経済の姿は常に変わり続ける。世界共通の通商規則を定めた世界貿易機関(WTO)協定ができてもう18年がたつ。技術や企業経営の進歩を追いかけて、モノだけでなく、無形のサービスでも貿易・投資の国際ルールを書き換えなければならない。
4月にも始まるWTOのサービス貿易交渉は、そのための意欲的な取り組みだ。21カ国・地域が参加する協議に向けて、日本の戦略を早急に練る必要がある。政府が多国間交渉の舞台で動けるように、産業界は「何を獲得したいか」を積極的に提案すべきだ。
サービス貿易は、頭の中でイメージしにくい面がある。たとえば外国人の観光客が日本で旅館に泊まり、新幹線に乗ると、日本からの「サービス輸出」となる。日本の会社が外国の銀行やコンサルタントを利用するのは、日本への「サービス輸入」だ。
関税率の数字が一目瞭然のモノの輸出入と異なり、サービスでは何が貿易の障壁なのかを測りにくい。しかも品目がはっきりしている工業品や農産物と違って、新しい業態が次々と生まれる。金融、運輸、通信、医療、教育など既存のサービスに限定せず、未知の成長分野を予想しながら、柔軟な発想で交渉に臨む必要がある。
得意としてきた「モノづくり」だけに頼っていては、日本経済の成長には限界がある。製造力から派生する付加価値が高いサービス業を育てる道筋が、成長戦略の重要な柱になるはずだ。関税削減に焦点が当たりがちだが、比重が増すサービス産業で通商政策が手薄になってはならない。
日米欧を含む交渉参加国は、1995年のサービス貿易一般協定(GATS)を全面的に見直し、新しいサービス貿易のルールづくりを目指している。具体的にどんな分野を自由化の対象とするか、まず各国が提案を持ち寄るところから交渉が始まる。白紙に絵を描くような作業だといえる。
関税率の数値をめぐる攻防ではなく、構想力、想像力、提案力が問われる交渉になる。これまでのところ、官民をあげて新しいアイデアを出す力で米国の優勢が目立つ。日本も負けてはいられない。
サービスの市場開放は、規制改革と表裏一体だ。安倍政権が立ち上げた産業競争力会議と規制改革会議は、民間の知恵を吸い上げ、WTOサービス交渉への取り組みについて議論を深めるべきだ。
WTO
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