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【格闘技】

黒田雅之に1%の奇跡起こらず

2013年2月28日 紙面から

◇WBA世界フライ級王座戦

 WBA世界フライ級9位の黒田雅之(26)=川崎新田=は同級王者ファンカルロス・レベコ(29)=アルゼンチン=を最後まで苦しめたが、0−3の判定で敗れた。レベコは3度目の防衛に成功した。

 両目に青あざをつくった黒田が「みなさん、すいません」と言いながら、晴れ晴れとした表情で会見の席に着いた。

 「これがボクの今の実力。でも、世界は遠くないと思った。届く距離だと思った。やる前はパンチも当たらないかなと思ったけど、意外と当たるもんだなと」

 下馬評は圧倒的不利。所属ジムの新田渉世会長ですら「(会場の)とどろきアリーナに1%の奇跡を起こす」と言った。川崎市など地元のバックアップを受け、“川崎から世界へ”をスローガンに、川崎市内のジムが地元で主催した初の世界戦。横浜国大出身の新田渉世会長が川崎新田ジムを開いて10年目でこぎつけた一戦。同じ川崎がホームのサッカー・川崎フロンターレのサポーターの大応援もあったが、新田会長が宣言した「とどろきの奇跡」は起こらなかった。

 「無責任な言い方だけど、応援は気持ち良かった。あの応援は何度でも味わいたい。ホントは防衛戦で何度も味わうつもりだったんですけど」

 父・佳彦さんはがんで44歳で亡くなった。試合前、父の親友に盾に入った遺影を見せられた。「あれを見て、あー、世界王者になりたい、と思った」という。トランクスの後ろには、佳彦さんの名前をローマ字で縫い付けた。あおむけでダウンすれば、亡き父をお尻で踏んづけてしまう。決してオヤジを踏んづけないぞ、意地でも立ってるぞ、そんな思いを込めていた。とどろきの奇跡は起きなかった。だが、明日につながる意義ある1敗だった。 (竹下陽二)

 

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