~ Literacy Bar ~

ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
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しまった。

青山剛昌氏が何処に出ていたか見忘れた。

エンディングのテロップで、ようやく特別出演していたことを思い出しましたよ。それくらい、濃ぃい作品でした。


その功績の多くは犯人役の南果歩女史の演技に帰せられるべきでしょう。被害者の細君に自らの犯行を仄めかしたり、神戸のブラフを看破した場面などはソクゾクしました。『相棒』史上、最も手強い女性犯人という煽りは伊達じゃありません。season9は地味目の構成の割に有名無名を問わず、いい役者を投入してくるから、見る方も気合が入ります。

ただし、脚本も演出も特筆するほど優れた内容ではありませんでした。犯行の動機も逮捕に至る結末も全て予想の範囲内だし、犯人が復讐殺人を決意するまでの描写が冗長過ぎ。圧縮すれば一時間枠で収まる話でした。南女史の熱演がなければ、昨年の新春SP(『へうげもの』の劣化コピーともいうべき話)並みのクオリティになり下がっていたでしょう。『最近は役者の質が下がっている』という話を耳にすることがありますが、んなこたぁない。一部の事務所によるゴリ押しのキャスティングが鼻につくだけで、若手・中堅・ヴェテランにかぎらず、優れた俳優は沢山います。むしろ、彼らを劇中で生かす役割を担う脚本家の質の方が落ちているんじゃないかと思いますよ。


杉下VS神戸。

今回は事件そのものよりも両名の対立が激化したことに目を奪われました。『暴発』の回では不完全燃焼に終わった杉下と神戸のスタンスの違いが明確に描かれていましたね。これは嬉しい。

犯人に仕立て上げられた容疑者の母親。余命幾許もない彼女に『息子さんは冤罪である』と告げようとする神戸とそれを押し留める杉下。


「貴方の息子は犯人じゃなかった、警察の間違いだったってお母さんにいうんです。僕たちがいえばお母さんも信じるでしょう」

「君は何をいっているんですか?」

「だって、杉下さんだって、そう思っているわけだから……」

「しかし、事実はまだ『そこ』に至っていません」

「時間がないんですよ」

「嘘をつくに等しい行為です」

「嘘だったっていいじゃないですか。この嘘で誰が困るんです? 誰が傷つくんですか? 死んじゃうんですよ。自分の息子は人殺しじゃなかった。そう思って息を引き取らせてあげられるなら、それでいいじゃないですか」

「警察官の……矜持に反します」

「……貴方のいう矜持って何ですか?」


いやぁ、濃ぃいね。

誰も困らない、誰も傷つかない嘘に有用性を見出そうとする神戸と、人を救うものは真実以外にはあり得ないとする杉下の小さいけれども深刻な激突。特命係に馴染んできたとはいえ、やはり、神戸は杉下よりも小野田に近いスタンスの持ち主です。season9の後半は、この対立構造を深く掘り下げて欲しいものです。それにしても、杉下の口から『警察官の矜持』などという戯言が出るとは思わなかった。今回のGPSもそうだけれども、アンタ、今までに何度も規定違反や誘導尋問、不正な書類に基く強制捜査で犯人を逮捕しているじゃないか! 単なる『正義』ならまだしも、警察官の矜持?


「おまえがいうな」


とはまさにこのこと。このダブルスタンダード。やはり、私は杉下を好きになれそうにありません。


……で、石野真子のキャスティングには何か意味があったんでしょうか? ミスディレクション? それにしては、お粗末でしたよ。


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