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【ホッと一息@北海道】自然のままで大ヒット!世界初、氷の下の魚たちを展示「山の水族館」
その中で出てきたアイデアが、滝つぼの真下から見上げる水槽や冬には凍った川面の下を観察できる水槽など、日本初となるさまざまな工夫だった。川をジャンプして遡上(そじょう)するヤマメなどの姿を見せようという企画は中村さんに反対されたが、佐藤さんが3カ月を超える実験を重ねて、自然な姿を再現できる水流と勾配を導き出した。
ジャンプ水槽は約20分ごとに水位が下がり、群れをなしていたヤマメなどが1匹1匹、流れに逆らって水上を飛び跳ねるように上っていく。ジャンプに踏み切れない魚もいたりして、思わず「頑張れ」と声をかけたくなる。
また冬には川が凍る水槽「北の大地の四季」は世界初の試みだそうで、屋外にしつらえられた水槽を暖かい館内でじっくりと眺めるという仕組みだ。うっすらと雪が積もった氷の下をニジマスやブラウントラウトが悠然と泳ぎ、冬でも魚たちがしっかり活動していることがわかる。ほかにも1メートルを超えるイトウが40匹も群れをなしていたり、滝つぼの水槽ではオショロコマの群れが銀色にきらめいていたりと、広くない館内は驚きに満ちていた。
「四季の水槽の石は、擬岩を業者に頼む予算がないので、自分たちで持ってきて置いたものです。凍った川の下を見せるのは、氷点下25度まで冷え込むことがあるこの町じゃないと生かせない。ガラス面にも氷が張ってしまうので、つい最近、水に潜って掃除をしたんですが、冷たいというより痛かったですね」と佐藤さんは苦笑する。
◆ ◆ ◆
昨年の7月7日にリニューアルオープンすると、この仕掛けが評判を呼び、徐々に入館者が増加。8月のお盆休みのころには1日5000人という、駐車場に車が収まりきれないほどの観光客でごった返した。開館前は「不安もあった」と打ち明ける佐藤さんだが、「自分と同じようにお客さんも面白いと感じてくれた。一つ一つの水槽にこだわったのが大きい。アンケートを見ると、どの水槽が好きかは人によってバラバラなんです。どの水槽も魚の生き生きとした姿を見せて、魚を知ってもらうことになっているのかなと思います」と自信をのぞかせる。
魅力はこれだけにとどまらない。熱帯の魚も中村さんが「すごくきれい」と口にしたほどだが、それは温根湯温泉の水が理由ではないかとされている。温泉施設を利用して越冬させていたが、温根湯の温泉水は酸化還元電位の数値がとても高く、それが魚の成長に影響を及ぼしているという。昨年までは1・7メートルという日本一巨大なハイギョも飼育していた。
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