相変わらず余裕の無い状態は続いていますが、少し気を取り直してブログをボチボチと再開したいと思います。
さて、再開の一回目ですが、いわゆる「ナノ銀除染」について、研究会で専門家による実験結果の発表があり、非常に重要だと思うのでまとめます。
去る2月5日〜7日に、つくば市の高エネルギー加速器研究機構で「放射線検出器とその応用」と題した研究会が開かれました。
研究会のアブストラクトは以下のURLで公開されています。
http://rcwww.kek.jp/rdetconf/rd2013-abstracts.pdf
この研究会の中で、非常に興味深い発表がありました。アブストラクトのP69〜P70に掲載されている「ナノスケール純銀担持体の放射性セシウム減弱効果の検証測定」という報告です。
これは、単純に言うと、以下のような驚くべき実験結果を報告しています。
- 放射性のセシウムを含む屋根洗浄回収水や土壌に、ナノ銀(ナノスケールの大きさの銀の粒)を付着させた骨炭やコラーゲン溶液を混ぜると、放射強度が弱くなる。
- 放射強度の弱くなり方は、「半減期20日」に相当する。
1.はじめに報告者である岩崎信博士は、元東北大学教授で核計測学を専門にしておられたようなので、まさしく報告内容についてはプロの研究者なのだと思います。そして、以下の文面にあるように、この実験結果が従来の常識からみて異常である事は良くご認識されています。
飲料水浄化やホタル育成環境改善に有効なナノスケール純銀(ナノ銀)担持体(骨炭+白御影石)が,福島県を中心に降下残留している放射性セシウムの減弱効果も有するとの実地試験の示唆(仮説)を受け,実験室レベルで調べてきている.家屋除染水にナノ純銀担持骨炭あるいは同白御影石,土壌にはナノ銀担持コラーゲン液の組み合わせで,U9容器に試料(一部は密封)を作り,Csl(T1)検出器+512ch.MCAで対照試料なども組み合わせながら,試料内の不均一(偏在),試料自己遮へい,揮発等の影響を極力小さくする試料検体準備,測定幾何配置等に注意を払い,残留放射能γ線スペクトルを長期にわたり測定し,これらの不確かさの大きさにも注意を払いながら分析し,ほぼ"半減期"が約1~2カ月程度の減弱効果が存在するとの結論を得つつある.途上だが現状報告する.
2.これまでの経緯
もとより,放射性崩壊強度を人工的に変化させることはごく一部の特殊例1)を除けば常識外れである.当効果("阿部効果"と仮称)は,第二著者:阿部により,事故後,ナノ銀担持櫨材のホタル生態環境保全の高い能力から,もしやホタル館周辺の放射能低減もとの発想から11年6月頃線量軽減試行過程で偶然発見された2).その後,阿部グループが「被災地福島にホタルを再び」活動の延長線上で同年後半より複数の市町村の家屋除染水,土壌,焼却灰等の現場試験が実施され,その度にセシウムγ線量減弱傾向が示唆された.しかし,現場での線量計測値や,計測業者依頼の一時点のゲルマ計測値だけでは,学術的背景不足を理由に除染審査専門家から断られた3).
極めて偶然の共通知人の仲介で12年3月から第1著者が核工学・放射線計測学の立場から支援的に合流し,同グループの強い「福島を救う」思いに共感し,共同で"阿部効果"の検証を進めてきた.しかし,あまりにも複雑な試料検体と未経験事象で半年暗中模索だったが,同年11月頃から系統的データ取得が可能となった.検証の健は「適切なナノ銀とその担持体が真に有意な減少をもたらす; "効果"が真なら鍵物質はナノ銀で,これが欠けると事象が起らない」の二項目を高い再現性で示せるかであった.試料(対照試料を含む)準備,測定幾何体系,検出器系安定陸,周囲測定環境,データ処理過程等々に忍び込む種々の系統的外乱・錯誤・思い込み要因に注意を払った4).
測定の方法については、以下のように述べられています。
3.試料検体と測定体系
ここでは,除染水+パウダー状骨炭ナノ銀担持体での阿部効果実験を中心に2ケースを説明する.
屋根洗浄回収水(土埃等を含む)+ナノ銀担持体: ふるいで細かいパウダー状ナノ銀坦持骨炭を得た.試料と測定: 対照試料の非担持骨炭(A)と上記(B)をそれぞれ6gずつ用意.回収水を撹拌した後,10ccをそれぞれU9容器に入れて測定.さらにA, Bをそれぞれの容器に入れて混ぜ暫く置き測定.その後容器の蓋を開け自然乾燥させ骨炭を別容器に移して長期測定試料(共に6g)とした.
各試料は毎回測定直前に匙で良く撹拌した後,全体を一定圧力で押し固め,厚さ一定(約4mm)の試料とした.検出器と遮蔽体系試料容器と測定幾何体系: クリアパルス社Csl(T1)検出器(Mrガンマ2700)を20cm角箱状鉛遮蔽体(壁厚1cm~3cm)内底部に上向き水平に設置し,十字印上を中心に空U8容器(高さ6.6cm)を挟んで上記U9試料を置いた.γ線スペクトルは512chMCAで得た.通常計測時間は3h/1試料,またはその倍数(24hまで)とした.「試料無し」等バックグラウンド(BG)など補助的データも何度も入念に取得した.
土壌+ナノ銀担持コラーゲン液試料: U9容器内土壌(25g)に20ppmナノ銀担持コラーゲン液を(2.5cc)滴下密封したもの.まず10月30日汚染土壌のみ測定(配置はA,Bと同じ),31日ナノ純銀添加後撹拌密閉して初期測定,その後2カ月間据え置き翌年測定再開し1月15日まで継続.
そして、肝心の実験結果については、以下のように記載されています(赤字は引用者による)。色々と分からない点はあるのですが、放射線強度の減少は明確に現れており、非常に重要な結果だと思います。
4.長期測定の簡易解析結果とまとめ
B試料: B試料の分離可能な3ピーク群 (3P: Cs-134の604keV他; Cs-137の661.6keV; Cs-134:795.7keV他)の計数和と3ピークの下の連続成分(LC)計数和からそれぞれBG分を差し引いた時間変化が図1.
これらの初期減衰の"半減期"は~20日で,一昨年12月に阿部が測定した回収水処理機の骨炭+白御影石濾材の処理後の残留放射能の線量値変化と概ね整合する.一方,対照実験のナノ銀非担持A試料は初期変動(~10%)を除いて期間中安定しており,B試料の種々の系統的不確かさの目安(約5%弱)を与えている.また,B試料の大きな変化が止まったところで,24日日(1月14日)に純水0.6ccを加え撹拌して測定をすると再び大きく減少し始めた.同スペクトルの経時変化:各ピークの相対変化をみると,未確認だが2核種間に若干差がありそうである.
C試料: 上記3Pの計数和の相対強度は,密封後の10月31日測定値を1.0として,翌年1月4日に0.667±0.007,同15日に0.472±0.005に変化した.なお,この2ヶ月半の2核種の放射性崩壊滅衰率はまとめて1月15日で概略0.96と見積もられる.
他の実験結果も踏まえて,現在の所,B試料やC試料の変化は担持しているナノ銀の働きによると判断する.今後も再現性を含め検証を継続する.上下反転可能で小容量の薄型円筒容器入りの試料について最初から最後まで完全密封を保つ究極的体系でも対照実験を進めている.講演ではメカニズムについても可能なコメントをする.高感度測定器を用いた精密な追試を歓迎する.
「日本一新の会」のブログにこの時の講演の様子が少しだけ記載されていますが、岩崎信博士は「常温核融合を起こしている可能性がある」と示唆されたそうです。岩崎信博士が言われるように、是非、追試が現れる事を祈ります。
岩崎信博士は2012年8月9日に「放射能浄化勉強会」で講演されており、その時の記録を載せてくれているブログがありました。
岩崎信博士は2012年8月9日に「放射能浄化勉強会」で講演されており、その時の記録を載せてくれているブログがありました。
ここでの発言もたいへん興味惹かれるものでしたので、全文を以下に引用させていただきます(赤字は引用者による)。
■引用開始
(2)ナノ銀等による放射能浄化についての検証状況に係る意見
工学博士 岩崎 信日本物理教育学理執東北工業
大学非常勤講師。元東北大学教授
(量子エネルギー工学専攻所属、専門:核計測学)
皆さん。こんにちは。改めて宣しくお願致します。
ただ今ご紹介を頂きました。岩崎 信(いわさき しん)と申します。
現在、私は或る私立大学で物理学の講義を、非常勤で担当しております。東北大学は、退職しておりまして、東北大学での根拠は今は無い訳ですが、いろいろとお付合いをさせて頂いております(1)。
それで、私の経歴を少しだけ申し上げますと、生まれましたのは青森県で、育ちましたのは岩手県、仕事をしたのは宮城県です。私の先祖は福島県、又、母方の祖父母と(私の)父母が昔茨城県に住んでおりました。何かと(昨年の)震災の地域に重複するということを想像して頂ければと、思います。
今日も新幹線に乗って参りましたが、車中に(この)『奥の細道・東北』という小冊子が有りまして、芭蕉の歩んだ道の記事に目を通して参りました。まさに、大変素晴らしい所であり、同時に、今回の震災に係った処であり、ここに『生』を受けた人問の一人としては「是非、何とか復活させたい。そういった事の一助になればなあ」と、思っております。
(1)例えば、東北大学の 7月末のオープンキャンパスでは、以前からお付き合いのある関東の著名高校の生徒さん達に特別授業などを実施してきており、後述のペットホトルの実験の話題も今年のその一部。
私は、東北大学では理学部物理学科に籍を置きまして、物理学を専攻しておりました。更に、大学院で原子核物理の分野を学んでおりました。そこでは、加速器を使いまして実験をするというのが、その時代の主流でありました。その頃は、放射線という意識よりも、とにかく加速器を使っていろいろな実験をやるという経験をして参りました(2)。今から見れば、その時代は非常にいい加減な時代でありまして、こんな事を言うと怒られるかもしれませんが、加速器を動かしながら現場近くに行って、調整することをやっておりました。
(2)東北大学は従来から多種多様なイオン・電子加速器があることで国内有数の大学として著名。
ですから、放射線などというものは何という事も無く、中性子も含めて充分に浴びております、実は。多分、振り返りますと 1970年位(3)に「放射線の管理」という制度が(大学に)導入されまして、その時は、私は工学部の方へ移っておりましたけれども、RI(ラジオアイソトープ)実験室を作って、そして管理室を作って被曝管理をやるという『今の制度」ですね、およそ、そういう様な時代に生きました。それまでは「気をつけてやって」と、いうのが常識だったんですね。それから、『管理』という事になってきたんですね。
今は、(巷で)いろいろ言われておりますが、どっちが管理区域だか分からない状態になっております。
で、管理区域では殆んど、勿論、専門にもよりますが実験をする時に、非密封線源を使うのですが、私の方は密封された線源を使うのが多かったのです。(非密封線源は、化学(系)の研究者達が主に使うのですが)その時浴びたとしても、殆んど(線量計が)振れない程度であります。ですから、『管理区域』というのは、ものにもよるのですが、その程度のものでありました。加速器も(インターロック機構により)オートマチックで止まりますので、ドアを(間違って)開けたり、いろんな事(異常)が有りますと、すぐシャットダウンするという様になっておりますので、殆んど心配ない訳ですけど…。そういう時代に生きました。
(3)個人の放射線管理手帳の管理番号が確か70T~(T:工学部所属の意味)であった。
今述べましたように、縁あって工学部の方に移りまして、そこでも、(RI実験室も使いましたが、主に)加速器を使って、所謂(いわゆる)、『放射線』に係るデータを取る、測定して高精度の(主に核融合炉開発用の)データを取る仕事をしておりました。ですから、そこではご紹介のあった『核計測』というのは『放射線計測』と同じであります。そういう実験を、全国の(加速器や原子炉)施設を使ってやるという経験をしておりました。原研の施設も何度か使ったこともあります。
が、(大分後ですが)ある時、全く違う畑に行く事になりました。これは『(東北大学で)教育系の(新しい)大学院(教育情報学)』を作ることになったので、「お前、やらないか」という話がありまして…。何でそうなったかは分かりませんが、「そういった事も、いいかなあ」と、その時考えてその提案を受け入れました。(というのは、すでに)工学部時代のその頃には、『工学』というものは、人に『サービス・仕組み』を提供して安全安定的に使ってもらう、そこで『人間と機械のインタラクション(相互作用)』を、或いは人間が使うのだから、どうすればいいか?という事で、『人間』を考えなくちゃいけないという事が重要な課題になって居りましたので。
理学部時代は、見えていたもの(視野)は(非常に狭く、夫々の)原子核の中を勝手に見た積りになっておりましたが、そういう事ではなくて、『人間』というものを意識して行く(事が重要)という考え方が、段々出てきました。周りにもそうだったですし、いろいろな事が有りまして、(私自身も)そういう勉強を随分致しました。
その後、(上記の)教育情報学系に移りましたので、改めて文科系の勉強を致しました。今、私は、物理を教えてはおりますけど、(たった今の)専門は心理学、或いは、認知科学と言ってもいいかも知れません。『人間』はどういった事で行動するのかといった事(4)が、非常に関心の深いところです。
(4)より正しくは「人間行動学」。
それで、今日、この様なご縁に成るなんて事は、全く予想もしておりませんでした。(ある日)或る事で、或る人物から(運命の)電話が有りました。その(電話のあった)時期というのは、今年の 2月なのですけど、それまで私は何をしていたのかというと、(人間行動学の立場から、あの事故原因とか、核専門家の立場からは)、「あの原発は、何とかならないものかなあ」という事を(ずっと)考えておりました。その内に除染(方法の開発研究)が始まって、旧原研の人達を中心に除染の方法を考えるという事になって来たのですけど。私も、おそらく、同じ立場に居れば、除染の方法(として)は同様な事を考えたと思います。簡単に言えば、除染というのは『取り除く』という事ですね。正に、『移動させる。』又は、『濃縮して、1箇所に集める。』いうのが普通の事ですね。英語でデコミ(decontamination)というんです。(欧米も含めて)そういう方法しか(考えられない。)でも、もうちょっと何か(スマートな方法が)ないものかなあっと、チラッと思ってはおりました。いろいろな、世界のウェブサイトの資料を集めても、そういう事は無い訳です。が、ある日、(上記の運命の)電話が掛って来まして、「お前、ちょっとこんなのが有るんだけど、手助けしてくれないか。」というような(趣旨の)話だったと思うんですが…。「ところで、お前何やってたんだ?専門は、何だっけ?」と。「頼みと言いながら(相手の)専門を知らずに電話掛けて来るのか」などと思ったりしましたがね。「たまたま、ホタルの研究者が、こんな事やってるんだけど…」という話だったのですけど。「えー、そんなバカな?」というのが、まず、私が言ったか、どうかは忘れましたけど、それが、第1印象でした。これが、(その筋の専門家なら)どんな人達でも思う事なのです、皆さん。(しかし、一方で、改めて)去年(のあの震災)から我々が学んだ事は、何なのかと言うと、つまり今までの『常識』を(一度は)忘れろという事なんです。『常識』というのは、何なのかというと、『想定』とか『想定外』とか有りますが、『想定』というのは、『常識』という事なんです、簡単に言うと。『想定外』とは『想定』・『常識、その分野の常識』(=行動基準)が破られるという事が(あると)、去年、学んだ事ですので、そういうもの(常識外れのこと)が出てきた時に、頭ごなしに拒否する。これは良くないだろうと思った訳です。
で、(その後)ちょっと(阿部さんの)ウェブサイトをいろいろ見たら、「え一、(やはり)とんでもない事言ってるなあ!」と、感じながらも「(でも、ナノ銀は特異的な性質を持っている事は明らかで、その性質から、もしかしたら)そうなのかなあ?」などと考えてる内に「郡山に来てくれ」と言われまして。取り敢えず『現場』に行かなきや、遠くから話して(いたり、勝手にあれこれ想像して)いてもしょうがないって事で…(百聞は一見に如かず)。
その記事が、そこ(会報)に載っているかと思うのですが?その日は、その現場では雪の為、予定していた事(除染作業)が出来なかったんですが、或る方法で(汚染士を処理後)測定したら、確かにメーターの値が下がる。これは、全く嘘ではありません。でも、それだけでは殆ど原理は分かりませんね。(メーターの値が)下がるって事は、確かだ。じゃあ、何で下がるのかという、結局、そこに問題が行きますよね。生まれ、育ちがそうなので、メカニズム(原理)を考える方にどうしても行きますので、そこで考えさせられたんです。
もう 1回『現場』で立ち会う機会が有りました。或る自治体(郡山ではない)の『現場』に行って立ち会いましたが、そこでも確かに下がりました。「(計測学の立場から)これ、もうちょっと方法をこうしたら…」などと話をしながらやりました。確かに、そうなんです(下がったのです)。じゃあ、唯、下がるって言ったって、普通じゃ考えられない。
先程、ご紹介(阿部さんのお話)が有りましたけど『放射線』(の放出)というのは、原子の真中に有る原子核に保ったものなのです。我々が普通、生活している時に働いているのは何かというと、その周りの電子なんですね。(簡単に言うと化学であり)化学というのは、全部、(周りの軌道)電子(の話)なのです。その(原子核と電子)間に、殆とやり取りが無い事が常識なのです(5)。ですから、何で包(くる)もうが、ナノ銀で包(くる)もうとそんなものに係らない。実はそんな事は(物理学の)教科書に書いてありませんが、いろいろ(その分野で)仕事していると、その様な『常識』が生まれて参ります。
但し、その後いろいろな事が有って、(或る人に教えられて)調べてみますと実は、カーボンナノチューブとか、最近、騒がれていますけど、その(仲間の)フラーレンというものがある事をご存じだと思いますけど、そのフラーレンの中にベリリウム 7という原子核を打(ぶ)ち込みますと、(その)寿命が変わるというデータが出ている事が分かりました。れっきとした原子核の研究者(東北大)がやった論文が出ており、(ある学会から表彰を受けて(6))ます。
(5)放射化学や核化学は、電子と核や放射線の相互作用やその応用を考える研究分野であるが。
(6)日本放射化学会、「放射化学ニュース」、第 15号 2007、学会賞(日本放射化学会学 会賞選考委員会)大槻勤氏(東北大学大学院理学研究科原子核理学研究施設)受賞題目:フラーレンに内包された Be-7の半減期短縮と電子状態。
〈Be-7 summary Decay rate of Be-7 speed up inside C60 B3-7 at C60T=293KT(1/2)=52.65(d)1.5% speed up cf.Be-7:Meta1T(1/2)of EC(軌道電子捕獲過程)=53.25(d)〉
但し、その変化の具合は(上の注の通り)~1%程度で(被曝量を減らすという点では)殆ど変わりません(とても効果があるとは言えません)。唯、事実として、それが有ります。この事は以前から、或る程度予測されていた(らしい)のですけど…。それを、実験的に検証したのです。ですが、殆ど唯一、(世界で)その例しかございません。
ですので、(今回、つまりセシウムの場合は)非常に考えにくい(7)。ですが、一方では、(線量計のメーターの値が)下がっている。これも、事実なのですね。その間のギヤツプを、どうやって埋めていくか? それが私に課せられた、まあ、勿論、私だけではありませんが、(阿部さんから)世の中の科学者に突き付けられたテーマ(宿題)なんだろうと。私が一人で解決するという事ではございませんが。
(7)専門的になるが、Be-7のβ崩壊形式は軌道電子捕獲型であり、正に原子核と電子が相互作用をしているのだが、Cs-134-137の場合は共にβ一崩壊型で、原子核と電子間相互作用は事実上なく、その意味で非常に起りにくいと判断できる。
限られた環境の中で、ホタルの施設の方に出かけて、そこにある限られた環境の中で、「本当に、どうなっているんだろう?」という訳で、いろいろと。或る時は遠くから電話を掛けたり、メールでやったりして、申し訳ないのですけど、半分は遠隔でお願いしながら、時々は(現場に)出かけて私も立ち会ってやってきている所です。
現状を(正直に)申し上げます。原理的な意味を私達が、いろんな検証をしなければいけないのですけど、簡単に言うと(大きく)ふたつの(線量計のメーターの値が)下がる原因が考えられます。ひとつは、何らかの恰好でナノ銀が働きかけをして、セシウムの原子核に働きかけをして、作用して(メーターの値を)下げる。これはまあ大変ことなのですが、(従来の常識を無視すれば)いろいろ考えられるかも知れない。もうひとつは、そうじゃなくて、(見掛け上)あたかもその様に見える。そういうふたつの事が、考えられる。これらを完全に分離して、できれば最初に言ったほうであればいい(望ましい)訳ですが、その(確固とした)証拠を掴まえなければいけません。もうひとつ、下がったように見えるとすれば、「(一体)何なのだ」ということも、つきとめなけれぱなりません。
で、最初の方の話もまだ一杯やらなければいけないのですが、私は、今までやってきた範囲では、非常に難しい。ちょっと、『ネガティブ』というところにいきそうな気がしてます。
で、じゃあ、これで終わりなのかというと、そんな事ではありません。自然というのは実は、そう簡単に自分のべ一ルを脱ぐという事は無いように思います。或る限られた条件の中で起こるのかもしれない訳で。
これに関してお話したいことがあります。実は、自然界の中で、複雑系というなかでの自己組織化と言われる現象がございます。生命が生まれたという事も、複雑な環境で混沌としてくる状態の中から生まれただろうと、想像されています。惑星が出来た、或いは太陽系が出来たという事もそうです。それから今、我々の社会でいろんな事で世論が形成され、複雑性の中から或る世論にまとまっていく。これに類する仕組みは、実はあらゆる所に存在しますので、(だから)「これは、有り得ない!」という決めつけは、採るべきではない。これは、科学者としては採るべきではない態度だと思っています。ただし、今回の事で、(本当は)い
ろいろ興味が無くはない(抱く)人が、いっぱい居られると思いますが、やっぱり(現役の方は)自分の現実、目の前にある仕事(本業)が大事ですから、中々、「これ、(何か)あるよ(かも)ね。」というのは、言いにくいだろうと思います。でも、私は、たまたまフリー(な立場)ですので、そういう意味では、何も問題無い訳です。
もうひとつ、2番目の『見せ掛けの…』というのも、有るかもしれません。これは、実は関係する要素が多数あります(8)。これを絞り込むのは、大変です。でも、(実用の点からは)見せ掛けだろうがなんだろうが、(とに角)線量が減ればいいじゃないかという捉え方もあります。見せ掛けという意味は、何も全部無くなる必要が無く、実際に我々が住んでいる環境の線量が(あるレベル以下に)下がるというのが、「二一ズ』だとすれば、それに有効な方法(のひとつ)として研究する。これもあるんじゃないか。ですから未だ、私は可能性としては残っていると思っている。
(8)その候補は、原理的には、幾何学的変化効果(移動効果):有限の大きさをもつ対象測定試料内でのセシウム分布の急速な変化(検出器/線量計から実質的に遠くなれば減少したように見える)、遮蔽効果:ある種の遮蔽成分が形成され、セシウム成分と検出器/線量計の間に入ってくる、揮発効果(気化飛散効果):セシウム成分が気体化し、大気中に急速に飛散してしまう、その他の未知の特殊な効果、以上の組み合わせ、などを思いつくが、何れも常識的には非常に起りにくいと思われる。
これらを(明らかにする事を)、残念ながらホタル館の環境の中で全部やろうなんていうのは、とても無理です。ですので、いろいろな形で一寸した予算を付けて、いろんな方(や組織)にもう少し関心を持って取り組んで頂ければ、これ(突きつけられた問題)に対して(より早く)答えが出せるのではなかろうかと思います。自然界の中でやるのは、大変です。複雑系なので、何が起こるのか分からない。ですから、細々でもいいから、区域を仕切ってそこでテスト的な実験をやっていく、フィールド実験ですね。こういう事をやっていくことは、出来るかもしれないと思っています
ひとつ複雑系の話(具体例)ですが、(大気という複雑な系の中で、ある種の条件下で)秩序ある事が出来上がるという事を、実は我々は、ごく最近経験しました。それは何かというと、(筑波での)『竜巻』です。『竜巻』は、私を含めて日本ではあまり起こっていないと思われていました。ですが、気象庁のホームページを見ると過去多数有るんですね。で、何故そう知られていないかというと、滅多に起こらない事と、(日本の場合規模が小さく)中々目撃者がいない、それに観測が難しい。台風(の場合)は、我々は、(衛星画像で)渦を巻いているということはよく知っています。ですが、もう一つ小さい規模でそういう(似た)メカニズムが起こる訳です。これ(竜巻)はある種の混沌した中での組織化(の一種)なのです。
実はついこの間、(講演者に配られた水の入ったペットボトルを見せながら)これを使って高校生に対してある(特別)授業をしたんです。このペットボトルには水が入っています。このままでは(蓋をしたまま逆さまして見せて)(勿論)何も起こりませんね。そこで、ここに(蓋の部分)に穴を開けるんですね。約 4ミリから 5ミリ穴を開けます。そうして、逆さまにします。何が起こるでしょうか?(ただ)逆さまにしても、(実は)何も起こりません。(穴があいているのに)水は垂れてきません(9)。ところで、(思い切って)蓋を取って逆さまにするとポコボコー!といいながら水が(乱暴に)出てきます、ご存知の通り。ですが、
(この時)ボトルをグルグルと回してやると、(渦上になって)きれいに水が(スーツと)流れ出てきます。
(9)穴の部分の水の表面張力が強く、その上に乗っている水全体の重力を支えるために。
それをヒントに、改めて先の数ミリの穴のあいた蓋をして、何か工夫をしていろいろやると(きれいな)渦巻きが出来ます(後の写真(10)参照)。但し、非常に難しいです。非常に限られた条件が成立した時だけ、秩序だった渦巻きが出来ます。これが正に、(竜巻の)漏斗雲(ろとうん)に該当するのです。この条件を見つけるのは大変ですね。
私は今のところ、ナノ銀が働いて、セシウムを変えるという事については、(特殊な条件下 で)ある種(ひとつの)秩序だった仕組みが何か実現しているのではないか、ひとつの可能性として追求していかなければいけないかなと、思っております。それとは別に実効的に線量が下がる仕組みがあるかもしれないとも。その事については、やはり実地でやる(原理はともかく、しっかりした結果を先に出す)しかないなと、思っております。何も、いきなり1キロ四方をやる必要が無く、もっと狭い範囲で結構ですので、やってみてその経過を観るという事から、いろんなものが得られるのではないかと思っています。
以上でございます。
10)参考図:ペットボトル内での漏斗状渦実現の写真
左図:ペットボトルの蓋に4~5mm直径の穴をあける。中図:ボトルに水を7、8分ほど(適当に)入れて蓋をする。ボトルをただ逆さにしても水は穴からこぼれ落ちないが、ある刺激を加えると、下の口の方から小さな泡が上って来て、それが列をなしてきたところで、急に漏斗状の渦に変化し、ついに上部空間と繋がる(実際にはなかなか実現せず、あるコツをみつけることが大事)。右図:時々、揺らぎのある渦巻きができたり、途中で急に渦が消失する場合もある。〈我が家でやった〝実験〟より>
この漏斗状の渦構造が、ボトルの中の水(大気の冷たく重い空気に該当)と、下のボトルの外の空気(大気の地上で温められて暖かく軽い空気に該当)のスムースな交換を実現している。
2012年(平成 24年)9月 10日版:東京都千代田区憲政会館第一会議室における「放射能浄化勉強会」(同 8月 9日)における「報告及び意見」の発言文字起こし原稿に、発言者の責任で手を入れた。すなわち、一部分かりやすく表現を改変、口語表現を直し、分かりにくい個所には括弧付きで補完し、重要な部分にはすこし詳しい注を付けたものである。
岩崎 信
■引用終了
以上
【参考リンク】
■ナノ銀除染の信奉者とそれに対する批判との一連のツィート
http://togetter.com/li/345118
ナノ銀除染を主張する阿部宣男博士の「ホタルは0.5μSv/hの放射線を浴びると光らなくなる」は根拠がない疑惑が指摘されており、私はそれを質問したつもり。残念ながら阿部博士から回答はいただけてません。この時も「データを出して欲しい」というのが私の希望だったのですが、まさにそれが上記の発表で実現した訳です。関係者の皆様に感謝したいと思います。
【参考リンク】
■ナノ銀除染の信奉者とそれに対する批判との一連のツィート
http://togetter.com/li/345118
ナノ銀除染を主張する阿部宣男博士の「ホタルは0.5μSv/hの放射線を浴びると光らなくなる」は根拠がない疑惑が指摘されており、私はそれを質問したつもり。残念ながら阿部博士から回答はいただけてません。この時も「データを出して欲しい」というのが私の希望だったのですが、まさにそれが上記の発表で実現した訳です。関係者の皆様に感謝したいと思います。
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