カルトな記者会見と自由報道協会
「私は知ってました。ただ、他の人間が知ってたかどうかは知りません」(上杉氏)
それでは、会見者にサイエントロジーが混じっていることを代表者の上杉氏が知っていながら事務局等に教えず、そのまま会見を開催させてしまったということです。
上杉氏があまりにも不規則発言を繰り返すので、まるで「上杉隆記者会見」のようになってしまいました。おかげで、口を開けば開くほどドツボにハマる上杉氏を堪能することができました。
会見の最後の最後でも、上杉氏は
「質問がありましたので」
などと言って話し始めたりしていました。誰も上杉氏に質問なんかしていないのに。
上杉氏は、人間には聞こえない声を聞く能力も持っているようです。
■今度は法輪功に加担
この記者会見から5カ月後の2012年10月。自由報道協会は、今度は法輪功の宣伝活動に利用されました。国際人権活動家を名乗るデービッド・キルガー氏による「中国の臓器移植事件について」という会見です。中国当局から弾圧されている法輪功の信者たちが、投獄され、移植用に臓器を奪われているというのです。
この会見を協会に持ち込んだのは、法輪功の関連団体である「大紀元」の広報担当者だったのですが、協会はこの会見と法輪功の関係に触れないまま一般に告知しました。実際の記者会見では、冒頭で司会者が「法輪功の支援団体である大紀元からの要請により開催」とアナウンスしましたが、大紀元は法輪功の支援団体ではなく、実質的にはほぼイコールに近い団体です。なぜって、大紀元を編集したり取材して記事を書いている人や路上で配布している人たちは法輪功信者ですから。
法輪功がカルトかどうかについては、とりあえず断定しないでおきます。彼らの主張がどこまで本当かも知りません。中国で自由に活動できなかったり人権を侵害されているのであれば気の毒に思いますし、法輪功問題に限らず中国は人権上、非常に問題がある国だと思います。
しかし、だからといって、「第三者による意見や報道」であるかのように偽って新聞(大紀元)を発行したり記者会見を行ったりする法輪功の手口が正しいのかというと、それはまた別問題。単なる正体隠しのプロパガンダです。まったく信用に値しません。
■自由報道協会にご注意を
カルト団体を見て笑っている皆さんの中には、自分はカルトになんか騙されないと思っている人が多いのではないかと思います。確かに、カルトの滑稽さを笑い飛ばせる人は、比較的騙されにくいかもしれません。しかし正体を隠して「事実であれば深刻な問題」といえるテーマを使って宣伝活動をするカルトにも、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。そういった宣伝活動を、自由報道協会のような第三者団体が後押ししていても、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。そういう会見を取材した自称ジャーナリストが、無責任に会見内容を右から左に垂れ流していても、絶対に騙されないと言い切れるでしょうか。
この調子だと自由報道協会もそこに群がる「ジャーナリスト」たちも、今後またどんなカルトに利用されるか、わかったものではありません。みなさん、くれぐれもご注意を。
あと、自由報道協会での「発表モノ」を右から左に垂れ流してきた自称ジャーナリストの皆さん。それって、あなた方が批判している記者クラブメディアと、やっていることは変わりません。カルトに利用される云々以前に、もうちょっと考えてやったほうがいいと思いますよ。
●ふじくら・よしろう
1974年生まれ。東京出身。0型の乙女座。宗教やスピリチュアル団体をめぐる「カルト問題」を取材するフリーライター。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞(http://dailycult.blogspot.jp/)」主筆。著書に『「カルト宗教」取材したらこうだった』(宝島社新書)。
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