■米国国内でも懸念
米国防総省はF35を2443機調達することを目標として、ロッキード・マーチンと2001年に契約を結び、空軍向け、海兵隊向け、海軍向けの3モデルを開発してきた。米国だけでなく、英国、トルコ、オーストラリア、イタリア、デンマークなど計9カ国が共同投資している。
しかし、最近になり垂直離着陸が可能なF35Bの胴体下部の仕切り壁にひびが生じるなど、耐久性に問題が指摘されている。先月にはエンジンの排気ノズルを作動させる燃料ホースにも欠陥が見つかり、試験飛行が中断された。
さまざまな問題で開発が遅れ、開発費も当初の2300億ドル(約21兆5000億円)より70%多い3957億ドル(約37兆円)に達すると試算されている。米上院国防委員会のジョン・マケイン議員(共和党、アリゾナ州選出)は「F35開発プログラムはスキャンダルであると同時に悲劇だ」と批判した。
戦闘機の購入を約束した国々も導入規模を縮小している。イタリアは導入数を131機から90機に減らした。65機を導入予定のカナダは、国防省が導入計画の縮小または撤回の可能性を示唆した。オーストラリア、トルコ、デンマークなどでも導入規模の縮小、導入時期の延期の動きが出ている。
■韓国防衛事業庁「予定通り推進」
韓国で次期戦闘機(F-X)導入事業を統括する防衛事業庁の関係者は「5日前に米政府からF35Aのエンジン欠陥について通知を受けた」と説明した。同関係者は「ひびの原因に関する詳細な報告を受ける必要があるが、導入目標時期の16年までには欠陥を解決できるはずだ」と述べた。同庁は「現在の状況では計画通りにF-X事業を推進する方針に変わりがない」としている。
これについて、防衛産業界では、機種選定がさらに延期されるのではないかとの見方も浮上している。
F-X事業には米国ロッキード・マーチンのほか、米国ボーイング(F15SE)、欧州のEADS(ユーロファイター・タイフーン)が入札に参加した。同庁は当初、昨年10月に基礎選定を終える予定だったが、事業手続きの遅れで選定が今年上半期へと延期された。韓国政府は次期戦闘機60機の導入に8兆3000億ウォン(約7100億円)の予算を編成したが、3社とも10兆ウォン(約8600億円)以上の価格を提示し、交渉は難航しているもようだ。
空軍関係者は「現在空軍で運用中のF4、F5E/Fなど老朽化した戦闘機180機を19年までに退役させる計画だ。次期戦闘機の導入が遅れれば、戦力の深刻な空白が生じる可能性がある」と指摘した。