誰でも手軽に参加できる競売サイトで、売買成立の実現に欠かせない情報の1つになっているのが、商品紹介の写真。購入前に現物を確認できない落札希望者には、品定めの際の目安にもなるわけだが、先日ニュージーランドでは、この写真を利用して出品したテレビを面白く紹介したページが大きな話題を呼んだ。
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ニュージーランドのニュースサイト・sutff.co.nzなどによると、テレビを出品したのは、クライストチャーチで同じ家に住んでいる男性4人組。彼らは、今回売りに出した東芝製43型テレビを3年前に「そんなに高くない」価格で購入した。しかし、ほかの部屋にもテレビが3台ある環境の中で、主にプレイステーションをするためだけに使われていた大型テレビは、多くのスペースを占有するため存在価値が薄れたそうだ。そこで「誰かに活用してもらえれば」と競売に出品する運びとなった。
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そして、ニュージーランドの競売サイト「trade me」にテレビの競売ページを設ける準備を始めた4人。そのとき彼らは、テレビを紹介する写真を面白いシチュエーションで撮影するアイデアを思い付いた。そんな写真の数々が、彼らの出品ページ「43 Toshiba Television」(http://www.trademe.co.nz/Browse/Listing.aspx?id=562594506)で見ることができる。
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出品ページのメイン写真として掲載されているのは、女性と一緒にボートに乗っているテレビの姿。全部で15枚の写真中にはテレビゲームを遊ぶために使われている普段のシーンもあるが、ほかに男性と一緒にシーツを掛けてベッドに横たわったところや、公園でペンチに座る男性らと並べて置かれているシーンなどもある。まるでテレビも“同居人”であったかのように、彼らと一緒に行動していた思い出の日々が記録されたような写真ばかりだ。
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思わぬ写真が紹介され、彼らのページにはチェックしたユーザーから約100件の問い合わせが寄せられることに。純粋にテレビについて質問している人もいるが、中には「面白い写真だ」「なんてヤツらだ」と写真の感想を書き込んでる人も少なくない。写真の効果もあってか、1ニュージーランドドル(約78円)から始まった競売は順調に値を上げていき、2月20日午後6時頃に325ドル(約2万5,000円)で落札された。
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さまざまな場所にテレビを運ぶのが「激務だった」と話したのは、4人組の1人、ダミアン・テイラーさん。特にスーパーで買い物をしているようなシーンを撮ろうとしたときは、「撮影のために店長の許可も必要だった」など、紹介された写真の数々はまさに彼らの苦心作といったところだ。しかし、出品後は「質問が絶えず届く」反響ぶりに喜びもあったようで、今はアイデアを実行した充実感に満たされている様子。そして思い出も作ったテレビの落札金はすべて慈善団体へ寄付するつもりだという。