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政治
【正論】評論家 拓殖大学大学院教授・遠藤浩一 「価値観外交」で米中の間に楔を
≪日米豪印ダイアモンド構想≫
そこで、まず安倍首相は、価値観外交というカードを駆使している。就任早々、日米豪印4カ国による「アジアの民主主義セキュリティー・ダイアモンド」構想を提起し、東南アジア訪問を通じて、「対ASEAN外交5原則」を掲げた。今回の米国訪問でもそうだが、自由や民主主義、基本的人権、力ではなく法による支配、アジアの多様性等々の強調は、これらの諸価値を認めず力でゴリ押しする中国に対する牽制(けんせい)であるのはもちろん、米国や東南アジア諸国に対しても、価値観を異にする中国と組むことが利益に適うのかという問い掛けになっている。
しかし誤解を恐れずに言えば、価値観外交は、それ自体が目的ではない。それは米中間に打ち込む楔(くさび)である。中国の増長を抑制し、東アジアの安定と繁栄を担保するための秩序を日米が主導してつくるためのツールの1つである。
何より肝心なのは、首相が強調しているように日本自身が政治、経済、安全保障、そして精神面で力強さを回復することだろう。普天間も集団的自衛権もTPPも、そして憲法も、そうした文脈において検討されるべき課題である。(えんどう こういち)
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