「歌舞伎の中心に」　菊之助　挙式で決意

　歌舞伎俳優の尾上菊之助（３５）が２６日、中村吉右衛門（６８）の四女・波野瓔子（ようこ）さん（３０）と東京都千代田区の神田明神で挙式した。約５００人のファンからは「音羽屋！」「播磨屋！」と威勢のいい掛け声が飛び交い、おみこしも登場。菊之助は「にぎやかな歌舞伎役者らしい結婚式をさせていただいた。きょうは“最高におめでたい婚”ですね」と笑顔をみせた。

　神田明神は「初代から三代目まで近くに住んでいた」（菊之助）という、ゆかりの神社。晴天の下、雅楽に合わせて羽織はかま姿の菊之助と白無垢（むく）姿の瓔子さんが登場。２人の後ろには尾上菊五郎（７０）、富司純子（６７）、吉右衛門ら約２０人の親族らが付き添い、境内を一周するようにゆっくり歩いて社殿へと入った。

　ひと足早く２４日に婚姻届を提出した菊之助は「いよいよこれから２人の人生が始まるという決意が固まりました。これから新しい歌舞伎座も始まるので、歌舞伎の中心となれるよう２人で一生懸命頑張って先輩方についていきたい」と強調。夫婦になったと実感した場面を問われ「祝詞があって、三三九度をさせていただいた時」と答えた。

　緊張気味の瓔子さんは「和康さん（菊之助の本名）がお芝居に集中していただけるようにサポートしていきたい。お母さま（富司）にいろいろ教わりながら音羽屋、寺島家を守っていけるよう勉強してまいります」とコメント。父の吉右衛門が涙ぐんでいたと指摘されると「花粉症だと思います」と答えて笑いを誘った。瓔子さんの手料理をまだ食べてないという菊之助は「ローストビーフを作ってくれると言ってたので楽しみです」と話した。

　２７日は２人そろって故・市川団十郎さんの本葬に参列する。菊之助は「成田屋の兄さん（団十郎さん）と中村屋の兄さん（故・中村勘三郎さん）の魂がここに来て私たちを見守ってくださっていると思います。葬儀でこれからの決意を伝えたい」と神妙に語った。

　挙式後は、菊五郎が体調不良で報道陣向け写真撮影を急きょ欠席するハプニングも。菊之助は「こんな時に具合悪くなっちゃって」と苦笑。松竹によれば「社殿内も寒かったので、せきを何回かしていた。大したことはない」という。