【レスリング】存続へ「太陽政策」に転換　ＩＯＣに恭順の意発信

　レスリングが五輪からの除外危機を迎えている問題で、日本レスリング協会の福田富昭会長（７１）は２６日、存続への戦術を“太陽政策”に転換したことを宣言した。「ＩＯＣ（国際オリンピック委員会）はスポーツの世界のトップ。その指導に従って、意見に沿った形で対応していきたい」と恭順の意を積極的に発信していくという。

　１２日のＩＯＣ理事会で中核競技から除外された直後は、福田会長はＩＯＣの権威主義に強く反発。世界のレスリング関係者も怒りをあらわにし、ロシア・プーチン大統領らの政治的圧力で事態打開を模索していた。ただし、「ロイヤルファミリー」とも言われるＩＯＣ委員のプライドは山よりも高い。協会幹部の話し合いで、批判や外圧といった“北風”は逆効果になるという結論に達した。

　１０万人を目標にした存続への署名活動の宛先から、日本協会の名前をはずす予定。ＩＯＣ評価委員の東京視察（３月４～７日）を、五輪３連覇の吉田沙保里（３０）＝ＡＬＳＯＫ＝が出迎えるプランもあったが、「吉田が出ていくことでＩＯＣを刺激することになりかねない」（ＡＬＳＯＫ関係者）と白紙になった。

　「協会主導ではなくファンや選手の自然な盛り上がりに期待する。とにかくＩＯＣを刺激したくない」と福田会長は話した。