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蒼氓の1970年が過ぎ、25歳ですっ転んで勤め人になりました。駆け出しだった1973年…昼休みは銀座4丁目の書店、教文館で本の背表紙を眺めながらボケーッと時間をつぶすのが愉しみでした。貧乏学生が月給取りに…金まわりが良くなったので〝いつか読むだろう〟と欲しかった本をずいぶん買いました。いわゆる〝ツンドク〟です。しかし、所帯を持ってからは転勤・引越しのたびに増えたダンボール箱が〝重荷〟になりました。
そして、40年の歳月があっと云う間に過ぎ、今、私は怠惰な65歳…〝日がな一日、時間を持て余す老人〟になったのです。ありったけの小銭と時刻表と18きっぷと〝あの頃に買った本〟を何冊かバッグに放り込んで、ぶらっと旅に出ます。今週末からは⇒京都⇒大分⇒鹿児島⇒小倉⇒金沢⇒5泊6日の独り旅です。この旅の道連れは〝井上光晴著『心優しき叛逆者たち』上・下巻 1973年 新潮社刊〟です。布張りの表紙を開くと懐かしいかな教文館の栞が出てきました。
3月1日(金)…南越谷04:58発⇒武蔵野線・京浜東北線・東海道本線を乗り継いで⇒京都14:43着(泊)。行程547KM。東海道の見飽きた車窓風景…読書没入です。市バスを乗り継いで洛北の畏兄宅訪問。そして、夜の京都をそぞろ歩きです。
3月2日(土)…京都05:21発⇒姫路⇒岡山⇒糸崎⇒岩国⇒下関⇒小倉⇒中津⇒大分22:02着。行程748KM。M先輩宅に泊めてもらい、翌日はのんびり豊後路を歩きます。大分…かつて6年間暮らした懐かしい土地です。
3月3日(日)…大分15:24発⇒佐伯⇒延岡⇒佐土原⇒鹿児島中央23:35着(泊)。行程332KM。残念ながら今度の鹿児島は単なる宿泊地、駅前の安宿でバタンギューです。
3月4日(月)…鹿児島中央04:51発⇒指宿⇒枕崎⇒山川⇒鹿児島中央⇒隼人⇒吉松⇒人吉⇒八代⇒荒尾⇒小倉23:33着(泊)。行程552KM。中学の修学旅行以来、50年ぶりの薩摩半島…指宿枕崎線、肥薩線です。
3月5日(火)…小倉05:45発⇒下関⇒岩国⇒三原⇒岡山⇒相生⇒姫路⇒敦賀⇒福井⇒金沢23:28着(泊)。なんと行程860KM!…ひたすら乗り鉄です。
3月6日(水)…金沢11:59発⇒富山⇒直江津⇒長岡⇒水上⇒高崎⇒浦和⇒南浦和⇒南越谷23:16着、我が家へ。旅の最終日は5時起きして〝雪吊りの兼六園〟を散歩。ホテルに帰り、35年前に鮎の友釣りを教えて下さった老師匠と朝飯です。金沢みやげはいつもの笹寿司、家族みんなの大好物です。帰路は豪雪地帯を走破する行程504KM。蛍の光、窓の雪…そう、蛍雪時代、薄暗い列車内で読書です。
(▲…以上、地名は全て乗り継ぎ駅です)
※…早起きして、鹿児島中央駅から指宿枕崎線を往復し、肥薩線経由で深夜の小倉まで足を延ばす…行程552KM、所要時間18時間42分… ヤッホーッ!九州縦断-乗り鉄の旅です。
※…小倉から金沢まで各駅停車で行程860KM、所要時間17時間43分〟…ケツは痛くなるが、こころがウキウキする列車の長旅17時間です。間が持たない恐れがあるのでRoberto Bolaño Ávalosの短編集『通話』白水社刊もバッグに入れておきます。最近の中・長距離鈍行列車は節電で電灯を半分消しています。夜行列車では座る席に気を使います。もっとも私が乗る鈍行列車はどれもガラガラではあります。
※…旅の終わりは雪深い北陸・越後路、北陸本線⇒信越本線⇒上越線…この冬は大雪です。もしかすると、越後川口あたりで行き止まり、雪に埋もれて車中泊になるかも知れません←Wander-erが望むところです。
6日間の車馬賃は青春18きっぷ5日分(11,500円)+1日分だけです。宿は先輩宅、じゃらんnet.で予約した安ホテル群です。食事は、たまの浪費を除けば、キヨスクの幕の内弁当と野菜ジュースと納豆です。いささか負け惜しみではありますが、これぞ慎ましい〝我が愛する知的ゲルピン旅〟なのです(笑い)。
3月末はハル坊と北海道の旅です。待望の〝急行はまなす〟で青函トンネルをくぐります。18きっぷを買う時に確認しましたが〝北海道&東日本パス〟も売り出されており、ホッとしました。
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