国が所管する公益法人のうち30法人が、本来無報酬のはずの非常勤役員に、謝礼などの名目で年間200万円以上を支払っていたことが内閣府の調査でわかった。支払いを受けた33人のうち21人が国家公務員出身者。天下り役員への「隠れ報酬」の一端が明らかになった。
蓮舫行政刷新相は16日、この調査結果を公表し、法人を所管する各府省に対し「国家公務員出身者への報酬を意図的に隠していたとの国民の不信感を招く」として、「厳格な見直し」を要請した。
朝日新聞は7月に、経済産業省所管の財団法人「石油開発情報センター」が旧通商産業省OBの非常勤会長に年約1300万円の「謝金」を支払っていたことを報道。蓮舫氏が同じような例がないか内閣府に調査を指示していた。
調査対象は、各府省所管の公益法人のうち(1)国家公務員出身者が常勤役職員にいる(2)国か独立行政法人から2008年度に計1千万円以上の支出を受けている(3)行政から何らかの権限付与がある――の3点に該当する約3千法人。
調査結果によると、年間支給額が1200万円以上1400万円未満なのは「石油開発情報センター」の会長1人で、600万円以上800万円未満が「国有財産管理調査センター」(財務省所管)の理事長1人。400万円以上600万円未満は、「日本国際協力システム」(外務省)の理事長や、「年金シニアプラン総合研究機構」(厚生労働省)の理事長ら12人(10法人)。200万円以上400万円未満は「日本人事行政研究所」(内閣府)の会長や「食品流通構造改善促進機構」(農林水産省)の会長ら19人(18法人)だった。
所管府省別では、農水省が7法人で最も多く、厚労省が6法人、文部科学省が5法人(共同所管含む)と続く。「謝金」を受け取っていた国家公務員OBはいずれも事務次官や長官、局長など重要ポストを経て、各法人に天下っているのが特徴だ。
多くの公益法人は、定款などで出勤日数の少ない非常勤役員を無報酬としており、「謝金」として内部処理することで、天下り官僚への報酬を隠す意図があったのではないかとみられている。