見た目問題の雑誌の創刊
以前、ユニークフェイスというNPO法人でお仕事をしていた外川浩子さんという女性が、マイフェイス マイスタイルという団体を立ち上げ、さらに『マイ・フェイス』という雑誌を創刊したというお知らせが来ました。
渋谷のアップリンクという映画館でトークショーをするということだったので早速行ってきました。
創刊号の特集は、「アルビノ」 ということで、当事者の人と外川さんとジャーナリストの下村健一さんの鼎談が行われました。トークショーに参加したアルビノの粕谷さんという人は、白髪のとてもかっこいい青年でアーチストらしく、とてもスタイリッシュでした
ちなみにウイキペディアによるとアルビノというのは(albino 羅"albus;白い + ino" 英: albinism)は、メラニンの生合成に係わる遺伝情報の欠損により 先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患、ならびにその症状を伴う個体のことだそうです。
私がどうしてこの座談会に行ってみようと思ったかというと、実はその雑誌の創刊号の表紙に『大丈夫ですボクたち大人になりました』と書いてあったからなのです。
子どものころ私の家の近所には、当時は白子と呼ばれていた同年代の子どもが2人ほどいたのです。
男の子と女の子で二人は別の家の子だったのだと思います。
時々近所で見かけるその子たちは、2人とも体も眉毛もまつげも真っ白で、髪の毛はちょっと奇妙な赤茶色で、どちらの子も大きなサングラスと帽子をかぶっていました。たぶん公立の小学校にはいなかったので地元の私立小学校に通っていたのでしょう。どちらの子もおとなしそうで気弱そうで奇妙な魔法使いみたいな風体でした。
そして誰がいったのか知らないけれど「白子は弱いから長生きしない」「大人になる前に死んじゃうんだ」ということがまことしやかにささやかれていたのです。だから私はその子たちを近所でみても見てみぬふりをしていました。それが当時の街に暮らす子どもたちの暗黙のお約束だったのかもしれません。
そして本当に長いこと、私はその子達のことを忘れていたのですが、つい最近、たぶん40年ぶりくらいに大人になったその男の子のほうを偶然街でみたのです。「あれ?あの子生きていたんだ」というのが率直な感想でした。そしてついクセでやっぱり私は彼を見てみぬふりしてすれ違ったのです。
そんなことがあって実はこのことが心の隅に引っかかっていたのです。
そして月曜日にアルビノ当事者の方のお話を直接聞いてみてアルビノの人は別に短命でもないのに、そういう都市伝説みたいなものが根強くあること、出産した産院の医師でさえ、誤った情報を信じていて、親に間違った宣告をする人もいることなどを知りました。
さらにアルビノの子の髪を小学校入学の機会に茶色に染める親が多く、一度染め始めたら、子どもにはそれをやめることがなかなかできないという切実な話も聞いたのです。
私は子どもの頃も、アルビノの人をいじめたり、じろじろ見たりしたこともないので、直接的な危害は加えていないのですが、勝手に「あの子はもうじき死んじゃうよ」とか「見ちゃいけない」とか心の中で思っていただけで十分暴力的なことをし続けていたんだと気づき、自分が情けなく、悲しい気持ちになりました。
一度も口をきいたことも目を目を合わせたこともないのですが
心の中で、あの頃の二人にゴメンネ!と言いたいです。
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