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2013年2月28日(木)付

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消費増税―「益税」対策はどうした

来春から予定される消費増税をめぐって、手つかずの課題がある。消費者が払った消費税の一部が税務署に納められず、業者の手元に残る「益税」問題だ。益税を[記事全文]

民法改正―利用者の視点忘れるな

私たちの日々のくらしに深くかかわる法律が、大きく変わろうとしている。民法のうち契約や取引に関するルールを定めた条文を、時代にあったものにしようと検討を重ねてきた法制審議[記事全文]

消費増税―「益税」対策はどうした

 来春から予定される消費増税をめぐって、手つかずの課題がある。

 消費者が払った消費税の一部が税務署に納められず、業者の手元に残る「益税」問題だ。

 益税をなくす対策を講じないまま負担増を求めるのでは、納税者は納得しない。政権交代をはさんで消費増税に取り組む自民、公明、民主3党は肝に銘じてほしい。

 日本の消費税にあたる付加価値税を導入している欧州諸国では、モノやサービスの取引ごとに税率や税額を記したインボイスをやりとりしている。これなら取引をごまかしにくい。

 日本でも89年の消費税導入時にインボイス方式が検討されたが、請求書と帳簿を保存する方式に落ち着いた。税額は業者の計算に任せるやり方だ。

 業者の手間を省き、複数の取引を1枚の納品書で済ませることも少なくない日本の実情にも合わせたという。ただ、インボイスによって取引が税務署に細かく把握されることを嫌う業者への配慮もあった。

 商工業や中小企業の業界団体はインボイスに強く反対しているが、事務負担の軽減策を練りつつ導入を急ぐべきだ。

 自公両党は消費税率が10%になる15年10月を目標に、食料品などの税率を低く抑える軽減税率の導入を検討し始めた。消費税率が複数になれば、なおさらインボイスが必要になる。

 「デフレ下の競争激化で、中小の事業者は大手との取引にあたって消費増税分を転嫁できない」という不安があるなか、インボイスは転嫁をしやすくする効果も期待できるはずだ。

 益税を生む原因はほかにもある。業種ごとに決めた「みなし仕入れ率」を使って納税額を計算する簡易課税制度では、実際の仕入れ率とずれがあり、多くの業種で益税が生じている。

 売上高が一定額以下なら消費税を納めなくて済む免税点制度も、対象となる業者が消費税分を取っている場合がある。

 両制度とも段階的に縮小してきたが、まだ不十分だ。とりわけ、欧州主要国と比べて対象が広い簡易課税制度の見直しは不可欠である。

 消費税の申告漏れでは、経営に苦しむ中小事業者が消費税分を資金繰りに回している例が少なくない。

 だからと言って、益税を大目に見るのは筋が違う。人手不足やシステム投資の回避を理由にインボイス導入を先送りするのも本末転倒だ。

 税制にとって大事なのは、公平性と透明性である。

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民法改正―利用者の視点忘れるな

 私たちの日々のくらしに深くかかわる法律が、大きく変わろうとしている。

 民法のうち契約や取引に関するルールを定めた条文を、時代にあったものにしようと検討を重ねてきた法制審議会の部会が「中間試案」を公表した。

 だが、部会の中で意見が対立する事項が数多く残る。中間試案を見ても、「改正は不要」をふくめ、別の考え方が併記されているものが少なくない。

 これをまとめるのは容易な作業ではないだろう。しかし個人であれ、企業であれ、経済活動をおこなうときに必ず関係する法律である。ねばり強く調整を進め、ぜひ、いいものに練りあげてもらいたい。

 論点は多岐にわたる。中でも次のような案に注目が集まる。

 ▽賠償金を払うときなどの金利を、年5%から引き下げ、市場金利と連動させる。

 ▽不動産などの担保がない人が融資をうけるときに使われ、しばしば重い負担となる「個人保証」を原則無効とする。

 ▽企業が不特定多数と取引をする際に用いる「約款」について、どんな条件を満たせば有効か、ルールを明文化する。

 これらの方向は支持できる。

 だが、モノやカネの動きが鈍くなり、経済活動の足を引っ張ることになっては逆効果だ。どこに、どこまでの網をかけるか知恵をしぼってほしい。

 忘れてならないのは、今回の改正の根底にある「民法を国民一般にわかりやすいものにしよう」という考えである。

 19世紀末の明治時代にできたいまの法律は、構成も用語も難解なうえ、条文数は諸外国にくらべて極端に少ない。その穴を判例や学説で埋めてきた。

 しかし「わかっているのは判例に通じた専門家だけ」というのは明らかにおかしい。人々に身近な法律だからこそ、人々が読んで理解できるものにする。当然のことわりではないか。

 一部の弁護士や学者のなかには、「現行法のままで問題はない」として、民法の見直しそのものに異を唱える声が依然としてある。そこに、習得した知識や権益を守りたいという、よこしまな考えはないか。

 実務に重大な支障がおよぶ。いま考えられている条文案は、判例の趣旨を正しく反映していない――。そういった本質にかかわることで意見をたたかわせるのは意義がある。だが「自分たちの利益」が顔を出せば、説得力をいちじるしく欠く。

 法律は国民のためにある。この原点に立って、専門家の使命を果たしてほしい。

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