気球炎上、墜落直前に次々飛び降り 「空から人が落ちてきた」
産経新聞 2月27日(水)7時55分配信
■死亡は都内の夫婦2組
観光地として日本でも人気の高いエジプト・ルクソールで26日、日本人がまたしても犠牲になった。墜落した熱気球ツアーは近年、手軽さなどから人気を集めていたというが、思わぬ災禍が潜んでいた。亡くなったのは、「バルーンツアー」で訪れていた東京都内に住む夫婦2組の4人。遺族は、目撃者を震撼(しんかん)させた凄惨(せいさん)な事故現場に27日にも向かうという。
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空から人が落ちてきた−。大規模反政府デモ「アラブの春」から2年。エジプトの人気観光地を襲った悲劇は、観光産業の回復を願う地元にも大きな衝撃となった。
「巨大な爆発音だった。怖かった。数キロは離れている場所なのに…」。ロイター通信によると、地元ホテルの従業員の女性は午前7時ごろに爆発音を聞いた。「自宅が揺れた」と話している従業員もいたという。
共同通信によると、現場近くには民家が1軒あるだけ。「真っ赤に燃える大きな物体が空から落ちてきた。赤い火が燃え盛っていた」。サトウキビ畑で働いていたモハメドさん(23)はそう振り返った。
気球は上空300メートルで爆発したうえで炎上。気球はいったん地上に近づき、パイロットと女性が飛び降りたという。だが、ガスの勢いは強く、気球は再び舞い上がり、「それから、8人ぐらいが高い空から落ちて来るのを見た。本当に恐ろしい光景だった」。
ロイター通信によると、別の気球に乗っていた米国人写真家がテレビのインタビューに答え、「巨大な爆発音で後ろを振り向いたら、すぐには気球(が爆発した)とは思えなかった」と話したという。
気球が墜落した村では、レスキュー隊員が草むらをかき分け、乗客や爆発した気球の残骸を捜索。遺体は黒い袋にくるまれた状態で路上に無造作に置かれていた。周囲には遠巻きに様子を見守る人や、座り込んで頭を抱える人もみられた。
「気球の事故はたまにあるが、こんな大きな事故は初めて」。エジプト・カイロにある日本人専門旅行会社「バヒトラベル」の中野真由美さん(57)は驚きを隠せない。
中野さんによると、事故が起きた気球を運航していた「スカイクルーズ」は、ルクソールに4社ある気球運航専門会社の一つ。ルクソール周辺では着陸時の強風で気球が転倒し、乗客が骨折するなどの事故がときどき起きていたという。
現地での気球観光はオプションツアーとして利用される場合が多い。日の出とともに運航するため、「ツアースケジュールがきっちり組み込まれている日本人観光客の利用は、そんなに多くない」(中野さん)という。
最終更新:2月27日(水)7時55分
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