、商業施設が3件、物流施設が2件だった。 今年に入り、三菱地所などが開発したオフィスビル「東二番丁スクエア」(仙台市青葉区)を、同社グループのジャパンリアルエステイト投資法人(東京)が99億5000万円で取得した。残りの6件は物流関連で、取得したのはシンガポール企業のグループ会社GLP投資法人(東京)と、米物流大手グループで2月14日に上場したばかりの日本プロロジスリート投資法人(東京)の外資系2社だった。
<物流施設も対象>
物件取得の増加理由の一つは、国内全体のJ−REIT市場の活況だ。 社団法人不動産証券化協会(東京)の教育・資格制度委員長を務める田辺信之宮城大教授は「市場は安定的な利回りが期待できる。全国的な投資回復に伴い、東北の取得額も増えている」と説明する。 加えて仙台圏は震災の復興需要が著しい。アセットブレインズの佐々木正之事務局長は「賃貸マンションの入居率が高く、安定した投資対象となっている」と分析する。 オフィスビルも同様で、東二番丁スクエアを取得したジャパンリアルは「仙台市中心部の需要の高まりで、家賃収入などを投資家に安定的に配分できる」と語る。 物流施設が対象となっているのも、復興需要などを見込んだ動きとみられる。
<まだ拡大の余地>
GLPは「東北の経済は堅調」と指摘。自前の倉庫を持つケースが少ないインターネット通販企業の成長も踏まえ、「東北ではインフラが整う太平洋側が重要な物流拠点となる」と今後も投資先として有望視する。 それでもJ−REIT銘柄による東北の物件総数は、上場39銘柄のうち23銘柄が取得する66件に過ぎない。対象不動産の時価総額は約1330億円で、5兆円を突破した国内全体の2%台にとどまる。 アセットブレインズの佐々木事務局長は「仙台圏を中心にマンションや大規模ビルを所有する大手企業が、グループ法人の投資対象とする余地はまだまだある」と強調。東北での物件取得は「さらに拡大する可能性がある」とみている。
[上場不動産投資信託] 東京証券取引所に01年創設された専門市場に上場する銘柄で、「J−REIT(リート)」と呼ばれる。各銘柄は不動産大手などが設立し、不動産を証券化して専門市場で集めた資金を新たにオフィスビルや不動産に投資。賃料などの収益を投資家への利回りに充てる。投資家は専門市場で銘柄を1口から売買できる。現在の上場は39銘柄。
2013年02月28日木曜日
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