平成25年2月27日
公益社団法人
日本女子プロ将棋協会(LPSA)
代表理事 石橋 幸緒
平素より当協会にご支援、応援を賜り、また本ホームページをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
さっそくではありますが、22日の日本将棋連盟(以下、連盟とする)による記者会見とその発表に関しましては、大変残念であり、遺憾であると言わざるを得ません。
と申しますのも、弊協会としましては、連盟の谷川会長とは、その書面のやり取りや直接会談を通して、互いに妥協点を見出しつつあるところと認識しておりました。
具体的に申し上げます。2月16日付の谷川会長名義書面(添付1参照)の通り、
「女流棋士認定の共通基準について協議する」
「弊協会所属の渡部愛については、過渡的・暫定的な取り扱いを定め、柔軟な対応をする」
という、ご提案をいただきました。
かつて、このように連盟から具体的なご提案や申し出をいただいたことはなく、今回は本当に驚き、喜び、弊協会としてもさすが谷川会長!と連盟新執行部に期待を寄せて、「これは今後もしかしたら本当に、連盟とは仲良くやっていけるかもしれない」と思った次第です。
そして2月19日には谷川会長との初めての直接会談が実現し、この日に直接的な解決には至りませんでしたが、谷川会長からは「将棋界発展のため(互いが)協力していくことが望ましい」旨ご発言があり、今後、対話と協議をしていけばゆくゆくは両団体が適度な緊張感をもって、公正事業者の競争関係はありつつも、良好な関係を構築できるのではないか、との確信を得、早速、翌20日付の弊協会書面(添付2参照)を送付させていただき、
「協議にはぜひ応じさせていただきたく、早速お願いいたします」
「渡部愛の件もご配慮いただきありがとうございます。協議進展の過渡的な暫定措置としまして弊協会も同調させていただきたく存じます」
「株式会社マイナビにも連盟との対話協調路線を前提に適切に対応させていただきます」
とのお返事をさせて頂いた次第でございます。
これに対し、谷川会長よりどのようなお返事をいただけるものか期待に胸膨らませ、心躍る気分でございました。
にも関わらず、2月22日の専務理事名による連盟の記者会見とその声明につきましては、協調や協議、対話路線のことは一切なく、弊協会および弊職への弾圧のみが語られるという一種異様なものでした。
これには唖然とし、驚愕し、一体どうなってしまったのかと茫然自失の感がありました。
この発表が果たして、谷川会長の意志を正しく反映したものなのか、との疑念を抱かざるを得ません。
22日付の声明文や25日付の弊協会宛てにあった「通告書」(声明文とほぼ同様の内容のもの)は、なぜか、いずれも専務理事名となっており、16日付書面のように谷川会長名となっておりません。これは、果たして連盟代表者である谷川会長も同意のものであるのか、そしてそれは連盟としての総意、公式見解であるか、お伺いしたいところです。
弊職としましては、決してそんなことはなく、谷川会長ともあろうお方がそのように簡単に翻意されるはずがないと信じております。
更に付け加えるとすれば、19日の谷川会長との会談の場で「来期から株式会社マイナビと連盟の二者契約にするということが、連盟との共同意志で協会に通達されたものではない。連盟にマイナビ社サイドより二者契約の話はなく、連盟はマイナビ社との間でそのような協議等はしたことがない。現在でもまったくの白紙状態であり、連盟としては出来れば三者契約での開催が望ましいと考えている。」とまで明言されておりました。
であるならば、この一連の騒動は一体何であったのでしょうか。弊協会にはマイナビ社から昨年来「協会とは契約せず、連盟との二者契約で進めている」旨の明確な通告がありました。一体、三者契約の当事者であった弊協会は、契約相手方二者のどちらの発言を信じればよいのでしょうか。
最後に、改めて22日連盟声明に戻りますが、弊協会は、連盟の女流棋士認定基準を変えて欲しいなどということは一度たりとも申し上げたことはなく、またその意志もございません。連盟声明にもあるように「それぞれの社団はそれぞれの目的、基準において運用されうるもの」であることに疑いの余地もありません。三者契約として運営される上においては互いを尊重し、それぞれの団体が女流棋士として責任をもって認定した者は、互いに出場資格を認める、ということだけでございます。
また、連盟が他団体である弊協会会員に対して「協会を通さずに連盟が直接棋戦への参加意思を確認する」と述べていますが、このようなえげつない、他人の家に手を突っ込むような行動は公益法人として慎まれたほうがよろしいかと存じます。
同じく「LPSAによる違法行為」とも述べていますが、当方に一切やましいことはなく、事実無根かつ言語道断であります。
いずれにしましても弊協会としては、将棋文化を普及・啓蒙する我が国に二つしかないプロ団体同士が切磋琢磨し、更に棋界を発展させていくべきものと認識しております。
当然のことながら、対局断念は苦渋の選択でございました。
この点、ファンの皆様には結果として大変なご心配をお掛けしましたことを、申し訳ないと同時に大変心苦しく思っております。
止むに止まれぬ事態であったことを御理解賜りたくお願い申し上げます。
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